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キャリアチェンジのリスクを最小化する5つの方法

キャリアチェンジのリスクを最小化する5つの方法

キャリアで大きなリスクを取った人の話を聞いたり、見かけたりすることも多いと思います。異業種へのキャリアチェンジや、遠く離れた海外への転職、成功を収めている大企業から中小企業への転職、あるいは自分の会社を立ち上げた人もいるかもしれません。そのなかには、間違いなく成功した人もいる一方で、失敗した人も少なくありません。
 

大志を抱く

キャリアチェンジのリスクを最小化する方法について考える時、私自身の経験がベースになっています。私は現在、ヘイズ中国でビジネスディレクターを務めていますが、私自身にもキャリアで大きなリスクを取った、人生のターニングポイントがありました。2003年の夏、ドイツのミュンヘンに住んでいた私は、仕事を辞めようとしていて次は何をするかを決めなければなりませんでした。
 
その時私は、ドイツに残ることも、フランスにいる家族のもとに帰ることもせず、別の国で自分の運を試そうと大胆かつ無謀な行動に出たのです。
 
ドイツでは、多くのロシア人と知り合い、ロシア語も少しは勉強していたので、モスクワで運試しをしてみることにしました。2003年9月ロシアに渡り、モスクワ大学で3か月間ロシア語の授業を受けた後、BtoB企業で営業の仕事に就きました。そこでロシア語を上達させながら営業経験を積み、その後10年間を過ごすことになる人材紹介会社に出会いました。数年後には、採用コンサルタントからパートナーまで務めることになります。今振り返ってみると、2003年夏に下した思い切った決断が、現在の自分を生み出したのだと思います。
 

地に足をつけて

2012年、当時の会社が何年も前にオフィスを構えていたものの、90年代の終盤から再進出できていなかったウクライナに行くことを決めました。1年も経たないうちに、現地の強力なコンサルタントチームと安定した顧客、そして旧ソ連諸国でも有数の人材紹介会社である勤務先からのサポートと高い評価を得ることができました。ウクライナとロシアの間に文化的なギャップがあまりなかったことも成功の要因の1つでした。順調な道のりでしたが、この後直面する事態は想像もしないものでした。
 
2014年初頭、ウクライナは当時の大統領を追放し、激動の時代に突入しました。経済は深刻な不況に突入し、今後数年間の経済的な見通しが一気に暗くなったのです。当時勤めていた会社は当然のことながら、プロジェクトの中止を決定しました。4ヵ月後、自分の状況は「将来のウクライナ・カントリー・マネージャー」から「失業者」に一変したのです。しかし、このような事態に対して何かできたかというと、正直なところ「ノー」だと思います。ドイツからロシアに移ったとき、より入念に準備をしていたとしても、失敗をしたでしょう。
 
キャリアにおいてリスクの伴う行動を成功させるために、絶対にしておくべきことやすべてに通用するセオリーはありません。外部要因はコントロールできるものではなく、運による要素も大きいからです。しかし、リスクを最小限に抑えることはできます。今回のブログでは、キャリアチェンジのリスクを抑え、キャリアアップを成功させる5つの方法をまとめました。
 

1.責任を持って行動する

友人は「決断するのは簡単だが、責任を取るのはもっと難しい」と言いました。独身でキャリアが浅いうちは、大胆なキャリアチェンジは簡単です。しかし、一家の大黒柱であったり、キャリアの中盤にさしかかったりするとキャリアチェンジはより難しくなります。前者の場合、自身の決断は自分だけに影響しますが、後者であれば何人もの人に影響するからです。状況は人それぞれですが、たとえば以下のように自分に問いかけることができます。
 
  • パートナーは働いているか
  • 貯金はあるのか、現在の貯金でどれくらいの期間生活できるのか
  • キャリアチェンジで生じる変化に家族はどのように対応することになるのか
キャリアチェンジがプライベートに与える影響について考えることは大切です。思い切った決断が裏目に出ることはあるので、家族への影響が少なければ少ないほど良いと思います。
 

2.キャリアチェンジの難しさを考える

社内で異動して違う仕事をする、あるいは職種を変えずに転職をすることはそれほど難しくありません。しかし、職種と会社を一気に変えることは、はるかに大変です。新しい業界、新しい職種、新しい会社、新たな国でのチャレンジは、キャリアの初期でない限り、かなり困難だと言えます。
 
変化を伴うキャリアチェンジを考えるときは、変動要素が同時にいくつ発生するかを考える必要があります。一つなら問題ありませんが、二つだと大変です。二つ以上はお勧めしません。(一人で生活をしている場合や、変化に対応できる方法がある場合は除く)。
 

3.決断に影響を及ぼす要因をすべて列挙する

新しい状況に影響を及ぼす可能性がある要因をすべてリストアップできなくても、主な要因を見つけることは難しくないはずです。新しい状況にどのような影響を与えるのか、その影響をどう防ぐのか、または最小限に抑えることができるか考えてみてください。過度に悲観的になってはいけませんが(新しいことに挑戦できなくなるので)、すべてがうまくいくと単純に考えてもいけません。
 

4.プランBを持つ

新しいキャリアの選択肢に熱中し、成功信じてやまないあまり、失敗する可能性についてまったく考えない人がいます。これは強みにもなりますが(フロイド・メイウェザーJr.はその一例)、失敗をしても何も得ることができなかった人は、プランBをもっておけば良かったのにと思うかもしれません。セーフティネットとなるプランBは、以下のように考えられます。
 
  • 目標を達成できなかったらどうするか?
  • もしそう願えば以前いた場所に引き返すことはできるか?
  • 別のキャリアを始めるのに役立つスキルを身に着けることができるか?
本格的なプランBがない場合でも、少なくとも失敗を想定し、自分にとってどのような意味を持つのか考えることが大切です。
 

5.直感を信じる

すべての人に当てはまるかどうかは分かりませんが、私は難しい決断を迫られたとき、「頭の中の声」に耳を傾けます。急いで決断する必要がなければ、時間とともに何が良い決断なのか明らかになることが多いからです。日本には「武士は七度息を吸って決断する」という言葉がありますが、まさにその通りだと思います。急がず、十分に考えることが大切です。しかし、十分に検討した上で、まだその選択ができるのであれば、思い切って決断してみてください。
 

人生の分かれ道

人生で少しのリスクもなく、自分の可能性を最大限に発揮できる人はほとんどいません。失敗を恐れずに挑戦することで、自分では気づかなかった才能を見つけ、成長することができます。しかし、未知の領域にやみくもに突っ走るのはお勧めしません。自分のキャリアを客観的に評価し、Aの道またはBの道を選んだら何が起きるのか、さまざまな選択肢を考慮してリスクを最小限に抑えることが大切です。私の経験も踏まえ、キャリアチェンジのリスクを最小限に抑えるための参考になれば幸いです。
 
他にも、転職活動やキャリアアップに役立つ情報を紹介しています。こちらの記事もぜひご覧ください。
 
 
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著者

クリスチャン・レポラード
ヘイズ中国、ビジネスディレクター
13年以上の経験を持ち、そのうち11年以上は専門性の高い人材やエグゼクティブ・サーチ(経営・上級管理職の採用)に関するコンサルティングまたはマネジメントに従事。2016年1月にビジネスディレクターに就任。現在は、ヘイズ中国の北京オフィスでマネジメントをしている。
現職に就く前は、エグゼクティブ・サーチの分野で1年半、ロシアのカントリーマネージャーおよびヨーロッパのエグゼクティブ・サーチ企業におけるコンシューマー事業のシニアコンサルタントを務めた。それ以前は、モスクワの英国系人材紹介会社で約10年間勤務。人材コンサルタントとしてスタートし、パートナーまで昇進した。
人材紹介会社でのキャリアにおいて、ほぼすべての業務と業界をカバーし、中堅から経営レベルのポジションを担当。マネジメント経験は、ゼロからのチーム構築、ビジネスの立て直し、新しいオフィスの立ち上げなど多岐にわたる。フランス・ストラスブールのInstitut d'Etudes Politiquesにて公法と経済学の学士号、ドイツのニュルンベルクにあるFriedrich-Alexander-UniversitaetにてMBAを取得。

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