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サステナビリティでエンプロイヤー・ブランドを向上させる方法

サステナビリティでエンプロイヤー・ブランドを向上させる方法

気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で明らかになったように、意味のある気候変動対策を取れる時間は刻一刻と少なくなってきています。ビジネスリーダーは、従業員にとって気候変動の問題は大きな関心事であり、企業にも関心をもってほしいと考えていることを認識する必要があります。多くの従業員が社会的良心をもつ企業で働きたいと考えており、サステナビリティは人材を惹きつけるために重要な要素の1つとなっています。
 

働く人々はサステナビリティに関心—ビジネスリーダーも注力すべき

PWCは、レポート「The future of work – A journey to 2022」にて、中国やドイツ、インド、英国、米国の1万人に調査を実施。65%が社会的良心をもつ組織で働きたいと考えていることが明らかになりました。
 
しかし、ヘイズUKが発行した『給与ガイド2022』では、企業と従業員の間に意見の食い違いが見られました。調査によると、従業員の78%が「新しい仕事を探す際に企業のサステナビリティへの取り組みが重要である」と回答。一方で、サステナビリティが人材獲得のために重要だと考えている企業は68%にとどまりました。
 
つまり、スキル不足が叫ばれるなか、サステナビリティを企業文化に根付かせることは、優秀な人材を惹きつけ、定着させるために重要ということです。
 
今回は、トップ人材の誘引や、持続可能で環境に優しい未来の構築のために、気候変動の問題をEVP(従業員への価値提案)にどのように組み込むのかまとめました。
 

サステナビリティでEVPを高める方法

1.グリーンウォッシュを避ける

サステナビリティへの意識が高まるにつれ、気候変動の問題に真剣に取り組む姿勢を示す企業が増えています。しかし、なかには自社の取り組みを誇張して伝えている企業も存在します。
 
ヘイズのグローバル・ヘッド・オブ・サステナビリティを務めるフィオナ・プレイスは、自身のブログで次のように語っています。「グリーンウォッシングとは、企業が実際よりも環境に配慮しているように見せる行為を指します。従業員の立場からすると、世間の目を欺くような企業は、自分の価値観とは合わず、サポートのために投資してくれることもないと考えるのは自然なことです」。
 
既存の従業員やこれから入社するかもしれない人材は、企業がストーリーを作り上げている場合、それを見抜きます。N2Sのエグゼクティブ・チェアマン、アンディ・ゴマソール氏は、グリーンウォッシュについて次のように話します。「多くの企業はサステナビリティに関してまだ実績がなく、それゆえストーリーを作り上げるほかない状態に頭を悩ませています。このような実情に目をつむってしまうこともありますが、若い世代はそうではありません」。
 
グリーンウォッシュを避けるには、独立した検証プロセスが重要です。ヘイズでは、気候変動の問題に関して企業にソリューションを提供するClimate Partnerと協力し、ネット・ゼロに向けてアドバイスを受けています。また、サステナビリティに関して信頼性の高い評価を提供するCarbon Disclosure Project (CDP)やEcovadisへのレポート提出も行っています。
 
EVPにサステナビリティを組み込むには、真摯に取り組み、企業文化の一部とする必要があります。真の価値や意義をもたらすには、企業やビジネスリーダーは目標に向かって歩みを続け、対話し、コミットメントの遂行へ足並みをそろえなければなりません。
 
Natura&Coは、インスピレーションを与えてくれる企業です。彼らの「Commit to Life」の戦略では、「気候危機への対処やアマゾンの保護、平等性・包括性の確保、循環と再生に向けたビジネスの転換など、差し迫る世界的な問題に対処する」といった大胆な目標を掲げています。Natura&Coの取り組みは、ウェブサイトから確認できます。
 

2.機会を提供する

グリーン経済への移行は、大きなチャンスを示しています。いくつもの新しい仕事や分野が生まれ、新しいスキルを身に着けるチャンスも増加。これは、再生可能エネルギーのように明確に関連するものだけでなく、金融やファッション、輸送などさまざまな業界で起こります。
 
需要も確かにあります。LinkedInで実施した調査によると、25,791人のうち、81%が「グリーンジョブに興味がある」と回答。このような持続可能な未来へ向けたビジネスの転換により、多くの企業がサステナビリティのスペシャリストの初めての採用へ踏み出すでしょう。また、この機会を活用して従業員をスキルアップさせる絶好のチャンスでもあります。たとえば電気エンジニアは太陽光発電の設置方法を、設計チームはグリーン設計の原則の採用をそれぞれ学ぶ必要が出てくるといえます。
 
従業員に新しいスキルを学ぶ機会を提供することは、さまざまな市場機会を生み出すだけでなく、自社のサステナビリティ課題の解決にもつながる可能性があります。
 
また、企業が日常的に実施しているもの以外でもサステナビリティ関連の活動に参加できるようサポートすることも大切です。ボランティア活動は、サステナビリティのような重要な問題に携わる良い機会となります。
 
ヘイズでは、DE&I(ダイバーシティ、エクエティ、インクルージョン)へのコミットメントやネット・ゼロ、グローバルなボランティアや募金プログラムなどを行う「Helping for your tomorrow」を通じて、社会的な目的を達成する活動を行っています。
 
ヘイズの従業員は年に一度、ボランティアデーとして有給休暇を取得できます。職場の少数派コミュニティに属する地域社会の人々を支援するために、ボランティアへの参加が可能です。
 
また、フランスの海岸清掃やカナダの公園でのごみ拾いなど、サステナビリティを同僚に啓蒙するチャリティデーも推奨しています。
 

3.リーダーが率先して行動する

サステナビリティのような重要な課題に率先して取り組むことは、優秀な人材を惹きつけることにつながります。ビジネスリーダーが率先して動いていなければ、その姿は組織全体に浸透してしまいます。
 
たとえば、ヘイズはネット・ゼロ経済に向けて、科学的根拠に基づく目標を掲げ、コミットしています。これは、ネット・ゼロに関して明確なコミットメントをもつ企業と働きたいという従業員や顧客のニーズの変化に対応するためのものでもあります。
 
シニアリーダーが確実に関与し、他の部署にも伝えていくことも大切です。ヘイズでは、各地域のシニアディレクターで構成される「グローバル・ネット・ゼロ・ワーキンググループ」があります。このワーキンググループの役割は、新しいポリシーを策定して実行するだけでなく、進捗状況を伝えていくことでもあります。最新情報をしっかりと伝えていくことで、ビジネス全体が受け入れられ、サステナビリティへの取り組みへの後押しにつながります。
 
この動きにより、面接でサステナビリティに関して質問があった際にも、採用担当者は自社の取り組みを伝えることができます。
 
さらに望ましいのは、この情報をあらかじめ提供しておくことです。ウェブサイトの応募者向けページのように外部向けにEVPを発信する場所にサステナビリティに関する取り組みを掲載しておけば、応募や面接に臨む人があらかじめ企業の姿勢を知ることができます。
 

サステナビリティへの取り組みでエンプロイヤー・ブランドを向上させる

サステナビリティへの取り組みでエンプロイヤー・ブランドを向上させるには、上記で紹介したポイントを実践することが大切です。
 
  1. グリーンエコノミーにおける機会について従業員が学べるツールを提供する
  2. 効果的なコミュニケーションを行い、包括的な文化をつくる
  3. 自社の取り組みを誇張せず、グリーンウォッシュを避ける
  4. 目標に向けて対話し、足並みをそろえるなど、サステナビリティ戦略の達成にはリーダーのアクションが鍵
サステナビリティに取り組む企業がますます増加するなか、EVPのプランをどのように立てているか、LinkedInで皆さんの意見をぜひお聞かせください。
 
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著者

アリスター・コックス
ヘイズCEO
2007年9月にヘイズのCEOに就任。1982年に英国のサルフォード大学で航空工学を学んだ後、ブリティッシュ・エアロスペースの軍用機部門でキャリアをスタート。1983年から1988年までシュルンベルジェに勤務し、ヨーロッパと北米の石油・ガス産業において現場や研究の職務に従事した。
1991年にカリフォルニア州のスタンフォード大学でMBAを取得し、マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとして英国に帰国。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、エネルギー、消費財、製造業など、さまざまな分野を経験した。
1994年、ブルーサークルインダストリーズに転職し、グループストラテジーディレクターとして戦略立案や国際投資を担当。この間、ブルーサークルは新しい市場で重量の重い建築材料に焦点を当てた事業を展開し、1998年にはマレーシア・クアラルンプールを拠点にアジア事業を統括するリージョナル・ディレクターに就任。また、マレーシアやシンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナムの事業を担当し、2001年のラファージュによるブルーサークル買収後は、ラファージュのアジアのリージョナル・プレジデントとして、同地域の事業責任も担った。
2002年には、ITサービスおよびバックオフィス処理会社であるXansaのCEOとして英国に帰国。Xansaでの5年間の在職中に、組織の再編成を行い、英国を代表する官民両部門のバックオフィスサービスのプロバイダーとなり、インドに6,000人以上の従業員を擁する、この分野で最も強力なオフショア事業を構築した。

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