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仕事で「忙しい」を今すぐやめるべき理由とは?

仕事で「忙しい」を今すぐやめるべき理由とは?

「最近、どうですか?」。このようなことを聞かれたとき、普段皆さんはどのように答えていますか。きっと、「元気ですよ、ただ最近は少し忙しいです」と答える方が多いのではないでしょうか。ついつい口に出してしまう言葉だと思います。
 
しかし、「元気ですよ。戦略に集中するために、いくつかのプロジェクトを中断することにしたよ」、「いい感じだよ。今週は仕事が落ち着いているので、次の四半期の計画を考える時間を取っているよ」というふうに答える方はほとんどいないでしょう。
 
今日の職場文化では、一度立ち止まって考える時間を取るために何かをやめると周りから冷ややかな目で見られることが多いのではないでしょうか。また、仕事で忙しそうにしていないと、価値を提供していないと見られる場合もあります。だからこそ、私たちは、そう見られないために、自分たち自身を「忙しく」してしまうのです。
 
一般的に、忙しいということは、自動的に生産性や成功につながると考えられています。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。
 

なぜ今すぐ「忙しい」をやめるべきなのか?

ビジネスの世界では、日々忙しく、立ち止まることはできません。ときには、疲れ果ててしまい、終わることのないマラソンのようだと感じることもあると思います。もちろん、どうしても忙しくなってしまうときはありますし、そこから逃れるのは簡単ではありません。しかし、「忙しい」と見せかけるためや、それがもたらすメリットのために、終わりのないマラソンを走り続けるようなことはあってはならないのです。
 
その代わりに、時々「忙しさ」を意識的に遠ざけ、自分たち自身に考える時間と余裕を与える必要があります。そうすることで、本当の意味で生産的かつ革新的になり、どのようにすれば結果を出すことができるのか考えることができるでしょう。もちろん、日々の業務はこなしていかなければなりませんが、一度立ち止まってどのようにすれば効率よく仕事ができるのか考える時間を取る必要があるのです。
 
だからこそ、もし、忙しさの「呪い」に負けて毎日をただ過ごしているだけになっているなら、今こそ変わるときです。現在、世界は今までにないスピードで変化をしています。私たちは立ち止まって頭をリセットし、さまざまなことを見直す必要があります。以下に、「忙しい」をやめて一度立ち止まって考えることのメリットをいくつか挙げました。
 

優先順位をつけるのが上手くなり、最も重要なことに集中できる

ToDoリスト(やることリスト)の終わりが見えず、何十個ものタスクを一度にこなしている状況なら、おそらくどれにも適切に対処できていないか、対処できていたとしても必要以上に時間がかかっていると思います。
 
それだけでなく、自分で自分自身を忙しくしてしまっている場合、何週間も放置されているが長期的には多くの価値をもたらすプロジェクトに取り組むことができていないのではないでしょうか。
 
「忙しい」をやめて一歩下がって考えることにより、本当に重要なことに集中し、優先順位をつけることができるようになるのです。また、自由に考える時間を作ることで、精神的にも楽になり、ものごとがより明確に見えるようになるでしょう。
 

より良いアイデアが頻繁に浮かぶようになる

世界の働き方は、急速に変化しています。何の疑問も持たず日常的な業務にただ取り組むというのは、もはや良い選択肢ではないのです。
 
優れたアイデアや創造性は、ビジネスの成功に欠かせません。たとえ数分でも、日常的な単純作業をやめて、今までとはまったく違うことをすれば大きな力を発揮できます。日常から切り離され、心にゆとりがあるときこそ、最高のアイデアが生まれるのです。
 
ですから、時には仕事を意識的に遠ざけ、心を解放することができれば、創造性を高め、素晴らしいアイデアを考え出すことができます。これからのビジネスの世界では、「忙しさ」ではなく、「アイデア」こそが成功の指標になるでしょう。
 

変化に対応し、計画的に行動できるようになる

何も考えず、自分にとって居心地がよい場所で常に「忙しく」しているとしたら、あらゆる変化に対して鈍感になってしまうでしょう。変化に気づけないのであれば、いったいどうやって変化に備え、適応することができるのでしょうか?
 
変化に気づくためには、立ち止まることが重要です。そうすることができれば、変化に適応する能力を高めることができます。長い目で見れば、一度立ち止まって考える時間を作ることは、忙しさや成功を求めて、ToDoリストに何十個ものタスクを書き込むよりもはるかに価値があることなのです。
 

新しいスキルを定期的に学ぶことができるようになる

心とは、筋肉のようなものだと考えています。だからこそ、自分にとって居心地が良く楽な場所ばかりにいると、試練や挑戦はなく、心の成長は見込めません。毎日、同じことをやっているだけで精一杯なのに、どうして心が成長するのでしょうか。しかし、一度立ち止まり今までのことを考え直すということは、このような状況を一変させます。別の視点からものごとを見て、今までとは異なる思考パターンを持つことができるようになるからです。
 
また、忙しいとチームの方向性や来期の戦略について考える時間も取ることができません。毎日が同じことの繰り返しで、個人としての成長も望めなくなります。
 
それだけでなく、自分自身とチームメンバーのスキルを評価したり、将来の成功のために必要なスキルを考えることもできないでしょう。
 

より幸福で充実した気分になれる

意識的に、将来を見据えるための余裕を確保することは、大きな充実感とモチベーションをもたらします。組織の全体像や幅広い目的とのつながりをより積極的に感じられるようになるだけでなく、仕事への取り組みもより充実したものになるはずです。それだけでなく、ポジティブな考え方は、脳をより創造的にすることができるという研究結果(英語のみ)もあります。
 
心というのは、とてもパワフルなものなのです。成長するというマインドセットで仕事に取り組むことが、最終的にあなたをより成功に導くと強く信じています。そのためにも、一度立ち止まることが重要です。このような休息と内省の時間は、精神的に健康になるだけでなく、思考を正しい方向に導き、ビジネスのための正しい戦略的決定を行うことができるようになります。
 
しかし、このような単純なことこそ、私たちが今一度、思い出すべきことなのです。忙しいことが私たちのアイデンティティになりつつあり、忙しければ忙しいほど、より良い印象を与えることができるという認識が広がってしまっています。今こそ、それを変える時です。
 
新しいスキルを身につけて最高のアイデアを生み出したり、私たちを取り巻くあらゆる変化に対応するために、忙しくしないことが、これまで以上に重要になってきていると思うのです。「忙しい」ことを名誉の象徴とするのではなく、考える時間を作ることが成功への近道です。
 
他にも、ブログでキャリアアップやチームマネジメントに役立つ情報を紹介しています。こちらの記事もぜひご覧ください。
 

著者

アリスター・コックス
ヘイズCEO

2007年9月よりヘイズのCEOを務めている。1982年に英国のサルフォード大学で航空工学を学んだ後、ブリティッシュ・エアロスペースの軍用機部門でキャリアをスタート。1983年から1988年までシュルンベルジェに勤務し、ヨーロッパと北米の石油・ガス産業において現場や研究の職務に従事した。
2002年には、ITサービスおよびバックオフィス処理会社であるXansaのCEOとして英国に帰国。Xansaでの5年間の在職中に、組織の再編成を行い、英国を代表する官民両部門のバックオフィスサービスのプロバイダーとなり、インドに6,000人以上の従業員を擁する、この分野で最も強力なオフショア事業を構築した。

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