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FIVE THINGS THAT MOTIVATE YOUR EMPLOYEES MORE THAN MONEY

お金に頼らず部下のモチベーションを上げる5つの方法

 

「無報酬で働いて下さい」と言ったら、部下はどのような反応をするでしょうか。恐らくほとんど誰も聞き入れようとしないでしょう。お金は、私たちの日々の生活に欠かすことができないものです。私たちの誰もがこれを理解していますが、生活に困らない程度の給与をもらえるようになると、お金はどの程度のモチベーションになるのでしょうか。

働いている私たちにとって、モチベーションとは一体何でしょうか。これについては、長い間研究が行われてきました。この結果、お金は最も重要な動機ではなく、あくまで二次的なものに留まる、ということが分かりました。

ヘイズは2019年に 5,500人を超える社会人を対象に、転職に関する意識調査を行いました。その結果、給与や福利厚生などの待遇への不満を理由に挙げた者は僅か13%に過ぎませんでした。実際に転職理由として挙げられたのは、変化を求めた新しいポジションへの挑戦(40%)、より良いトレーニングやキャリアパス(22%)でした。

今回のコラムでは、給料や報酬以上に部下のモチベーションを向上させる要因を、詳しくご案内していきます。

部下のモチベーションを上げる5つのポイント

 

1. 仕事への意義と目的を感じさせる

ヘイズのCEO、アリスターコックスは、以前自身のブログの中で、仕事に意義や目的を求める人たちは増える傾向にあると、伝えています。換言すれば、「世の中に貢献したい」、「世の中の役に立ちたい」と考える傾向が強くなっているのです。この背景には、コロナ危機の中で医療従事者やエッセンシャルワーカーたちの勇敢な働きぶりを目の当たりにした人々の意識の高まりがあると言っても良いでしょう。自らの仕事に意味を求め、全く異なる業界への転身を考え始めた者もいるかもしれません。一方で、現在の自分の仕事を新しい方向に変えて行ったり、これまでのキャリアパスを捨てて全く異なるキャリアへの挑戦を視野に入れている人もいるのかもしれません。

これを裏付けるように、ハーバード・ビジネス・レビュー誌による調査では、有意義な仕事ができるならば給与が下がっても良い、と回答した人々の割合は10人のうち9人に上りました。これを見れば、仕事において目的意識がいかに重要であるかがお分かりいただけるでしょう。労働生産性やリーダーシップのエキスパートであるブライアン・コリンズ氏は、「スキルの高い従業員ほど、自分の仕事が最終的にどのような影響を及ぼしているかを気にします。これが見えなくなると、仕事を辞めてしまう可能性が高くなるものなのです」と語ります。

この他にもさまざまな調査によって、従業員のモチベーション向上には、仕事に意義や目的があると感じてもらうことが大切であると分かっています。例えば、ミレニアル世代の57%は自分の仕事が世の中に良い影響をもたらすことが重要であると答えています。また、従業員の評価プログラムなどを提案するグロボフォース社が運営する研究機関、ワークヒューマン・リサーチ・インスティチュートとIMB社のSmarter Workforce Institute が共同で行った2017年研究結果によると、従業員の経験に前向きな意識をもたらす最大の要因は意義のある仕事であることが分かっており、これは他の項目を大きく引き離しています。

では、部下に自分の仕事が有意義であると感じてもらうためには、何をすべきなのでしょうか。アリスター・コックスは、上記のブログの中で、リーダーが中心となって部下とコミュニケーションを取り、部下たちが自分の仕事に意味を見出せるように導いていくことが大切であると述べています。「どんな仕事を楽しいと感じるのか、また、有意義であると思うのはどのような仕事なのかをチーム全員でオープンに話し合いましょう。[中略] 全員の意見がまとまったら、重要な仕事を改めて配分し直し、チーム全員が高い生産性と充実感を持って仕事ができるように対処しましょう」とコックスは言います。

ロンドン・ビジネス・スクールで組織の研究を担当しているダン・ケーブル教授もまた、ハーバード・ビジネス・レビューの記事の中で、部下に仕事の意義を感じてもらうためのポイントを伝えています。同教授によると、大切なのは、自分や会社の仕事はビジネスにとって真に重要なものであり、将来も必要とされるものであること、また、部下自身にとっても有益なものであると理解してもらうことです。

つまり、自分がチームの中で果たす役割を自覚し、チームに欠かせない一員となることが大切なのです。部下は、自分がビジネスに与える影響が大きいと思えば思うほど、仕事への当事者意識を持つようになり、会社の成功を自分の成功のように喜ぶことができるようになるのです。

2. ポジティブな企業文化を築く

世界屈指のコンサルティング・グループであるデロイトが実施した調査によると、従業員のモチベーションには、その企業文化が大きな鍵を握っています。「仕事に価値と充足感を感じている」と答えた従業員は、同時に「自分の企業が確固とした企業文化を持っている」と考えている割合が非常に高いという結果が出たのです。ヘイズのCEO、アリスター・コックスは LinkedInのブログの中で、「企業文化とは、すなわちその企業の人格であり、他社との差別化となる個性のようなものです。企業文化は、優秀な人材を惹き付けるとともに、どんな困難にも直面しようともその企業で働き続けたいと思う礎となるものです」と説明しています。

今回のコロナ禍で、企業文化の改善が従来よりも難しくなったのは確かです。しかし、こうした「異常事態」は、私たちの企業文化を考え直し、復活させていくための好機と言えるのかもしれません。今後はオフィスで働く従業員とリモートで働く従業員が混在するハイブリッド勤務が定着していくでしょう。企業文化は、こうした趨勢に応じて必要な変化を遂げていかなければならないのです。

以下に、企業文化を維持し部下のモチベーションを向上させるために、管理職が考えるべき3つのポイントをお伝えします。

  • ウェルビーイング 「燃え尽き症候群」に注意しながら、ウェルビーイングと心身のケアを大切にする習慣を作りましょう。働きすぎの兆候が出てきたら、ウェルネスプログラムの導入 を検討しても良いかもしれません。こうしたプログラムの導入は、会社の競争力向上にも役立ちます。情報サービスのリーディングカンパニーであるExperian社は、最近、オンラインでヨガのクラスをスタートさせています。とりわけ重要なのは、メンタルヘルスのケアに関するものでしょう。こうしたプログラムが充実すれば、部下は疲弊することなく、モチベーションを維持してベストを尽くすことができるようになります。調査会社ギャロップ社が行った調査では、企業で働く労働者の53%が、ワークライフバランスやウェルビーイングの充実化が「非常に重要」であると回答しています。もちろん、管理職である皆さんにとっても重要なプログラムであることは言うまでもありません。

  • 思いやり ある調査によると、管理職5人に4人は、「思いやりあるリーダーシップ」について誤解しているようです。「思いやりあるリーダーシップ」とは、単に「優しい」ことや「部下を愛する」ことではありません。それどころか、ヘイズ・ドイツのチーフ・オペレーティング・オフィサーであるクリストフ・ニューワースの説明によると、これらとは全く異なるものです。ただし、部下のやる気を引き出すためには、必要以上に高圧的に接したり、突き放したりすることはすべきではありません。部下の立場で考え、彼らが成功し成長するための支援を行うなど、相手への共感力もまた必要なのです。ニューワースは、思いやりのあるリーダーになるために必要な8のステップ についても詳しく説明しています。思いやりのあるリーダーは、より共感力の高い文化を根付かせることもできます。部下のモチベーションを高めたい、十分なサポートを行いたいとお考えの皆さんには、ぜひご一読いただきたい内容です。

  • ダイバーシティ ダイバーシティの推進は、職場に現実の社会を反映させる手段として奨励されてきました。しかし、資産運用などの金融サービスを提供しているスタンダード・ライフ・アバディーン社のチーフ・エグゼクティブ、キース・スケオック氏は、ダイバーシティは、「正しい行いである」ものの、それ以上の意味を持っている、と語ります。また、さまざまな従業員が気負わずにありのままでいられる環境を作るためには、多様なバックグラウンドを持つ従業員を採用するインクルーシブな文化も必要です。ダイバーシティ&インクルージョンの文化が定着していけば、従業員は自分の考えや意見を躊躇せずに言えるようになります。つまり、多様な背景に支えられた、幅広い層の従業員の働きを大切にする企業文化が生まれるのです。自分が力を発揮できる環境におり、注目されていると感じれば、部下はベストを尽くすべくモチベーションを高めていくでしょう。

3. 努力したらこれを認める

部下がチームに貢献したり目標を達成したら、公平に認めて感謝しましょう。臨床心理士として高名なフレデリック・ハーズバーグ氏は、これを「ハイジーン・ファクター」と呼んでいます。ハイジーン・ファクターとは、提供しなければモチベーションの低下につながる要因のことです。ヘイズUK&Iのピープル・アンド・カルチャー部門のディレクター、トリーシャ・ブルークスも自身のブログの中で説明していますが、人間は自分が貢献したらこれを誰かに認められ、承認されたいものなのです。ですから部下を認めることで、その部下は上司であるあなただけではなく、会社全体とつながりを感じることになるのです。

また、部下が努力したら、最低限の報奨金を与えたり、称賛の言葉を以外の工夫もしてみましょう。素晴らしい成果を上げた部下を褒めることは、あなたのメリットにもなります。部下が自分の力を信じることができるようになったり、優秀な人材のつなぎ止めや惹きつけにも効果を発揮するからです。

ただし、部下を承認するときは、その部下に適した認め方をしなければなりません。どのような形で相手を承認するかは、あなたのマネジメント能力にかかっています。みんなの前で大きな声で名前を呼ばれ、公式の舞台で表彰されることで気持ちが奮い立つ部下もいれば、個人的に褒めてもらった方が嬉しいと思う部下もいます。いずれにせよ、良い仕事を認めてもらうことが非常に嬉しいもことは、誰にとっても同じです。

しかし、ハイブリッド勤務が導入されれば、こうした承認の在り方も変化していくでしょう。すべての部下と定期的に対面することは難しくなるかもしれません。ですから、部下を褒める時は、オフィス出勤者だけでなく、リモート勤務者も含め、全員に深く共感してもらうように工夫しましょう。例えば、リモートで働く部下を褒める時は、電話で個人的に感謝の意を伝えるよりも、簡単なチームミーティングを開いて、みんなの前で表彰した方が効果的かもしれません。

Forbesが掲載した記事によると、「上司はいつも褒めてくれる」、「改善の提案をしたときには認めてくれる」と答えた従業員は、全体のわずか24%に留まりました。 部下を褒めることは、決して大きな労力を要することではありません。それでも、部下を喜ばせることができる有効な手段の一つなのです。アリスター・コックスは、過去のブログで、次のように伝えています。「キャンベルスープ社のCEO、ダグ・コナン氏は30,000通もの感謝の手紙を直筆で書いて送ったと言われています。自分自身の方法で感謝を示す必要はあるでしょう。全員に毎日感謝の言葉を伝える必要はありません。感謝の気持ちを感じたときに、心からの謝意を伝えましょう。その時は、自分流にc、自分の言葉で伝えることが大切です。その方が力強く、より心に響くからです」。

4. 職場に学びと成長の機会を

部下のスキルアップに取り組みましょう。部下のスキルアップに力を入れることで、彼らがビジネスに大切な存在であること、あなたが彼らの将来性を買っていること、その仕事で成長の余地がまだあることを示すことができます。自分の成長を励まされ、支援されることは部下にとって最高のモチベーションに繋がります。

昨年LinkedInが行った調査によると、従業員の94%は、「自分の成長や学習のために企業が積極的に動いてくれれば、その企業に長く勤務したい」と答えています。さらにヘイズが2019年に実施した調査でも、「優れたトレーニングを提供してくれる企業があれば転職したい」と、答えた回答者は22%に達しました。

ヘイズ・オーストラリアのディレクター、ジェーン・マクニールは、トレーニングの内容を決める前に、部下のスキル評価を実施するよう勧めています。 「評価を行えば、どのスキルが不足しているのかを特定することができ、今後どのようなスキルが必要になるのかを検討することもできます。こうしたスキルには、仕事に直接関係するものもあれば、レジリエンスや順応力といったものも含まれます」。トレーニングの計画は、十分に考え抜きましょう。そうすれば部下はこれに感謝し、モチベーションを高めていくに違いありません。多くの企業はコロナ禍の影響で予算を削減しており、トレーニングに充当する予算がないところもあるかもしれません。しかし現在は、ウェビナーやオンライントレーニングなど、無料で参加できるコースも豊富に存在しています。これらを調べてみるのも良いでしょう。

企業は、従業員の成長を望んでいるはずです。International Journal of Hospitality Managementが掲載した調査によると、ホスピタリティ企業でトレーニングを実施すると、従業員のパフォーマンス向上や満足度の上昇だけではなく、事業コストの削減にもつながることが明らかになりました。つまり、従業員のスキルアップは、従業員のみならず、会社にとってもメリットになるのです。こうした例からも、トレーニングには投資の価値があることがお分かりいただけるでしょう。

もちろん、皆さんの中には、現在差し迫った課題や仕事を抱えており、トレーニングまでなかなか手が回らないと仰る方もいらっしゃるでしょう。しかし、アリスター・コックスは、LinkedInのブログで次のように伝えています。「(トレーニングは)優先順位が低いものと思われるかもしれません。しかし、今従業員のトレーニングや成長に時間とリソースを投じている企業は、コロナ禍が終息するまでに状態を万全に整え、ポストコロナ時代に頭角を現してくるでしょう。皆さんはリーダーとして、この危機的な状況が終息した後に、チームや会社が成功できるようあらゆる準備をしておく責任があります。[中略] 皆さんの部下も、これに感謝することでしょう」。

5. キャリアパスの明確化

ただし、トレーニングやウェビナーを用意するだけでは不十分です。プロフェッショナルである部下に高いモチベーションを維持してもらうためには、ビジネスの過程で彼らがキャリアップしていけると明確に理解してもらう必要があります。

世界的な人材コンサルティング企業であるアディソン・グループは、最近発行した調査報告書の中で、4人のうち3人の求職者が昇進の機会を逃したために転職活動をしていると発表しました。これは、「上司への不満」や「働く環境や企業文化への不満」を上回る結果でした。

こうした不満を解消するためには、部下に昇進プランを明確に示すことが必要です。定期的に部下と面談し、彼らがチームの中でどのように働いていきたいのか、また、どのように昇進していきたいのかなどを話し合って下さい。ヘイズ・オーストラリア&ニュージーランドのマネージング・ディレクター、ニック・デリギンスが説明するように「確実に言えることは、ビジネスの世界はこれからも変化し続けるということです。部下がどのような希望を持っているかをオープンに話し合い、実現のために何をすれば良いのかを一緒に話し合いましょう。そうすれば人材の定着率も改善するに違いありません。時間を割いて部下のキャリアに大切なことを話し合うのは、非常に価値があることです」。

予算の都合や希望のポジションに空きがない、といった理由で、部下の願いを叶えてやることができないこともあるでしょう。そんな時は、裁量権を拡大したり、発言できる範囲を広げたりすることで、部下の希望を満たしてやることができるかもしれません。 これについて、ヘイズUKのディレクター、カレン・ヤングは、昇進だけが有効な方策ではない、と伝えています。部下のキャリアを長期的に考えた場合、一般職などから技術職に転身するなどの水平的な異動も、昇進同様に効果があるとヤングは語ります。新しい分野に挑戦したり、不足しているスキルを習得することで、部下は再びやる気を持ち始めるかもしれません。これは、将来のキャリアアップに発展する可能性もあるのです。

いずれにせよ、広くチャンスを与えられることで自分の努力が報われていることを実感すれば、部下のモチベーションは高まります。ヘイズのCEO、アリスター・コックスは、「コロナ危機以前の昇進計画を手つかずで放置しておくことは避けましょう。ただし、コロナ禍後のビジネスでは、従来のパフォーマンス評価の方法や何がベストなのかを見直さなければなりません」と伝えています。チームのマネジメントやコミュニケーションの仕方に関わらず、この章で述べたことが皆さんの優先事項であることを忘れないで下さい。

部下のモチベーションには優先的に注意を払う

今回のブログでは、部下のモチベーションを維持する方法を詳しくお伝えしました。必ずしも金銭的な報酬だけが士気の向上につながるわけではありません。それ以上に効果的なモチベーションは、数多く存在するのです。

今回ご紹介した5つのポイントをじっくりと検討して下さい。私たちの働き方が新しい時代を迎える今、ビジネスに即したモチベーションの方法を見つけておけば、あなたの力になってくれる意欲の高いチームを作ることができるでしょう。

 

マーク・ブラジ

ヘイズ・ポーランド/マネージングディレクター

6つのオフィスで400人近い従業員を率いるマークは、2019年9月にヘイズ・ポーランドのマネージング・ディレクターに就任。

2012年に香港のリージョナルディレクターとしてヘイズに入社。2014年にはアジアにおけるヘイズ・タレント・ソリューション事業の責任者を任され、2015年にヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクターに就任する。あらゆる専門分野における日本事業の運営と成長を担当し、正社員、エグゼクティブ・サーチ、派遣、契約、オンサイトのソリューションを提供した。

人材業界の前は自動車業界で様々な営業およびマーケティング管理職を務めていた。