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日本における金融人材の発掘: インサイドストーリー

日本における金融人材の発掘: インサイドストーリー

米国や欧州の景気後退の懸念やロシアとウクライナの戦争の影響によって、世界経済の見通しは厳しい状況にあります。アジアの金融業界は、激動の国際情勢のなかでニッチな分野を切り拓き、企業体力を維持しています。イスラエルとハマスが関与した最近の紛争はこの状況を激化させる一方であり、すでに脆弱になっている世界経済をさらに不安定なものとしています。
 
日本経済は穏やかな成長を続けていますが、成長率は他の主要国に後れを取っている状況です。円安が長期にわたるインフレを引き起こし続けているため、今年国内総生産(GDP)はドイツに抜かれるという予測が示されています。日本銀行は金融政策の正常化を目指して金利操作から手を引き、利上げに誘導することで、国内債券に対する投資家の関心を呼び戻そうとしています。さらに政府は、インフレの緩和や消費喚起を目的とした17兆円規模の経済対策に取り組んでいます。
 
ヘイズ・ジャパンの銀行・金融業界のマネージャーを務めるジャック・ブレナンに、複雑化する日本の銀行・金融業界の動向や、働く人および企業が直面している課題について話を聞きました。
 

テクノロジーの導入を進める日本の銀行・金融業界

地域経済が主要な業界の成功に大きく貢献している一方で、銀行が未来に備えて取っている柔軟なアプローチにも注目すべき点が多くあります。現在、日本の消費者は、銀行のプロセスをよりスムーズにするデジタル対応の製品やサービスを享受しています。
 
上記のようなイノベーションは、2つの重要なギャップを埋める一歩と考えられています。まず挙げられるのが、実店舗が少ない地方地域にとっての恩恵です。オンラインサービスの登場によって、遠くの店舗に行く手間が省けるようになりました。
 
テクノロジーの恩恵を受けるのは、社会的に取り残されている人々だけではありません。デジタル世界を積極的に受け入れている新世代のユーザーへアピールするうえで、イノベーションは非常に重要です。携帯端末で取引できるシンプルな機能からQRコードで業者と顧客をつなぐ統合決済機能まで、Z世代に自らを売り込むために銀行はユニークなニーズに応えるさまざまな取り組みをしています。
 

これまで以上に加速するAIの採用

ビジネスの世界が目まぐるしく進化するなか、柔軟性は企業が必要とする人材を採用するための重要な要素となっています。特に顕著なのが規制の厳しい銀行・金融業界であり、あらゆる段階で必要な変化が求められています。
 
変化を牽引するのがAIと自動化技術であり、日本の銀行はいち早く導入を進めています。みずほ銀行はMicrosoftのAzure OpenAIを導入し、4万5,000人の従業員が生成AIを利用できるようになりました。メールや融資提案・契約に関する文書の簡素化や、事務的な問い合わせの効率化への活用が期待されています。
 
しかし特に重要なのは、人間の手が引き続き必要であると銀行が理解している点です。現在はフロントオフィスのポジションの需要が高く、多くの銀行が従業員のつなぎ止めのために給与の大幅な増額や福利厚生を提供しています。この取り組みは強力な採用戦略に裏付けされており、人材を惹きつけるためにより良い候補者体験を構築することを目指しています。
 
一方、AIの導入があまり進んでいない分野が、人材採用です。人材獲得のアプローチはいまだ従来の方法に依拠しており、自社の採用チームや転職エージェント、従業員による紹介制度を好む企業が多いのが現状です。
 

拡大するインターネットバンキング

インターネット銀行は、シームレスでストレスフリーなデジタルオンボーディングプロセスを提供しており、消費者間で人気が高まっています。特にアジアでの拡大が顕著に見られ、世界のインターネット銀行の5分の1がアジアに存在します。現代的なクラウド主導のアーキテクチャや優れたユーザーエンゲージメントを提供し、金融サービスを既存のプラットフォームに統合する動きが見られます。
 
最近では、三井住友ファイナンシャルグループが米国でインターネットバンキングサービスを始めたことで話題になりました。新たに立ち上げたJenius Bank(ジーニアスバンク)では、競争力のある個人ローンで北米の消費者を獲得し、10年以内に利益を上げることを目指しています。国内では、デジタル銀行のHabittoが最初の100万円の預金に対して0.3%の高金利を提供しています。
 
 
 
 

日本の銀行・金融業界で需要の高い職種は?

2022年は採用が増加しましたが、2023年には外資系銀行のポジションやアセットマネージャーの需要が大幅に鈍化。多くの企業がコスト削減や予算の効率化を優先しています。しかし、海外に移管していた業務を国内に戻す企業が増えており、国内の人材にもチャンスが広がりつつあります。
 
全体として、日本の雇用市場は引き続き人材不足であり、売り手市場となっています。高額の報酬や確かなキャリア成長で知られる銀行・金融業界への参入を目指す人材にとって、良いチャンスといえます。
 
ジュニアレベルで需要の高いポジションとしては、エクイティのミドルオフィスオペレーションやコンプライアンス関連、クレジットリスクアナリスト、セールス、M&Aアナリストがあります。バイリンガル人材は、ポジションに応じてPythonの知識やCFAの資格、ステークホルダーマネジメントのスキルを求められますが、それらを有していればプラスに作用するでしょう。
 
マネジメントのポジションでは、コンプライアンスやリスク管理、投資、財務、営業戦略・企画への高い需要が見られます。ACAMSやCFA、FRM、CPAの資格やチームマネジメントのスキルは差別化要因となります。
 
銀行・金融業界のように日々進化する市場においては、違いを生み出せるトップ人材にいかに素早くアクセスできることが重要かをヘイズは理解しています。そのため長年にわたってさまざまな人材とネットワークを築きながら、業界やテクノロジーに関する独自の専門知識を活用してビジネスの成長や拡大をサポートしています。採用を検討するポジションがある際は、ヘイズまでご相談ください。
 
 
 
 
 
 

金融人材の獲得に向けた銀行・金融関連企業の取り組み

人材不足のなか、日本の銀行は、需要が減少した外資系銀行やアセットマネージャーのポジションからトップ人材を引き抜くようになりました。給与待遇が前職より大幅に上がることはあまりありませんが、その代わりに柔軟な働き方が整っておりより良いワークライフバランスが期待できます。
 
また、英語に長けた人材に対して、銀行は海外のステークホルダーやカウンターパートと仕事をする機会を設けており、キャリアアップに役立つ貴重な人脈を得られるチャンスもあります。環境の変化を求める従業員には、社内異動もサポートされています。
 
貴重な人材が流出するリスクに直面した際は、離職を防ぐためにカウンターオファーを提示することがあります。即座に給与を増額するというよりは、野心的な人材に対して担当業務の変更や権限の拡大を提示することが多いといえます。
 
 
 
 
銀行・金融分野における専任コンサルタントが、転職に際して最適な決断ができるようサポートします。転職を検討している方は、ぜひヘイズへご相談ください。
 
 
 
 
 
 
 

銀行・金融業界の人材戦略におけるZ世代の位置づけ

銀行とテクノロジーはますます密接になっており、日本の銀行もこの変化を認識しています。現代のテクノロジーを取り入れる際、銀行は顧客を中心に捉えて設計しており、人材発掘においても同様の視点をもつ必要があります。人材の属性や特徴を理解することが、人材プールの枯渇を防ぐ総合的な戦略を構築する鍵となります。
この中心となるのがZ世代です。コロナ禍における経験も相まってZ世代はデジタルに精通しており、出世を目指し長時間労働を厭わないような銀行における長年の働き方とは相容れないと感じています。価値観は対照的ですが、Z世代を惹きつけ定着させることで、銀行は多くのメリットを得ることができます。
 
Z世代を銀行に惹きつけるために必要な要素として、主に3点挙げられます。
 

・従業員のウェルビーイングを優先する

長時間労働や健康への不安の高まりから、2021年頃より「静かな退職(Quiet quitting)」や「怠け者の仕事(Lazy girl jobs)」といったトレンドが注目を浴びるようになりました。これらのトレンドは、キャリアよりもウェルビーイングを重視する傾向が強いZ世代に響いています。
 
現在、多くの銀行や金融機関が、従業員の身体的・精神的な健康プログラムに投資しています。企業があらゆる面で従業員の健康維持に必要なリソースの提供に目を向けるなか、忌引休暇の延長やスポーツジムの会員権、柔軟な働き方といった取り組みが人気を集めています。
 

・ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DE&I)の促進

Z世代は、より公平でインクルーシブな社会をつくりたいと考えています。Z世代の期待に応えるべく、銀行・金融業界の多くの企業はダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)を推進するために大きな一歩を踏み出しました。その取り組みには、さまざまなバックグラウンドや経験、人材を積極的に求める採用アプローチから、性別や民族の包括性を推進する施策の導入まで、多岐にわたります。
 
ビジネスの世界では、労働力の多様性についてのメリットが長年認識されてきました。自社の採用アプローチが優秀な人材に合ったものか判断するヒントとして、以下のポイントが挙げられます。
 
 

・トレーニングへの投資

銀行・金融業界ではスキル不足が続いており、需要に見合う人材を見つける代替手段を模索する必要があります。現在のテクノロジーの進歩を考えると、トレーニングやスキルアップ、キャリア開発を通じて既存の従業員と新入社員の双方に必要なスキルを育成することは、非常に戦略的な動きだと言えます。
 
焦点を中途採用からスキル育成に移すことで、アクセス可能な人材プールの拡大にもつながります。特に、特定のIT関連業界で普及しているプログラミングの専門知識をもつバックオフィスの人材を必要とするポジションで、その傾向が見られます。
 
ヘイズは、生涯のパートナーとしてお客様の人材ニーズに合ったソリューションを提供します。人材の発掘から将来性のある人材の育成まで、お客様の未来のために短期的・長期的な成功を支援します。
 
銀行・金融業界における採用は、ヘイズまでご相談ください。業界動向や人材の動きに精通している専任コンサルタントが、ニーズに合わせて最適な人材採用をサポートします。
 
 
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