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DE&I戦略を成功させるために私たちが取り組んだこと

DE&I戦略を成功させるために私たちが取り組んだこと

 

DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン=多様性、公平性、包括性)を戦略的に推進することは、近年ますます重要視されています。
 
まずご理解いただきたいのは、多様な人材が活躍できる職場を作ることは、企業やリーダーにとって「正しいこと」である、ということです。ヘイズは、大切にしている価値観の一つに「DO THE RIGHT THING(正しいことをする)」を掲げています。そして、DE&Iを幅広く根付かせることは、まさにこの「RIGHT THING(正しいこと)」であると信じています。DE&I戦略は、人事部門に任せておけば良いものではありません。企業のリーダーたちが率先して取り組むべきものなのです。
 
多用な人材が、公正なチャンスを与えられて、インクルーシブな(多様性を受け入れる)環境で働くことは、私たち自身の活動にも大きな利益となるのです。こうした視点から、私たちはグループ全体にDE&Iが浸透するよう努力しています。
 
私たちがダイバーシティの重要性や、ダイバーシティがクライアントとの関係に及ぼす影響を理解したのは、ずいぶん前のことになります。自分と違う経験を持つ人は、自分と違う意見や考えを持っているのが当然です。このようにさまざまな人たちとコミュニケーションをすることが、クライアントやステークホルダーのニーズや希望を理解する上で重要な意味を持つのです。
 
また、管理職が多様なバックグラウンドを持つ人材で構成されている企業は、従業員にとって居心地の良い職場になる傾向が見られます。また、生産性や収益性に優れ、市場でも状況に応じて俊敏に対応することができ、新しいことにチャレンジしていく精神に溢れています。これについて、世界的なコンサルティング会社、マッキンゼー社は次のように報告しています(英語のみ)。「産学にわたるさまざまな機関が公表している研究によると、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I=多様性、包括性)が浸透しているグループでは、認知バイアス(思い込み)や同調圧力が低い傾向が見られる。また、事実を重視して素早い意思決定ができる」。
 
しかしその一方で、DE&I計画の推進に躓いている企業も、決して少なくないようです。財務・人事管理、プランニングのアプリケーションを提供しているWorkday社がヨーロッパで実施した調査では(英語のみ)、75%の回答者が、ダイバーシティ推進のための予算を確保していることが分かりました。しかし、その一方でDE&Iについて何の戦略も持っていないという企業も3分の1を超えているのです。ヘイズ・カナダの報告によると(英語のみ)、人材採用にDE&Iの目標を設定している企業は、わずか29%に留まりました。
 
最近数年間を振り返ると、DE&Iを巡りさまざまな問題が各地で発生しました。リーダーである私たちは、こうした問題の改善に向けて真剣に考えるべきでしょう。私自身も、現実にこうした問題に直面することがあります。ビジネスリーダーの皆さんには、ぜひDE&Iをめぐる問題に真摯に取り組んでいただきたいと思います。
 
さて、3月8日の国際女性デーを迎えるにあたり、今回のブログではヘイズでこれまで展開してきたDE&I活動をご紹介したいと思います。私たちが、公平で、多様性を認める包括的な職場づくりのために進めている計画についてもお伝えします。皆さんが今後の活動を検討する上で、参考にしていただければ幸いです。
 

ビジョンを持つ

ダイバーシティとは、どのような形をしているのでしょうか。そして、どのように感じられるものなのでしょうか。私たちは、これについて非常に明確なビジョンを持っています。ヘイズは世界各国でビジネスを展開していますが、ビジネスには現地のマーケットやコミュニティの状況を反映することが肝要であること。そして、信頼と尊敬を大切にし、公正で多様性を認める文化を土台としたビジネスを展開すること。これが、私たちのビジョンです。DE&Iで問題が発生した時は、国や地域で対応方法は異なります。しかし、目指すところはどの国・地域でも同じです。換言すれば、これがダイバーシティの目指すところの本質とも言えるでしょう。つまり、目的を共有すれば、目に見える姿に違いはあっても、同じ経験をすれば同じような感情を抱くということです。
 

コミットメントを広げる

私たちは経営陣の取り組みの一環として、2019年にグローバルDE&I委員会を立ち上げました。これをきっかけに、私たちはDE&Iに本格的に取り組むこととなったのです。
この委員会は、非常に大きな役割を担っています。目標の設定や達成に向けて話し合いを進め、ヘイズのDE&I計画をグループ内に浸透させ、この計画についてディベートを行ったり、時には計画の改定も行います。
企業が公表するダイバーシティ計画は、社内だけではなく、社会に対する宣言でもあります。計画だけではなく、それに付随する声明文やコミットメントも発表し、DE&Iがその企業にとってどんな意味を持つのか、また、問題が発生したらどのように対処するのかも明らかにしましょう。
 

賛同の輪を広げる

多くの企業は、国際的な記念日に賛同することからDE&I活動を始めています。「国際女性デー」や「プライド月間(LGBTQ+の権利を啓発するイベントや活動が行われる)」など、重要な記念日をきっかけに従業員の意識を促すことから始めても良いでしょう。
こうした記念日を祝うことで、従業員の間では「社外でこういう記念日を祝うことができるのなら、社内でもこれを支援するために何かできるのでは?」という、前向きな意識が生まれるかもしれません。
 
 
 
プライド月間を祝福するヘイズUKのスタッフたち
 
 
こうした雰囲気が生まれたら、賛同者を増やして協力を呼び掛けるのです。情報工学者でありDE&Iについても提言している シェリー・アッチェソン氏はForbes誌で次のように語ります(英語のみ)。「インクルージョンの文化を確立するために積極的、意欲的に取り組む人であれば、誰もが仲間です。仲間とは、自分たちだけではなく、あらゆる人々に利益をもたらすための努力を自発的、積極的、そして意識的に取り組みを広げていける人たちのことです」。社内の人たちに仲間になるよう呼びかけ、これを支援するためのツールや方法を提供することが、DE&I活動推進のステップになります。
 
また、 カタリスト社が提言しているように(英語のみ)従業員を中心としたDE&I推進グループ(「Employee Resource Groups(ERGs)」の創設を支援することも有効です。ERGとは、「企業のミッションや価値観、目標、ビジネスなどに沿った形で、従業員が自発的にD&Iの浸透に取り組むグループ」のことです。ヘイズは、世界各国の拠点でこうしたグループを設置し、従業員の意見に耳を傾けています。
 
この他にも、社内で問題を提起したり、不安な点を質問したりできるよう「Diversity and Inclusion Steer Cos(DISCOs)」という専門の組織も立ち上げました。DISCOsは、私たちのDE&I活動を社外にもPRするなど、ヘイズのDE&Iで重要な役割を果たしています。
 

理解する

まさに今こそがDE&Iのために「何かをする」ことが求められている時代なのだと思います。それでは、一体「何を」することが求められているのでしょうか。これがこの問題の難しい所です。
 
ヘイズは、この問題を考えるためにHATCH Analytics社(英語のみ)に支援を求めました。同社はまず、ヘイズの従業員を対象に調査を実施しました。従業員が、ヘイズの社内文化をどのように考えているかをリサーチし、さまざまな意見を明らかにしてくれたのです。同社のコンサルティングのお陰で、私たちが目指すべき方向性が見えてきました。
どんなに優れた企業にも死角はあります。今回の調査を通して、私たちはヘイズが乗り越えなければならない「壁」を明らかにすることができました。外部の企業に第三者の視点で自分たちの現状を見てもらうことは、重要な事です。批判でも思い込みでもなく、ただ、ありのままを直視することが大切だったのです。
 
こうした調査を経て、私たちは2020年、私たちの信念やコミットメント、私たちが取るべき行動についてまとめた「Our Promise」を従業員全員に発表しました。
 

目標を設定する

私たちの意見が真っ先に一致した(もちろん慎重に議論した結果ですが)のは、目標を掲げることでした。ヘイズでは、行動を起こすときにはまず目標の設定が重要であると考えています。目標がどの程度達成できているのかを管理しながら行動していくこと、これが大切なのです。一方で忘れてならないのは、目標は私たちの状況を改善するための手段であり、義務やノルマではない、ということです。また、目標を達成したからと言って、私たちの活動が終わるわけではありません。
 
現在、ヘイズの各事業部門は、従業員の構成比や多様性の推進について、DE&Iに関するさまざまな目標を掲げています。これらの目標は、評価したり効果を測定したりすることが可能です。また、ヘイズグループ全体として、女性管理職の割合にも目標を設定しました。私たちはこの目標が、多くの従業員に前向きな影響を与え、グローバルなビジネス展開を進めて行く上で、多くの人の納得を得られる出発点になると考えています。ただし、他の多くの企業同様、経営幹部の男女構成比については、まだ具体的な目標を設定できてはいません。
 
近頃では、多くの企業でこうした目標が明確に掲げられるようになりました。しかし、まだ十分に浸透しているわけではありません。目標の設定は、有意義な行動のために必要です。また、目標を設定することで人材育成プランを妥協させ、低下させるものでもありません。
 

アクションプランの策定

目標の設定によって、具体的な行動計画も固まりました。ジェンダーに関する目標は、グループ全体で設定しましたが、それ以外のプランや目標は各国・地域で自由に設定しました。33ヶ国でビジネスを展開していると、それぞれの地域にそれぞれの事情があることがわかります。ダイバーシティの実現には、画一的なモデルは通用しないのです。
 
行動計画を立案するにあたり、ヘイズの管理職は「Conscious Inclusion」トレーニングを受けました。このトレーニングは自分自身の偏見を自覚し、それが職場にもたらす影響を理解することを目的とするものです。また、従業員の採用に「ブラインドリクルーティング」モデルも採用し、バックグラウンドに囚われない人材採用を目指しました。バランスの取れた人材選考ができるよう現在も努力しています。
 
この方法をグループ全体に浸透させ、ビジネスと整合させていくためには、まだまだ沢山のことを実行していかなければなりません。しかし、こうした取り組みを続けて何が最良の方法であるのかを学んでいけば、多様性に富んだ採用を実現するための「グローバル基準」を作り上げることができるでしょう。
 

ガバナンスとレビュー

ダイバーシティの推進は、決して終わることのない取り組みです。目標を正しく掲げれば、私たちは正しい方向に向かうことができます。しかし、私たちは時代の変化にも敏感でなければなりません。
 
ヘイズでは、DISCOやERGの活躍のお陰で、グループ全体でも、支店ごとでも充実した体制でDE&Iの活動に臨んでいます。そして、ヘイズで働くそれぞれの考え方の違いなども明確にできています。
 
この活動には、従業員と積極的に関わり、目標がどの程度達成できているのか注意を払い続けることが大切です。しっかりと周囲を見ていますか?目標は時代遅れになっていませんか?
 

私自身が学んだこと

私たちのミッションは、ヘイズという企業をより公正で、多様性に富んだ職場にすることです。現在、私たちの取り組みは順調に進んでいますが、私たちがやるべきことは、まだまだ数多く存在しています。DE&Iは、実現までの道のりが遠く、一筋縄ではいきません。しかし、実現に向けて踏み出すことは非常に意義のあることですし、最初の一歩さえ踏み出せば、すぐに大きなムーブメントになっていくでしょう。一つ一つの企業が動き出すことで、私たちの世界はより良いものになるのです。大企業であるとか、小さな企業であるとか、そんなことは関係ありません。ヘイズは、クライアントがDE&Iに向けて支援を必要としているときは、人材業界を牽引する企業として、私たちの力を最大限に発揮したいと考えています。
 
あなたの会社の取り組みはいかがですか。調査を実施したのなら、明らかになったことを周囲と共有しましょう。現実が、希望とかけ離れてしまうことも珍しくはありません。そのときは、言い訳をしてお茶を濁すのではなく、現実をしっかりと直視して下さい。問題が起こったとき、それは特定の誰かの責任ではありませんし、過去の計画や方針が誤っていたわけでもありません。しかし、何らかの原因があることは確かです。私が今回の活動で学んだのは、問題が見つかったときはこれを否定したり自己弁護しようとするのではなく、現実を受け止め、理解し、改善に向けて努力することが大切である、ということです。事実が明らかになったのならば、そのまま放置しておくことはできません。何らかの対策が必要なのです。
 
まずは、ビジョンの確立です。DE&Iの活動を進めることが、なぜより良い未来につながるのかを具体的に想像しましょう。そして、これがなぜ一部の人々だけではなく、あらゆる人の利益になるのかを説明し、理解してもらうのです。また、目標を設定し従業員に伝えることも大切です。
 
今回のブログでは、ヘイズのDE&I活動についてご紹介しました。皆さんの活動の参考になれば幸いです。
 
他にも、ブログで企業戦略やマネジメントに役立つ情報を紹介しています。こちらの記事もぜひご覧ください。
 
アリスター・コックス
ヘイズCEO
2007年9月よりヘイズのCEOを務めている。1982年に英国のサルフォード大学で航空工学を学んだ後、ブリティッシュ・エアロスペースの軍用機部門でキャリアをスタート。1983年から1988年までシュルンベルジェに勤務し、ヨーロッパと北米の石油・ガス産業において現場や研究の職務に従事した。
2002年には、ITサービスおよびバックオフィス処理会社であるXansaのCEOとして英国に帰国。Xansaでの5年間の在職中に、組織の再編成を行い、英国を代表する官民両部門のバックオフィスサービスのプロバイダーとなり、インドに6,000人以上の従業員を擁する、この分野で最も強力なオフショア事業を構築した。
 

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