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キャリアアドバイス・ポッドキャスト: サステナビリティ分野でのキャリアパス

キャリアアドバイス・ポッドキャスト: サステナビリティ分野でのキャリアパス

サステナビリティを重視し、サステナビリティ活動に力を入れる企業が増えています。それに伴い、この分野でキャリアを築くチャンスも増えているといえます。すでにスペシャリストでも、これからサステナビリティの分野に入ろうとしている人でも、企業は、熱意のある人材を求めています。
 
今回のキャリアアドバイス・ポッドキャストでは、ヘイズのグローバル・チームでサステナビリティ活動の責任者を務める、フィオナ・プレイスをゲストに迎えています。フィオナは、この分野で14年間のキャリアを持ち、一般企業や政府機関などの公共機関、NGOなどを対象に、サステナビリティに関する助言を行ってきました。現在は、ヘイズで「ネット・ゼロ」の実現に向けてESG活動の推進に取り組んでいます。
 

ヘイズでは「キャリア・アドバイス・ポッドキャスト」(英語)を配信中。キャリアにまつわる悩みについて、エピソードを交えて回答しています。
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1. ヘイズでの現在の仕事内容について、まず教えてください。ヘイズに入社したきっかけは?

(1:17) 私は、今年の3月にグローバル・ヘッド・オブ・サステナビリティ、つまりサステナビリティ分野の責任者としてヘイズに入社しました。仕事の内容は、ヘイズ・グループが取り組むべきESG(環境、社会およびガバナンス)の活動を定義し、戦略を策定することです。この活動の進捗をどのように社会に伝えるかを考えることも含まれます。
 
しかし、この仕事に就くまでには、さまざまな紆余曲折を経験しています。私がサステナビリティ関連の仕事に就いたのは、実は約20年も前のことです。当初はエコツーリズムと企業責任プログラムが立ち上がる初期ステージの仕事に携わり、企業のスポンサーシップを獲得して、一般個人が参加できる人道支援や自然保護活動の提供をしていました。
 
この経験から、私はサステナビリティの分野に興味を持ち始めました。その後、エクセター大学の修士課程に入学し、2008年に卒業したのですが、この年は幸か不幸かリーマンショックが社会を揺るがしたタイミングで、多くの企業が環境や社会、地政学的リスクがビジネスにもたらす影響に敏感になっていました。ビジネスは自社だけで完結するものではなく、サプライチェーン全体を含めて考えるべきということが理解され始めた時期といえます。
 
卒業後入社したのは、べリスク・メープルクロフト社という、リスク関連のコンサルティングを行う企業でした。私はここでリスク分析チームを立ち上げ、急激に増えたクライアントの対応に追われていました。その結果が認められ、クライアントとの関係をマネジメントするチームのリーダーに就任、4年間リーダーの仕事を経験しましたが、もう一度ビジネスの一線でクライアントの問題解決に尽力したいとの思いが高まり、創立間もない新しい会社に転職しました。転職当時は社員30名ほどだったその企業も、現在では800名を超える規模に成長しています。その企業で、私はさまざまな業務に携わることができました。温室効果ガスの管理から責任ある調達、そして当時はまだ新しかったESG関連の仕事などもここで経験したのです。
 
また、その会社では、さまざまな企業やクライアント、そして技術的なバックグラウンドやビジネス経験の異なる仲間たちと交流することができました。これがきっかけで、人権に関する知見を広げたいと、ELEVATE社に転職することになりました。その後はCapitals Coalition社に移りましたが、この会社では一般企業や金融機関、政府機関に対して、自然資本や社会的・人的資本の投資で失敗したことがあれば、これを経営判断に反映させるよう助言を行いました。
 
非常に幅広い経験をしてきたため、私はどちらかというと、私はサステナビリティの「ゼネラリスト」なのかもしれません。しかし、ヘイズのような企業では、ゼネラリストの視点がアドバンテージになると思います。ヘイズには、創設されたばかりのサステナビリティ専門チームがあるのですが、その責任者であるポール・ゴスリンと話して、私はこの感をさらに強くしました。私とポールの付き合いは、およそ7年間になり、このポジションがオープンになったとき、私はすぐにポールに連絡しました。
 

2. サステナビリティの分野では、あなたのようなキャリアは一般的な例と言えますか?

(5:04) 良い質問ですね。この分野は非常に急速に進化を遂げており、文字通り、1か月ごとに状況は変化しています。そのためか、サステナビリティ分野で活躍する仲間の出身業界は、多岐にわたります。自分と同じキャリアの人に出会うことは、ほとんどないと言っても良いでしょう。
 
私は、コンサルティング業界での経験が比較的長いのですが、ほとんどの人たちは自分の本業の延長線上でサステナビリティの知識を身に着けてきたようです。たとえば、ヘイズUKのカレン・ヤングは、自分の仕事に関連して派生するサステナビリティ業務に携わっています。
 
数週間前に私がお会いしたベンチャー・キャピタリストの話も参考になるかもしれません。彼女は、大学卒業後にあるコミュニケーション・コンサルティングの会社に入社しました。その会社で、あるクライアントのためにサステナビリティ報告書を作成することになるのですが、その仕事が、現在勤める太陽光発電投資会社への転職につながったのです。
 
しかし入社後にカルチャーがフィットしないと感じ、多角的分野に投資を行うオクトパス・ベンチャー社に営業職として転職しました。これと同時に、法律の学位の取得を目指し勉強しているうちに、人権に関する仕事に進みたいと考えたためです。コミュニケーションの仕事では、サステナビリティを追求する必要があったからです。オクトパス・ベンチャー社の共同CEOは、彼女がサステナビリティへに関心を持ち、学び続ける意思も持っていることから、同社の仕事、つまりスタートアップ企業を対象にESGを広げる業務に興味はないか持ちかけました。オクトパス・ベンチャー社は、環境や社会などに責任を持てる企業を育成するため、幅広い投資活動を推進しようとしていたのです。彼女に提案された仕事はそのなかの一つでした。彼女は、与えられたチャンスに飛び込みました。
 
「限られた知識のなかで、ESGをどのように広げていくべきなのか、創造力をフル回転して考えることができるようになりました。これは、とてもいい経験でした」と続けました。彼女の話は、サステナビリティでのキャリアパスを示す素晴らしい例だと思いました。もともと彼女は、この分野に意図的にアプローチしたわけではありません。しかし、日常業務の延長でサステナビリティに取り組んでいるうちにチャンスをつかむことができました。彼女のようなきっかけで、この分野に入る人たちは増えていると感じます。
 

3. 「サステナビリティ」には、さまざまなコンセプトが含まれているのですね。また、常に進化し続けるものであることも分かりました。このポッドキャストをお聴きになっている皆さんのために、サステナビリティとは何かについて、もう少し説明していただけませんか。

(8:14) 「持続可能な成長」とは、1987年に発行された「ブルトラント報告書」に基づいています。正式には、「未来の世代が自分たちのニーズを満たすことができなくなるような事態を避けながら、現在のニーズに見合った成長を遂げていく」ということです。最近では、「良い事をする」という意味で幅広く使われているようですね。
 
その後、ESGという新しい言葉も生まれたわけですが、この言葉が指すのは「Environment(環境)」、「Society(社会)」、「Governance(ガバナンス)」と、もう少し具体的です。当初はESGを投資に組み込んで、企業活動を評価する基準として使われたりしましたが、現在ではESGの全体的なパフォーマンスの指標と見なされています。企業にとって重要なESGの課題、たとえば株主の利益やビジネス自体の長期的な持続可能性に影響を与える可能性が高いものを特定する際に役立つよう設計されています。
 
今では、ESGとサステナビリティは、同じ意味であると考えられています。これは、サステナビリティの分野が進化を続けているからですが、私たちは、サステナビリティの本質を見失わないようにしなければなりません。意味が曖昧になったり、忘れ去られたりしないよう気をつける必要があるのです。
 
サステナビリティ関連の仕事に就きたいのであれば、その企業がサステナビリティにどのように取り組んでいるのかも理解した方が良いでしょう。社会や環境に対する意識の高い企業でしょうか?公正で、サステナビリティに熱心な従業員のいるインクルーシブな企業でしょうか?また、その時代の社会の動きを意識した活動を行っているでしょうか?また、気候の変動が未来の事業運営に与える影響を理解し、マーケットや社員のニーズに対応できる態勢を整えていますか?
 

4. ご自身の経験も含め、どの例もすべて大変参考になりました。では、話を一旦戻しますが、サステナビリティ分野にはどのような企業や仕事があり、どのような人たちが働いているのでしょうか?

(10:50) まず最も言いたいのは、サステナビリティへの取り組みはFTSE100、250、350やFortune 500に選ばれるような大企業や、一部の専門家だけに限定された仕事ではないということです。サステナビリティは、今や世界的な課題であり、あらゆる人々に影響します。つまり、官民含め、あらゆる業界のあらゆる企業が取り組まなければならないものなのです。
 
入り口はさまざまです。コンサルティング企業ではなく、インハウスの専門家として活躍することも可能です。社内でのサステナビリティ担当として働くのはヘイズが初めてなので、インハウスの専門家としての経験は、限られているかもしれません。サステナビリティの概念が、ビジネスの一線でどのように活かせるかを見たいと熱望していました。インハウスで働けば、環境部門のマネージャーがネット・ゼロ(炭素削減)戦略の実現に向けて、管理会社と協力してビルや設備の排気量を削減する過程なども見ることができます。また、ESGのアナリストが、大手金融機関の分析や投資判断をサポートしている様子も伺うことができるかもしれません。インハウスで活躍する道は、多岐にわたっています。コンサルティング企業で働くチャンスもあるかもしれません。
 
コンサルティング企業にも、「BIG 4」と呼ばれるプライスウォーターハウスクーパースやアンスト・アンド・ヤングのような大手から、私が勤めていたAnthesisやサウスポールのようなサステナビリティ専門のコンサルティングファームまで、多種多様な企業があります。これらのファームは、クライアントのニーズに合わせた戦略の立案や提案を主軸としています。また、Balfour Beatty社のように、業務委託などのビジネスを展開する企業も関心を集めています。同社は、太陽光発電機材の設置に携わる人材の他、環境重視のビル建設などを進める工事エンジニア、プロセスエンジニアを求めています。同社が携わるビジネスも、比較的早い成長を見せており、ヘイズも同社を直接サポートできる方法を検討しています。この他、ヘイズのクライアントには、地域のためのネット・ゼロ・カーボン計画を作り、実行方法を模索している地方自治体などもあります。
 
では、ヘイズでの最近の採用例を参考に、詳しく説明していきましょう。世界屈指の法律事務所であるホーガン・ロヴェルズには、ヘッド・オブ・サステナビリティ(サステナビリティ業務責任者)を紹介。技術の専門企業であるアイスランド・フーズ社では、エネルギーマネージャーの採用を後押ししました。このほか、ウォルバーハンプトン大学のために、サステナビリティ・マネージャーを採用。サステナビリティは環境・社会・ガバナンス(企業管理体制)など多岐にわたるニーズを横断しているため、RPS社には、洪水のリスクを予想できるエキスパートを採用しました。
 
これらは世の中に存在する仕事のほんの一例に過ぎません。これまで共に働いてきた人たちの幅広さに鑑みると、誰もがサステナビリティに強い熱意を持っていることが伺われます。ニーズの進化に対応するために、平等に責任を持ち、協力してソリューションを見つけたいと願っています。サステナビリティを取り巻く状況は、非常に急速に変化しており、多くの政策の変更も伴います。企業は、これらの動きに素早く対応する必要があります。サステナビリティに携わる人材は、クリエイティブな思考ができ、継続的な影響を生み出そうとできることが重要です。
 

5. サステナビリティに携わることができる産業や業界、仕事は多岐にわたるということですね。サステナビリティに関心をもっている人のために、この分野で必要とされる共通したスキルや経験はありますか?

(15:33) これまで、サステナビリティを考える際、環境マネジメントを例に挙げると、その分野での深い専門知識や専門技術を持っているか、土壌汚染や洪水リスクに携わってきたかどうかを重視してきました。しかし、この10年近くで、この考え方は大きく変化しています。今は、技術情報を理解する力は必要ですが、必ずしも技術系の専門家である必要はありません。むしろ情報を評価し自分の考えをまとめ、行動に移す方法を編み出す力が必要です。
 
鍵となるポイントは4つあると考えます。「強い好奇心があること」、「自分の仕事について学び続ける意欲を持っていること」、「プロとして成長し続けたいという熱意を持っていること」、「公式か非公式かにとらわれず積極的にアクションし問題を解決する意欲があり、組織やクライアントに適した解決策について創造的に考える力」です。
 
テクニカルスキルも、ある程度はあった方が良いでしょう。例えば、エクセルやPower BIといったアプリケーションを使いこなし、分析結果を考察・判断できるような力です。サステナビリティの仕事では、膨大な量のデータを回収して分析し、目標を設定したり、目標達成までの活動を評価したり、次に取るべき行動を助言したりすることが求められます。ただし、これらのスキルは仕事の中で身に着けることも可能です。サステナビリティの分野に入る際に必ずしもこれらのスキルが必須だとは思いません。今は積極的に好奇心を示しながら、仕事をする過程で学んでいけばよいのです。
 
サステナビリティの仕事も他の仕事と同様、人間が中心です。仲間や同僚と協力していくことも大切ですが、同じ意見の持ち主だけでまとまってしまうことも好ましくありません。同じ会社の中にも、意見の違う人、私たちの活動に懐疑的な考えを持つ人、サステナビリティについて基本的な知識のない人など、さまざまな人がいることでしょう。これらの人たちに対して周知や教育を行うスキルや意志が求められます。理解を得るには時間と労力がかかるものです。
 

6. なるほど、よくわかりました。さて、グリーンエコノミー(経済成長と持続可能で環境にやさしい経済を実現すること)の成長は歓迎すべきことですが、サステナビリティの専門家はグリーンエコノミーにどのように対応すべきだと思いますか?

(18:35) グリーンエコノミーは、非常に面白い分野だと思います。しかし、グリーンエコノミーへの寄与において、必ずしもサステナビリティの専門家である必要はありません。これまで紹介した実例からもおわかりだと思いますが、企業のサステナビリティ担当者が携わる業務は、サステナビリティ全体から見ると、ほんの一握りです。むしろ、自分の仕事がサステナビリティに関係しているなどと考えてもいない人たちが、サステナビリティの仕事をしていることがほとんどです。
 
その例として私がご紹介したいのは、グリーンデザインをめぐる仕事です。商品は設計や再設計ののち、仕上げ加工をされて生産されますが、「グリーンデザイン」では、この過程で製品のライフサイクル全般を考慮して設計されます。「この製品はどのように使われ廃棄されるのか」「製品が寿命を迎えた時に、リサイクルやアップサイクルできるよう改善することはできないか」などの視点から製品を設計していく手法です。
 
自動車メーカーのジャガーは、設計チームに製品の組み立て方や耐久性だけではなく、使用後の解体法や部材のリサイクル方法なども検討すると言われています。部材が金属製であれプラスチック等他の部材であれ、バッテリーの内容物であれ検討の対象となります。サステナビリティに貢献する目的である業界に足を踏み入れようとは考えていないかもしれないけれど、実際には仕事に組み込まれている非常に良い例だと言えます。
 
建設業界にも同様の取り組みが見られます。建物の改修時に、エネルギー効率や水の使用量を最適化するアプローチを取り入れ、建物の持続可能性を改善させる取り組みを行っています。しかし、建設業でのその仕事に必要とされるのはサステナビリティの専門家であるとは限りません。ソーラーパネルの設置経験者やメーカーの出身者などさまざまな業界で働く人たちが皆、サステナビリティの専門家であるべきとは考えられていないのです。改めて申し上げますが、サステナビリティ分野の経験がなくても問題はありません。また、改めてサステナビリティの専門知識を身につけなくても、現在のスキルをグリーンエコノミーで活かすことができるかもしれません。
 

7. 社会人になったばかりの人やサステナビリティ関連の仕事に転職しようと考えている人たちに向けて、転職のアドバイスを頂けませんか?

(21:48) 私が一番大切だと思うのは、「自分が何に関心や熱意を持って取り組むことができるのか」「この関心と熱意でどんな行動をとるのか」ということです。また、自分を駆り立てるものは何ですか?人ですか、環境ですか?サステナビリティ分野で働く人たちは、ビジネスや人の生活にインパクトを生み出したいと望んでいます。ですから、これらを考えることは、とても大切です。
 
また、最初から自分に完璧にマッチする仕事に就こうとするよりも、まずは与えられた仕事に挑戦してみることも大切です。オクトパス・ベンチャー社に就職した女性のように、まずは就職した会社でチャンスを探し、応用可能なスキルについて考え、試してみることをおすすめします。サステナビリティの仕事は、クリエイティビティが要求されます。サステナビリティのあらゆる側面に取り組むことは、仕事で創造的に考えることを学ぶことだと言えます。
 
確かにキャリアの変更は、容易なことではありません。目指す仕事があるならば、専門のスクールや機関が開催するトレーニングコースを受講してみることもお勧めです。しかし、最も大切なのは、人とのつながり、ネットワークです!他の人たちがどんな仕事をして、仕事を通じてどんな経験をして何を学んだか、どんなツールを活用しているか、誰をフォローしているのかなどを質問してみましょう。社外の人たちと交流を持つことで、学ぶことも多くあるに違いありません。また、LinkedInなどのSNSを活用すれば、イベント参加と同様の効果が期待できます。人脈を作るためのプラットフォームは、数多く用意されています。
 

8. サステナビリティ分野でのトレンドやホットな話題は何ですか?

(23:41) これまでもお話ししたように、サステナビリティの分野では、多くのことが進化を遂げている最中です。国の政策も随時変更されますので、会社がこれを遵守できるよう、体制や社内のポリシーの見直しが求められます。今のところ強制されたものではなく、自主的に取り組んでいるものですが、今後は政府によって義務付けられる予定です。EUではさまざまな動きがあり、新しく政策委員会を立ち上げて、企業の開示条件を強化しようとする動きもあるようです。施行されれば、企業のサステナビリティ報告を専門とする人材が求められるようになるでしょう。
 
サステナビリティ分野で大きな課題を解決するためには、さまざまなパートナーと協力しなければなりません。たった一人で取り組むのではなく、チームや同じ業界の仲間、地方自治体やコミュニティなど他の分野に属する関係者との協力が大切になります。大きな問題に直面した時は、地域団体や非営利団体、学術団体と力を合わせ、解決策を見つけていく力が必要なのです。
 
また、企業が社会に与えるインパクトの評価方法にも、関心が高まっています。この分野も急速に進化しており、社会的価値や社会的責任の測定および、コミュニティ内外でビジネスとして活動するための実際の免許などとの関連性がしばしば取り沙汰されています。プロジェクトに参画した人数や、社会や自然界のためにどのような価値を生み出すのか、ということも大切ですが、今後はインパクトや成果を実際に測定することがより重要であると舵を切ることになるでしょう。
 
労働や労働力の視点でどのようにサポートしていくかを理解するために「S(Social=社会)」というキーワードが浮かびます。ESGは、これまで環境中心に進められてきました。しかし今では、社会的な活動にも焦点が当たるようになっており、企業活動の開示や透明性の向上が求められています。
 
そして、次の世界的な課題が何かを考えることも必要です。気候変動や二酸化炭素排出量の削減を巡る取り組みが大切なのは言うまでもありません。最近では、ED&I(公正、ダイバーシティ&インクルージョン)が重視される傾向もあります。一方、水の安全確保など気候変動に直結した新たなテーマも浮上しています。私たちは、国際的な視点を失わず、どうすればこれらの課題を一致団結して解決することができるかを考え続けなければなりません。
 
新しいトレンドは頻繁に生まれ、次から次へと変化も生じています。世界経済フォーラムが毎年発行するレポートでは、世界規模で発生しているリスクを伝えており、その年の重要な変化を理解するには格好の場所です。
 

9. 転職希望者と話すと、ESGやサステナビリティが、転職を希望するビジネスパーソンにとってますます重要な位置を占めてきているのがわかります。また、転職先の条件として、サステナビリティ活動の充実が重要なポイントになることも珍しくはありません。サステナビリティの専門家がこの分野における企業のコミットメントをどのように評価するか、何か参考にできるヒントはありますか?

(27:54) 最初にお勧めできるのは、その企業のウェブサイトを見て、サステナビリティ関連の開示物を確認することです。活動内容は特に重要です。その企業は、過去にどのような活動を行っていますか?サステナビリティ専用のレポートを発行しているのか、それともアニュアルレポートの一部として報告されているのか、ウェブサイトから、どんな情報を知ることができるのかなどをチェックできます。
 
また、その企業は、同業他社や他の企業と比較して、どのようなポジションにあるかを確認するのも良いでしょう。これはその企業を知る大きな手掛かりになるでしょう。SDGの実現を支援する国際NGOのWorld Benchmarking Allianceは、企業と人権の関わりをベンチマーク化した「Corporate Human Rights Benchmark」など、サステナビリティの向上を目指し、さまざまな指標を開発しています。最近では、金融セクター向けの指標を発表したり、生物多様性に関するベンチマークの開発に着手したりしています。これらの指標は、企業のガバナンスやマネジメント状況、従業員との協力態勢、ステークホルダーとの関わり方などを知るうえで有益な参考資料となるでしょう。
 
「Climate 100」というプラットフォームもお勧めです。ここでは、気候変動に対する取り組みをさまざまなコミュニティにより注視されている企業がリストアップされており、外部の要求にいかに迅速に対応しているかはその企業がどれだけ真剣にサステナビリティに取り組んでいるかを測る良い指標となります。しかし、私が最も大事に思うのは、その会社の従業員と実際に話をしてみることです。話の様子から、その企業の活動やどの程度コミットしているか、従業員がどの程度関与しているか、関与する機会はどんなものか、どのように行われているか、企業自身の今後の総合的な方向性にどのように寄与するのかなどをつかめるからです。
 
在宅勤務を採用している企業も多いと思いますが、その企業で働きたいと思うならば、実際に訪問し、従業員が働く様子や活動を肌身で感じてください。その企業を知る一番の秘訣は、そこの従業員と話をしてみることだと私は思います。
 

10. では、最後の質問です。ゲストの皆さんに伺っていることなのですが、キャリアアップに役立つアドバイスを何かひとつ挙げるとすれば、それは何でしょう?サステナビリティに関連するとなお良いです。

(31:00) 大切なのは、とにかく人とのつながり、ネットワークです。業界で必要とされているスキルを把握する方法です。また、学びやキャリアアップに適したプラットフォームを知る機会にもなります。何よりも重要なのは、実際にその分野で仕事をしている人と、つながりを持てることです。サステナビリティやESGの分野は、産業としてまだそれほど大きなものではありません。同じ人が違う仕事に就いていたり、同業界ないで転々としていたりするのを目にすることもあります。雰囲気としては、大学時代の環境に似ているかもしれません。リファラルや、キャリアの選択肢やチャンスについてのアドバイスを喜んでしてくれます。問題に直面したら、解決に役立つ情報を教え合うこともあります。私自身にとっては、キャリアをスタートする場所として良かったと感じます。
 
知り合った人のなかには、LinkedInを使って次のような相談を持ち掛けてくる人もいます。「15分ほどお時間を頂けませんか。私は会社の調達部門で働いており、サプライチェーンのセキュリティや労働状況について調査しなければなりません。私はぜひこの仕事を担当し、『レスポンシブル・ソーシング・プログラム(責任ある調達のためのプログラム)』の立案に携わりたいのです。このために、私はまず何をすればよいのでしょうか?」
 
サステナビリティ分野で働いている人たちは、喜んで自分の経験や知識を共有してくれます。リファラルにつながることもあります。このように考えると、この分野で仕事をするならば、人とのつながりを大切にすることが、何よりも大切であると思います。
 
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著者

フィオナ・プレイス
ヘイズ・グループ、グループ・ヘッド・オブ・サステナビリティ
14年以上にわたり、上場・非上場企業に対し、ESGとサステナビリティ分野に従事。主な関心は、ネット・ゼロ、責任ある調達、人権など。ヘイズ入社前は、Elevate GlobalやAnthesisでサステナビリティに関するデューデリジェンスサービスの拡大を担当。物品・サービス分野の企業に対し、サステナビリティ実現に向けたサポートを実施。また、アフリカやアジアにおいて、NGOの代表として企業責任プログラムに携わった経験も有する。

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