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転職初日の緊張に負けないために

転職初日の緊張に負けないために

 

間もなく転職先で新しい仕事に着任しようとしている皆さん、今頃は内定を手にしたときの興奮も落ち着き、不安な気持ちが頭をもたげつつあるのではないでしょうか。しかしこれは無理もないことです。どんなに自信がありそうな人でも、新しい仕事を始める直前は緊張や不安で神経が磨り減る思いをしています。誰もが避けては通れない道なのです。
 
緊張や不安は、未知のものや変化に対する体の自然な反応(英語のみ)です。さかのぼること数千年前、人間は野生動物や有毒植物など、自らの生命を危険にさらすものと共に生活していました。これらが命を奪う可能性があることも知らず、理解できず、予想すらしなかった時代から、人間の体はこのような働きを見せていたのです。
 
人生の重大な局面を前にして適度な緊張感を持つことは、とても大切なことです。これを上手くコントロールすることができれば、新しい仕事の就任当初から優れた成果を挙げたり、協力し合う仲間に良い印象を与えたりすることができるものです。逆に、コントロールできなくなると、努力が空回りし順調なスタートを切ることが難しくなります。
 

緊張や不安を和らげる9つの方法

転職初日を前に不安と緊張が膨らんできたら、以下のポイントを参考に、当日までの数日間・数週間で、どのような準備ができるかを考えてみましょう。
 

1.緊張や不安は、やがて消えていく

緊張や不安は一時的な感情に過ぎません。数日後には、なぜ自分がこんなに不安で緊張していたのか不思議に思うことすらあるかもしれません。くよくよと思い悩むよりも、転職を決めた動機を思い出してみましょう。「新しいチャンスをつかみたい」、「新しい仲間に出会いたい」、「違う環境で働いてみたい」、「新しい企業や面白い企業で働いてみたい」などの希望があったはずです。今は、未知のことで不安に囚われるよりも、期待に胸を膨らませておきましょう。
 

2.周囲の視線や評価を過剰に意識しないように

初日は新しい同僚に良い印象を与えたい 」、「入社早々失敗しないように」などと、自分を追い込まなくても大丈夫です。完璧主義を目指すのは現実的とは言えませんし、長期的にはパフォーマンスの向上にもつながりません。仕事に弾みがつくまでに数週間から数ヶ月間は必要です。また、初日から完璧な仕事を求められることはありません。周囲の視線や評価を過剰に気にせず、まずはできる限りよい第一印象をもってもらうことに集中して下さい。
 

3.すべてを「成長の機会」と捉える

成長意欲が高い人材は、新しい仕事に恐れを感じるよりも、むしろこれを学び、成長するチャンスと捉えます。ネガティブ思考が頭をもたげてきたら、できる限り振り払うよう努力しましょう。新しい仕事も、当初は難しく感じるかもしれませんが、「そのうちできるようになる」と自分を励ましてみましょう。今手にしている新しい仕事は、これまで一生懸命働いてきたあなたにふさわしいチャンスなのです。あなたにはこれまで、仕事だけでなく人生においても、さまざまな変化に向き合い、前向きに乗り越えて来た経験があるはずです。また、「初日」を迎えるのは今回が初めてではないでしょう。過去にもずっと、何らかの「初日」を乗り越えて来たのですから、今回だってきっとうまく通過することができるはずです。目的意識を持ち、前向きに取り組む姿勢を身に着けることで、成長意欲を育み、不安を緩和していくことができるでしょう。
 

4.自分を過小評価してしまう「インポスター症候群」に注意する

時には、「私はまだまだ一人前じゃない」と、ネガティブな言葉が頭に浮かぶかもしれません。こうした思いはきっぱりと振り払い、代わりに「私にはこの新しいチャンスを手にする資格がある」と自分に言い聞かせましょう。あなたがこの仕事を手にしているのは、新しい上司にスキルや経験を認められ、多くの候補者の中から選ばれたからなのです。つまり、あなたに今の仕事をして欲しいと願ったのは、上司を始めとするあなたを選んでくれた人たちです。「当然じゃないか」と思われるかもしれませんが、不安や緊張に囚われているときは、大切なことを見失いがちです。「私は面接でアピールしたほど優れた人物ではない」とか、「仲間たちほど優れた能力がない」、「そのうち私が優秀でないと皆に知られることになるだろう」などと悩むのは止めましょう。自分を肯定する材料を見つけ、内定をもらったときの喜びを思い出して下さい。このように気持ちを整理することで、新しい職場でも意欲的に仕事に取り組むことができるでしょう。
 

5.視野を広く持つ

「間違えずに通勤できるだろうか」とか、「周囲に馴染むことができるだろうか」、「仕事を上手くやれるだろうか」など、同じことが何度も気になったり、「もしあの時こうしていれば」などと過去を振り返ったりしてはいないでしょうか?新しい職場で良いスタートを切ることは、確かに大切です。しかし、これも人生の中のほんの1章に過ぎません。あなたの人生には、今後もさまざまな局面が待ち受けています。これらを乗り越えて、課題に向き合い、前に進むことが必要なのです。視野は広く持ちましょう。今直面している変化にもやがて慣れ、次の変化に向かって進んで行くことができる時が来ます。そして、すぐに他のことに気持ちを向けるようになるでしょう。人生とは、概ねこうしたものなのです。
 

6.新しい上司と交流を

可能であれば、初出勤の前に新しい上司に連絡し、交流しておけば不安も和らぐ でしょう。メールを送ったり、対面で挨拶する機会などを設けて、入社日を心待ちにしていることを伝えてみても良いかもしれません。新しい上司の人柄を知るとともに、入社後にどのようなサポートを期待できるのかを話し合っておけば、緊張や不安も和らぐことでしょう。
 

7.転職初日の直前は、充実した1日を

入社日直前の1日は、自分が好きなことをして過ごしましょう。1日すべてを使い切る必要はありませんが、直前の日の過ごし方次第で、気持ちの在り方も大きく変わってきます。友人とのランチやサイクリング、映画鑑賞など自分が楽しめるものを企画してみましょう。体を動かすこともお勧めです。人間の体は、運動をすることでエンドルフィンという脳内ホルモンを放出しますが、これにはストレスを緩和し、幸福感を高める効果があるのです。いずれにせよ、この日はあなたにとって充実した1日になるよう計画しましょう。そうすれば、翌日から始まる仕事のことで頭がいっぱいになり、悩んで過ごすことから解放されますし、初日に新しい仕事で躓くことがあっても、落ち着いて冷静に対応することができるはずです。
 

8.不安や心配事を友人や家族に打ち明けてみる

「分かち合えば、苦しみは半分になる」という格言がありますが、これは正にその通りです。転職初日を目前に不安や心配事があるときは、友人や家族などに打ち明けてみましょう。彼らはきっと、良いアドバイスをくれたり、あなたの視野を広げてくれるはずです。あなたの迷いや孤立感は解消され、思い込みに囚われることもなくなるでしょう。
 

9.事前の準備は十分に

準備を十分に済ませておくことも大切です。入社日の数日前には当日の服装や通勤ルートを確認し、新しい会社のリサーチも済ませておきましょう。また、新しい上司に、事前に眼を通しておくべき本や資料はないかを確認しておくのもお勧めです。
 
緊張や不安が生じたら、目を背けるのではなく、上手く付き合うことが大切です。これができれば、入社初日から新しい仲間に良い印象を与え、仕事でも最高のパフォーマンスを発揮することができるでしょう。
 
皆さんが新しい職場で存分に力を発揮し、キャリアの新しい扉を開いていくためにも、今回ご案内したポイントがお役に立てれば幸いです。
 
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著者

アレックス・シュテインガルド
ヘイズ・ロシア マネージング・ディレクター
アレックスは、2008年にヘイズ・ピーエルシーに就任。現在ヘイズ・ロシアでは、会計や金融、ITなどの専門分野や石油・ガス、資源、鉱山など工業分野の部門強化を進めている。Russian State Academy of National Economyで経済学を専攻。その後、国際的なエンジニアリング企業でプロジェクト・エグゼクティブに就任し、同社で8年以上のキャリアを積んだ後、ロシア支社のマネージング・ディレクターに任命される。ヘイズでは9年のキャリアを有し、現在は北部・中部・東部ヨーロッパを統括するマネージング・ディレクターの直下で活躍している。

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