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2021年に注目のIT職とは

2021年に注目のIT職とは
ヘイズ、グローバル・ヘッド・オブ・テクノロジー ジェームス・ミリガン

 

2020年は、IT産業にとっても未曽有の変化を遂げた年でした。新型コロナウィルスの流行で、多くの企業が一瞬にしてテクノロジー関連の目標や戦略、優先順位の変更を余儀なくされたのです。背景にあるのは、テレワークやeコマースなど、新たなリモートニーズへの対応でした。

しかし、急激な変化に晒されたのは、私たちの働き方だけではありません。商品・サービスの購入方法や、ブランドに対する考え方もわずか数ヶ月で一変しました。消費者行動の変化により、企業はビジネスの提案や戦略を全般的に見直すよう迫られたのです。つまり、企業は、これまでよりも幅広いテクノロジーやデータ、分析結果を新たな方法で活用しなければならなくなりました。

市場の激変と共に、テクノロジーへの依存度も一段と高まりました。企業とその従業員、顧客が新しい時代に対応し、繁栄していくために、テクノロジーが必要とされているのです。

2021年以降に最も需要が高まるテック分野やIT職上位6

1. サイバーセキュリティ

CEOを始めとするビジネスリーダーが今、最も必要としているのがサイバーセキュリティを担う人材です。サイバー犯罪に絡む費用が、2021年に年間6兆ドルに達すると推計されていることに鑑みると、この職種がトップにランクされるのも当然のことと言えるかもしれません。  サイバー犯罪の急増で、関連費用が急増していることから、企業はサイバーセキュリティ分野の優秀な人材を採用し、企業防衛を図ろうとしています。

さらに、働き方が多様化したことで、セキュリティに関する問題が多発しています。従業員が自分のデバイスを使用することで発生する問題や技術的な問題もありますが、ユーザー数が過去最高数に達したことで、会社が支給したハードウェアを使用しても問題が発生するケースも出てきました。 

サイバーセキュリティ関連の問題を解決するには、1年間で310万人のサイバーセキュリティ人材が世界中で必要になると言われています。しかし、こうした人材をすべて調達することは非常に難しいでしょう。これらを考慮すると、2021年に最も需要が伸びる職種は、サイバーセキュリティ関連であると思われます。具体的には、セキュリティ・オペレーションやガバナンス、リスク&コンプライアンス、IDや承認されたアクセスの管理、クラウド関連のセキュリティとアーキテクチャなど、テック部門の中でも急成長している分野の人材へのニーズが  が高まりそうです。サイバーセキュリティを担当する人員が増えれば、情報セキュリティ分野を統括する最高責任者マネージャーなど、リーダー職への需要も伸長するでしょう。

2. クラウドソリューション

2020年は、業種を問わず多くの企業がハイブリッド勤務の導入に向けて、クラウドサービスの活用を開始しました。オンラインメディアのComputerWeekly.comによると、IT部門管理職の82%が、コロナ禍をきっかけにクラウドの活用範囲を広げたと答えています。

新型コロナウィルス流行当初は、従業員のテレワークシフトを迅速に進めるため、クラウドへの移行は非常に急ぎ足で行われました。このため、現在は、クラウドのシステムが堅牢であり、自社の要求水準に適した動きをしているか、もしくは期待通り最適な形で運用されているかを確認する必要があるのです。

こうしたことから、クラウド分野の求人で上位に入るのは、クラウドエンジニアクラウドアーキテクトであると予想されます。この分野で主要なスキルとされるのが、Amazon Web ServicesAWSMicrosoft Azure 関連のスキルで、この2つのソリューションを使用する企業は80%に達すると言われています。クラウド分野は売り手市場になることが予測され、求人市場の「ホットエリア」となるでしょう。

3. データサイエンス

複雑なデータを分析・解釈し、企業が十分な情報に基づき、タイムリーかつ有益な判断が出来るよう支援するのがデータサイエンスです。データサイエンティストは、機械学習のアルゴリズムに造詣が深く、モデルデータの作成やビジネス上の課題特定、適切なソリューションの実施を通して企業を支援します。

では、企業にとってのデータサイエンスがどのような価値を持つのか、実例を挙げて説明してみましょう。皆さんもご存じの通り、今回のコロナ禍で世界中のフィットネスジムが休業や閉鎖に追い込まれました。これをきっかけに自宅などで運動を行う人が増え、健康状態をモニタリングするスマートデバイスの売上が急増しています。こうした機器類は、私たちのライフスタイルの変化により、ますます不可欠なものになっています。この結果、企業が活用できるデータの数も増加、そしてこの増加に伴いこれらを分析する人材へのニーズも増大しているのです。

こうした背景から、2021年は、データアナリストデータサイエンティストもテック関連の求人上位に連なることになるでしょう。事実、世界経済フォーラムが発行したレポート、「Future of Jobs Report 2020 では、フィットネス産業だけでなく、全業種で両職種の需要が増大していると報告されています。例えば、ヘルステック企業のLetsGetChecked社は、創立以来の急成長を遂げたのち、データーサイエンティストの大量募集を発表しました。

個人的見解では、EdTech(教育テクノロジー)やMedTech(医療テクノロジー)の分野でも同じ傾向が見られるようになると思います。古いデータやモデルは、もはや現状を反映しているとは言えません。このため、新しいデータやモデルを開発したり解釈したり出来る人材が必要になるのです。つまるところ、ビジネスは情勢を読む力に掛かっています。企業がデータに強い人材を求める理由もここにあるのです。

4. DevOps

AWSは、DevOpsについて「その企業の哲学、オペレーション、ツールを組み合わせた開発手法であり、企業はこれを活用することでアプリケーションやサービスを非常に迅速に提供出来る」と定義しています。このモデルの重要な特徴は、開発チームとオペレーションチームが縦割りではなく、時には一つのチームになり、協力し合ってシステムを開発することです。

DevOpsエンジニアは、関係者と協力してソフトウェアの開発を担当することが多く、コードのリリース状況をモニタリングしてソフトの非効率的な部分を特定したりしています。しかし、DevOpsエンジニアの守備範囲は、ソフトウェアのモニタリングやトラブルシューティングだけではありません。必要に応じて、編集や再設計などもこなします。

DevOpsの重要性は、2021年になっても変わらないでしょう。数年前と比較すると、DevOpsエンジニアのチームを要する企業の数も格段に増えています。今年もこの分野では、プラットフォームエンジニア、ビルドエンジニア、リライアビリティ・エンジニアのポジションを中心に引く手あまたの状態が続くものと思われます。実際、DevOpsの市場は、過去5年で40%から 45%の伸びを見せていますが、今年はこれをも上回る成長率を記録するかもしれません。

5. ソフトウェア開発

市場の激変に適応し新しい時代にシフトするために、企業は新しい製品、ツール、サービスを生み出さなければなりません。このために必要とされるのが、ソフトウェア開発者です。需要があるのは大型開発を担当するバックエンド開発者だけではありません。UX(ユーザーエクスペリエンス)などのフロントエンド開発者にもニーズがあります。フロントエンド開発者は、構築したソフトウェアの使い勝手を改善し、また、設計・構築の両方の観点から運用しやすいソフトウェアを作り上げることが出来ます。  

IT企業は、新しい時代に消費者から求められる製品やサービス、ツールを提供していますが、こうした企業で働く開発者に対する需要は、特に高まることでしょう。ビデオ会議などのサービスを提供しているZoom社は、コロナ禍の中で業績を急伸させ、大幅な増益を記録するとともに、売り上げ予測を2倍に引き上げました。

しかし、ソフトウェア開発者が貢献出来るのは、IT企業だけではありません。あらゆる産業のあらゆる企業が、ビジネスの運営をテクノロジーに依存しています。例えば、配車サービス会社のUber社は、テクノロジーを効果的に活用することで、ドライバーが効率的に乗客を乗せることが出来るようにしました。今の世界で、企業を強くすることが出来るのはテクノロジーです。このため、ソフトウェア開発者の需要も引き続き高止まりするでしょう。今回のコロナ危機により、新たな課題が数多く浮上しています。企業がこれらの課題を革新的に解決するためには、ソフトウェア開発者の存在が欠かせないのです。

6. チェンジマネジメント

私がこれまで述べてきたテクノロジーやスキル、ポジションは、企業が重視しているものとしては比較的新しいものです。今回のコロナ禍が変化を加速度的に推し進めたことによって生じた傾向であるとも言えるでしょう。こうした変化の管理を上手く行うことは、企業が2021年も成功を収めるために、非常に重要です。

最近私が話を聞いたクライアントは全てチェンジマネジメントの導入に着手していました。ソリューションを自社で開発している企業もあれば、他社から購入したり、自社開発と購入を併用している企業もありました。このため、素早く機動的にチェンジマネジメントを実行できる人材は、非常に重宝されるでしょう。

チェンジ・ファシリテーターチェンジ・マネージャーは、こうしたチェンジマネジメントを可能にする人材です。彼らは、アナログからデジタルへの移行をスムーズに実行したり、サードパーティ企業と協力してその製品やサービスを企業に導入し、効果的なチェンジマネジメントを支援します。

変化する世界の中で、急伸するテック人材への需要

この1年間で急激な変化を遂げたのは、IT産業だけではありません。私たちが働くビジネスの世界全般に大きな変化が見られました。企業は新しい時代を迎えても繁栄していけるよう、本コラムで紹介した6つの分野の人材をそろえておく必要があります。

2021年以降も、テクノロジーへのシフトは続いていくでしょう。企業も求職者も、相応の心構えが必要です。今年必須とされたスキルやポジションは、今後数か月、数年にわたり需要が加速度的に伸びていくことが予想されているのです。

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ジェームス・ミリガン

ヘイズ、グローバル・ヘッド・オブ・テクノロジー

 

ジェームズ・ミリガンは、2000年にヘイズのテクノロジー部門のグローバルヘッドに就任。彼の役割は、ヘイズのテクノロジービジネスの世界的な戦略的発展である。