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2024年の転職市場・中途採用動向

厳しい経済環境が続くなか、日本の多くの企業が不確実性や持続的成長の必要性という2つの重圧に直面し、岐路に立たされています。不確実性のなかで、ビジネスの世界は進化を続けており、企業は単に収益を維持するだけでなく、未来を戦略的に計画していく必要があります。
 
日本の企業と人材は、さまざまな要因が重なり合う、前例のない変革の時代の入り口に立っています。ヘイズは、日本の人材1,554名と企業328社を対象に転職市場や中途採用動向について調査を実施。今回は、調査をもとに日本のビジネス界に影響を与えるトレンドや、企業やビジネスパーソンがこの変化の激しい時代を乗り切るヒントを紹介します。
 
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目次

 
 
 

日本の企業や人材は来るべき事態に備えている

最近の一般的な傾向として、不安定な市場や経済を乗り切るため、一部の企業はより保守的な見通しをもっています。
 
世界的な地政学的緊張や貿易紛争、不測の事態といった不確定要素に直面し、日本の多くの企業は慎重な財政措置と拡大に向けた抑制的なアプローチを選択しています。
 
労働者にとっても見過ごせない状況であり、業種を問わず従業員は、一部の企業が導入している保守的なアプローチに伴う潜在的な不確実性を強く感じています。一部の労働者は野心的な成長よりも雇用の安定性を優先するようになっているため、安定した雇用環境が大きなアピールポイントになります。
 
同時に、より意欲的な人材は、競合他社より良い給与待遇を交渉する機会を望んでいます。競争の激しい転職市場で自分のスキルの価値を認識し、経済的な危機の可能性に備えてより良い機会を探しているのです。
 
 
上記のような人材の動きは経済情勢への反応であり、特定の業界の不安定さや企業の人材投資によって一層影響を受けています。
 

企業は依然として高まるニーズに応えるために採用を継続

一方で、困難な状況にも関わらず、ポジティブな見方をしている企業も存在します。日本の企業の47.3%が今後1年間に必要なスキルをもつ人材を採用できる自信があると答えており、変化の激しい経済情勢のなかで成功するために、積極的な人材戦略の策定を行っています。
 
 
今後の採用需要は、さまざまな業界で蔓延する人材不足によってさらに高まっていくことが予想されます。現在、世界におけるシニアレベルの意思決定者の62%が、ITスキルをもつ人材の不足が自社のビジネスにおける主要な課題であると認識しています。このような現状を踏まえると、採用戦略の大幅な転換が不可欠です。
 
世界の採用担当者の75%がスキルを第一とした採用が企業にとって最も重要になると予想しています。企業は、人材調達において適切なアプローチを採用する必要があります。企業で取り組むべきアプローチを以下にまとめました。
 
  • 組織全体で求められるテクニカルスキルを明確にする
  • 社内に重要な職種を置くことで社内の人材流動性を高める
  • 職種ベースではなく、スキルのギャップをもとにした明確なキャリアパスと学習の道筋の設定

企業は多様な世代をマネジメントする必要がある

2024年、ほとんどの分野で人材不足がほぼ確実視されるなか、企業は採用する人材の幅を広げる必要があります。2025年までに、ミレニアル世代やZ世代が世界の労働人口の70%以上を占めると予想されており、企業は豊富な人材を獲得することができます。
 
しかし、企業はそういった労働人口の変化に対応できているでしょうか?2024年は人材不足が続くため、企業は多世代から構成されるチームから高いパフォーマンスを引き出す必要があります。
 
ある調査によると、多様な世代が所属する企業では、知識の共有が促進され、問題解決能力や意思決定プロセスが向上すると言われています。
 
企業に必要なのは、優秀な人材を惹きつけ、確保する強固な人材パイプライン戦略の構築です。企業が取り組むべきアプローチは下記のとおりです。
 
  • キャリアの比較的浅い人材も採用する
  • 定年後の再雇用やシニア人材の活用
  • トレーニングとリスキリング
  • 候補者を特定のスキル要件に合わせてトレーニングを行い、顧客先に派遣できるようにする
求める人材を獲得するためには、優れた給与戦略だけでなく、より幅広い視点が企業に求められます。従業員のライフステージに応じて効果的にサポートできるように、仕事のやりがいやトレーニング、キャリアアップなどの要素を考慮し、調整していく必要があります。
 

重要性の増す派遣・契約社員の採用

不安定な状況が続き、柔軟性が求められるなか、派遣・契約社員の採用が有力なソリューションとして注目されるようになりました。エベレストグループは、フリーランサーやギグワーカーを含む柔軟な人材ソリューションへの依存度が高まっていることを指摘しています。アジア全域で広まっている生活費の高騰に対処するために追加の収入を求める人が増えていることがこの傾向をさらに後押ししています。
 
しかし、派遣・契約社員の採用は需要の増加やコスト削減に対する一時的な解決策にとどまりません。需要が高まっている新しい職種(テクノロジーや環境、ヘルスケア関連)と、企業が求めている必要なスキルをもつ人材とのギャップは、従来の採用手法では簡単に埋められるものではありません。
 
 
 
チーム内の人員補充や柔軟な人材戦略の拡大かにかかわらず、企業は考慮していくべき点がいくつかあります。
 
  • 有意義なデータを収集し、課題の対処に必要なスキルを明らかにする
  • 主要なステークホルダーと協力し、明確な指標と望ましい成果を伴う、明瞭で一貫性のある戦略を策定する
  • 最適な人材を獲得するために多様なアプローチを採用する
 

柔軟な働き方に対応する

最近、日本では新型コロナウイルスの感染者が再び増加しています。2020年の世界的な大流行には程遠いものの、「ソーシャルディスタンス」は従業員が福利厚生として柔軟な働き方を求めるいくつかの理由の1つとなっています。
 
ヘイズの調査によると、多国籍企業に勤める従業員に比べて日系企業の従業員の方が、完全出社の割合が高く出ています。多国籍企業では、週3日の在宅勤務と、完全出社の企業の割合が同程度です。調査対象となったアジア市場のなかで、日本の企業が完全リモートワークの割合が最も高く、日系企業と多国籍企業の従業員のそれぞれ8.0%と16.0%がリモートワークで働いています。また、月に1~3日しかオフィスに出社しない従業員の割合も日本が最も高くなっています。
 
 
 
調査対象となった従業員のうち、66.7%が現在の勤務体系に「賛同」または強く賛同しています。37.3%が、リーダーから文化の確立やチームの士気の向上には対面でのやり取りが重要と伝えられていると回答。また、19.1%は勤務先が日常的に協力して働くことが減ったと認識していると答えており、16.9%が勤務先は柔軟な働き方によって全体的な生産性が低下したと考えていると回答しました。
 
注目すべきは、現在の勤務体系に関する方針に賛同しない従業員の大多数(65%)が、現在完全出社または週4日のオフィス勤務をしていることです。「勤務体系に関する方針を誰が決めるべきか」という、回答者によって意見が分かれました。28.5%が企業・経営陣や上司が勤務体系に関する方針を決めることを好み、21.9%が企業や上司の関与なしでより分散された意思決定を望んでいました。
 
 
では、どこでバランスを取るのでしょうか?上記のデータによると、柔軟な働き方ができる環境が整っていれば、従業員の不満が減っていくことがわかります。また、ほとんどの従業員がビジネスの優先順位を受け入れることを考えると、1週間あたりの出社日数よりも、1か月単位やビジネスの繁忙期も柔軟な働き方を選択できることの方が重要である場合もあります。
 
また、リモートワークやハイブリッドワークでも、従業員のアウトプットを最適化できるツールもあります。Asanaのようなプラットフォームは、プロジェクトのディスカッションを一元化することで、チーム内およびチーム間の連携を促進し、従業員間の情報共有やスケジュール管理を容易にします。このようなツールは、特に派遣・契約社員や正社員、外国人従業員が所属する多様な人材を抱えるチームにとっては、良い投資となります。
 
注目すべきなのは、柔軟な働き方が福利厚生として高く評価されている一方で、従業員が会社を退職する理由や留まる理由の上位3位には入っていないことです。キャリアアップや新たな挑戦、給与、ワークライフバランス、上司や同僚との相性など、その他の要素も同様に重要視されています。優れたEVP(Employee Value Proposition=従業員への価値提案)をまとめたり、柔軟な働き方について従業員と話し合ったりする際には、これらの要素を考慮し、新たな人材を惹きつけ、確保するようにします。
 
最適な労働環境をつくるためには、柔軟な働き方を整備するだけでは足りません。従業員の帰属意識を高めることの重要性を認識することは、非常に重要です。DE&I(ダイバーシティ、エクエティ&インクルージョン)に関する方針を見直し、特にZ世代の人材を考慮したものに変えることをおすすめします。
 

IT職の需要が引き続き高い

企業は進化する状況に対応していくなかで、さまざまなイノベーションを目の当たりにしてきました。デジタルトランスフォーメーション(DX)の影響は単なるアプリやウェブインターフェースの開発にとどまらず、顧客データの保護を強化するためのサイバーセキュリティ対策の統合にまで及んでいます。
 
データ分析は依然として企業の要であり、極めて重要な意思決定の指針となっています。一方、クラウド移行の増加は、サーバーやインフラに対する技術的・物理的な課題と一致しています。このような安定した需要の流れは、高いスキルをもつ人材へのニーズを生み出しています。
 
2024年、自動化やAI、データ分析が極めて重要な役割を果たすことが予想されるなか、IT企業は将来の従業員に対して数多くの可能性や選択肢を与え、世界を切り拓いていくうえでITの役割が不可欠であることを強調しています。
 

転職・採用活動で利用が増加する生成AI

2023年、生成AIはビジネスのあり方を大きく変えました。ChatGPTは最初の2か月で1億人の月間アクティブユーザーを達成し、ライバルのTikTok(達成まで9か月)やInstagram(達成まで2年半)を抑え、最も急成長したコンシューマー向けのアプリケーションとして話題になりました。
 
世界のCEO(最高経営責任者)は生成AIの力を活用することに熱心ですが、採用における活用は初期段階にあります。日本では、16.2%の企業が採用プロセスでAIを最低限しか使用しておらず、18.8%は今後1年以内に検討すると回答。51.5%は採用プロセスでAIをまだ使用する予定はないと答えています。
 
 
 
採用活動でAIを活用している企業の上位3つの用途は下記のとおりです。
 
  • 34.2% 面接の日時設定と調整
  • 34.2% 候補者の適性に関する予測分析
  • 27.8% 書類選考や候補リストの作成
人事担当者の過半数(68.8%)が業務遂行に役立つAIツールの利用を支持しているにもかかわらず、そのうち29.6%のみが自分たちの組織が近い将来起こりうるであろう変化に備えるためにAIを導入していると答えています。
                                                                                                
AIの活用をためらう背景には、予算を含む標準的な規制の枠組みがないことが挙げられます。
 
この隔たりを埋めるために対応していくべきことは多くあります。39.6%はAIによる書類選考は偏りがある可能性があり、活用する前に対応が必要であると考えています。これは中国の回答者の多くが偏りに対処できていると考えているのとは異なります。また、ヘイズの調査では、採用にAIを使用している企業の21.5%がAI採用ツールの偏りをポジティブに評価していない一方、人事担当者の77.6%が上司や企業からAIツールの使用に関する方針を受け取っていないことがわかりました。
 
ヘイズ・アジアのマネージング・ディレクターを務めるMarc Burrageは次のように述べています。「企業は、採用におけるAIの導入の増加に備えて積極的な役割を果たす必要があります。これには、ベンダーに内在するバイアスを密接にモニタリングし、ASEANレベルで取り組まれている倫理的配慮を検討することが含まれます。企業は、このような戦略的かつ国際的な協力を活用することで、現地レベルで採用するために必要な枠組みを継続的に構築することができます。これは、特に採用や転職活動のプロセスにおけるAIの活用に対する従業員と求職者の期待を考慮すると、包括的な採用における信頼を得るために非常に重要です」。
 

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