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内向的な人たちが面接を乗り越えるための5つのポイント

内向的な人たちが面接を乗り越えるための5つのポイント

 

面接を目前に、「せっかく自分にマッチした企業なのに。面接さえなかったらなあ」と感じたことはありませんか?「面接は社交的な候補者の方が有利だから」と、くよくよと悩んだりしたことはありませんか?
 
心理学のトピックを取り扱うサイコロジートゥデイ誌(英語のみ)は、次のように述べています。「内向的なタイプの人は、他人との交流など社交的な活動では疲労感を感じがちですが、クリエイティブな活動など一人で熱中できる仕事ではエネルギッシュになります。このような人たちは、一般的に内気な性格であると誤解されがちですが、実は高い社交性を容易に発揮することもできるのです。彼らは、社交性がないのではありません。したがらないだけなのです。自称『内向的』な人たちは、社交的な人たちよりも他人に対する共感力が高く、しっかりとした人間関係を築くことができます」。
 
そうは言っても、面接は競争ですから 、「話し上手の方が有利なのでは」と怯んでしまう気持ちも分かります。しかし、あなたが面接で勝てないという根拠は何もありません。特に、自分の内向的な性格を知り、これを有利に活かす方法を知っていれば。
 

質問を想定して面接準備を

どんなタイプの求職者にも共通して言えることですが、面接前の入念な準備は欠かせません。しかし、この準備が特に重要なのが内向的なタイプの人たちです。内向性の強い求職者は、じっくりと自分の内面を振り返りながら物事を考える傾向があり(英語のみ)、回答を出すまでに時間がかかります。焦って中途半端に答えるよりは、落ち着いて考えて回答した方が良いのは確かなのですが、あまりにも相手を待たせすぎると、「準備不足」、「当事者意識に欠ける」と思われる危険性もあります。
 
面接前には、聞かれそうな質問を調べて回答を準備しておきましょう。そうすれば、沈黙が続き、気まずい思いをすることも少なくなります。また、面接では答えにくい質問がされることも少なくありません。答えに詰まったときは、どのように対応すべきかも考えておきましょう。「ご質問ありがとうございます。少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか」などでも良いと思います。このように答えて、自分が考える時間を確保しましょう。
 

自分自身のスキルをアピールする

多面的な性格を持つ人たちは、前向きで精力的に働く傾向が強いことはよく知られています。それでは、内向的な人たちは、一体どんなスキルで企業に貢献できるのでしょうか。最近読んだ本や人材業界で働いた経験から、私は以下のように考えています。
 

1.人間関係の構築力

自分が内向的だと信じている人たちは、自分には社交力が不足していると考えがちです。しかし、こうした人たちは、実は人間関係構築力に優れていることが分かっています。ただ、人間関係の築き方が他の人たちと異なるだけなのです。「Self Promotion for Introverts (仮題「内向的な人たちのセルフプロモーション術」)の著者、ナンシー・アンコウィッツ氏(英語のみ)は、「内向的な人たちは、コミュニケーションにおいて自分が話し手になるよりも聞き手に回る傾向が強く見られます」と語ります。同氏は、この傾聴力や観察力が強い信頼関係を築くための武器になると説明しています。
 
面接で発言数が少ないことは、一見すると不利であると思われます。しかし、ここで内向型求職者の武器になるのが観察力です。面接官の話をていねいに聴いて様子を観察し、回答には、この結果分かったことや感じたことを盛り込んでみましょう。ビジネスでは高い傾聴力が有利に働きます。面接は、あなたのこうした強みをアピールするチャンスになるでしょう。
 
面接では、ボディランゲージなどの非言語コミュニケーション にも注意して下さい。面接官の目を見て、軽く微笑み自信を持って挨拶をしましょう。 初対面で好印象を与えることができれば、面接官を味方にすることができるかもしれません。第一印象は人間関係の構築に非常に大きな意味を持ちます。そして「第一印象」を与えることができるのは、初めて相手と対面した時だけです。内心は怯んでいたとしても上手く振舞うことさえできれば、高いスキルと自信を持った人材であるとアピールできる確率が高くなります。「行動は言葉よりも雄弁である」。ありふれた格言ですが、大切な言葉です。
 

2.自発的な向上心

これまでも述べてきましたが、高い傾聴力を持つ人は、他人からのフィードバックも素直に聞き入れます。「The Secret Lives of Introverts: Inside Our Hidden World(仮題「内向的な人たちの内側」)の著者であるジェン・グランネマン氏(英語のみ)によると、内向的な人たちは、自分の長所や短所について自分一人で熟考する時間が長いという特徴があります。意欲的に自分の改善や向上に向けて取り組む姿勢は、ビジネスにおいて高く評価される性質でもあります。面接では、過去にフィードバックを受けて、それに向けて取り組んだ経験を話してみましょう。面接官の心に上手く「刺さる」のではないでしょうか。
 
そして、もしその転職に失敗したら、担当のリクルーターにフィードバックを求めてみましょう。今後のために改善すべき点が含まれているかもしれません。今回の転職が失敗しても決して気落ちしないで下さい。あなたが自分の希望だけにこだわらず、キャリアアップのために幅広い提案を受け入れる意思があることを伝え、面接官があなたに好印象をいだいているのであれば、今回応募した仕事以外のポジションがオープンになったときに、候補者として検討される可能性もあります。リクルーターは、あなたが次に向かってチャレンジできるよう、アドバイスやサポートを提供することができます。担当のリクルーターのアドバイスを元に、これからも研鑽に励んで下さい。
 

3.内容と効率を重視する姿勢

前出のグランネマン氏(英語のみ)は、著作の中で内向的な人たちの会話にみられる特徴について触れています。内向的な人たちは、会話に内容を求め、無目的におしゃべりをしたりゴシップなどに関与したがらないのです。換言すれば、時間の無駄を嫌います。他者とのコミュニケーションは、時に仕事の生産性を大きく引き下げます。このため、内向的な人たちは、それぞれのコミュニケーションに意味を持たせようとしがちです。コミュニケーションの目的を明確にして、その内容を振り返り、有意義なものであったと自分自身を納得させようとするのです。
 
面接にもこの姿勢を応用しましょう。戦略的に対応を考え、リサーチを行い、達成したいことを明確にして面接に臨んで下さい。仕事への真摯な姿勢や高い傾聴力は、面接でも十分にアピールできます。
 

4.独創的なアイディア

「The Power of Introverts in a World That Can’t Stop Talking(仮題:話せば止まらない内向型人間の力)」の著者、スーザン・ケイン氏(日本語字幕あり)は、「よく話す人が、優れたアイディアを持っているとは限りません」と述べています。決して饒舌にならなくても、声高に主張しなくても、あなたの価値を伝えることはできるのです。
 
内向的な人たちは、周囲にも細やかに注意を払っていて、他人が見落としがちな小さなことにも気が付きます。これにより、鋭い観察力を活かしたアイディアを生み出すことができるのです。彼らのアイディアは、「量」よりも「質」で勝負するものです。「これまでの仕事の中で、誰も思いつかないことを考え出し、よく考え抜いて提案し、それを実際に行動に移したことはありますか」。これは面接で良く聞かれる質問の一つです。この質問に該当する答えが、きっとあなたにも思い浮かぶのではないでしょうか。
 

5.自発的なモチベーション

内向的な人たちは、他人からの刺激や助言が無くても、自分自身でモチベーションを見つけることができます。マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏やFacebookで有名なメタ社のマーク・ザッカーバーグ氏など、世界屈指の起業家にも、内向的な性格として知られている人たちが少なくありません。
 
面接で自分の内向性についてわざわざ打ち明ける必要はありませんが、自発的にモチベーションを持ち、献身的に仕事をすることができることはアピールしておく価値があると思います。上司の監督や監視がなくても、プロジェクトを成功させた経験があるならば、これを具体的に伝えておきましょう。
 
企業や面接官が知りたいと思うのは、あなたの本当の姿です。それは、あなたが就職先の企業のありのままを知りたいと考える気持ちと同じです。ですから、面接では自分らしさを大切にすることが大切です。また、内向的であることがあなた自身のスキルであると認識してから面接官にアピールすることが重要になります。自分の個性に自信を持って、堂々とアピールしましょう。そうすれば、面接官には、あなたの印象が長く残ることでしょう。それは、内向的であるというあなた本来の個性に基づいているからなのです。
 
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著者

ロビー・ヴァヌクサム
ヘイズ・ベルギー、マネージングディレクター
ロビー・ヴァナクセムは20年以上の業界経験を持ち、そのうち15年以上はヘイズでの経験である。2000年に人事の世界に入り、コンサルタント、ビジネス・ディレクター、リージョナル・ディレクターとキャリアを重ね、2015年にマネージングディレクターに就任。

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