転職時に給与アップさせる交渉方法

 
 
 
 
 

多くの求職者は、給与アップの交渉について考えます。面接プロセスの中で、この提案をする場面が最も緊張するという方も多いでしょう。しかし、適切な準備とタイミングを見極めることで、自信を持って交渉に臨むことができるようになります。
 
現職の場合、その年度の成果をアピールしたり、的確な給与アップの交渉ができるかもしれません。しかし、求職者という立場上、給与アップの交渉は難しく感じるでしょう。 
 
ここが大事!交渉には適切な「タイミング」があります
 
口頭でオファーに同意した後、契約書を書く段階で給与交渉をはじめることは絶対に避けましょう。
私たちの経験上、求職者はオファーの段階で課題に直面することが多いと見受けます。この段階で給与を含むいくつかの点に不満を抱いていたとしても、どのように先方とすり合わせを行うか、迷うことが多いです。
転職活動をしている時、給与交渉に対する億劫さや怖さが足枷になることがあります。その恐怖をうまく管理する方法を学んでいきましょう。
 
次の仕事を探し始める際、ほとんどの方はある程度給与の希望額を決めていることが多いですよね。しかし、初めての面接でその金額を提示するのは賢明ではありません。給与交渉は通常、2回目の面接が終わった際に行うのが最適です。もしこの段階であなたが候補者として有力であれば、給与交渉は受け入れられやすいです。

面接中に給与の話題が出ない場合において、採用担当者は契約書を締結する前に、口頭でオファーを提示することがあります。この段階では、あなたはトップの採用候補者であることが確定しています。2回目の面接で給与交渉のチャンスがなかった場合、ここが次に交渉に適したタイミングです。
まずは採用担当者にお礼と、役割や企業に対する意欲を改めて伝えましょう。そのうえで、給与に対して交渉したい旨を説明します。
 
1.    給与交渉を行う予定がある場合、オファーに対して口頭で合意しないようにしましょう。
 
2.    書面による契約書を受け取った後に給与の交渉を求めないようにしましょう。懸念点や要求は事前に伝えることが重要です。
 
給与交渉を成功させるための
5つのステップ
 
採用プロセスで給与交渉を行う際は、以下の5ステップのアプローチに従うことをお勧めします。
 
現実的な給与水準を調査する

面接前に、現在の給与水準などを調べておきましょう。ヘイズ給与ガイドなどを活用することで、あなたの期待が現実的であるかどうかを確認できます。交渉において、知識は力となります。
最も熱意のある候補者でいること

リクルーターや採用担当者には、そのポジションに非常に興味があることを伝えましょう。しかし、同時に、給与についても話し合いたいという点を明確に伝えます。希望給与について話す前に、まず自分の関心を示すことが重要です。このアプローチにより、単に高い給与を求めているわけではないということが伝わり、あなたの意図が最初から明確になります。
給与の最低ラインは正直に伝える

自分の提供できる価値について、率直かつプロフェッショナルに話しましょう。その際、あなたのスキルや経験を示す具体的な例を挙げて、提示した金額に対する根拠を説明します。このタイミングで、事前に調べたポジションの給与レンジをもとに、相手と給与について話し合うことが重要です。自分に自信を持って説明し、交渉を建設的に進めることが、成功への鍵となります。
 
リクルーターと密に連携する

リクルーターとしっかりコミュニケーションを取り、アドバイスに耳を傾けましょう。リクルーターは採用の専門家であり、現在の市場動向についての豊富な知識を持っています。あなたに代わって給与交渉を行うこともでき、オファーを損なうリスクなく、より高い給与を引き出すサポートをしてくれます。
 
焦らず冷静に交渉を行う

給与交渉では、焦らず冷静に対応することが大切です。相手が提示した条件に対して即決することなく、じっくりと考える時間を持ちましょう。給与の話は時に慎重に進める必要があり、急いで決定を下さず、適切なタイミングで次のステップを踏むことが重要です。また、相手側が条件を再検討する時間を与えることで、より良い結果が得られる可能性も高まります。
 
なぜ給与交渉は重要なのか
 
給与交渉は単に高い給料を得るためのものではありません。交渉の余地があるかどうか尋ねる前に、以下の点を考慮しましょう。
•    市場での自分の価値を理解しているか?
•    自分のスキルや経験に見合った公平な報酬を得ていると感じているか?
 
給与交渉は、あなたが自分の価値や貢献を大切にしていることを潜在的に示すものです。採用担当者に対して、自分のキャリア成長に対する真剣な姿勢を見せることができます。このアプローチは、単に給与の増額を求めるだけでなく、自分の価値を正当に評価してもらいたいという意志を示す重要なステップです。 

また、入社前に行うことで、入社後の給与交渉も行いやすくなります。このやりとりを避ければ、正当な給与よりも低い金額を受け入れることにつながりかねません。これにより、長期的な収入に影響を与えるだけでなく、仕事への満足度にも悪影響を及ぼす可能性があります。
 
何よりも大切なのは、採用プロセス全体を通じて正直でいること
 
難しい交渉において、知識は力となります。
正式な採用前に給与アップを求めることは、誰にとっても気まずい状況になり得ます。せっかくの採用のチャンスが危うくなるのではないか、と不安になるかもしれません。そのため、つい話すタイミングをギリギリまで遅らせてしまうこともありますが、このような先延ばしはおすすめできません。代わりに、給与交渉には「オープンで正直」なアプローチを心がけるべきです。

希望する仕事と、スキルに見合った給与を手に入れるためには、まず自分の価値を正直かつ現実的に評価することが重要です。この評価をしっかりと、そして根気よく示しましょう。その際、必要に応じてリクルーターのサポートを受けることも有効です。こうしたアドバイスをもとに求職活動を進めれば、スキルに見合ったトップクラスの給与を得ることができるでしょう。
 
ライター

ニック・デリギアニス
 
元マネージングディレクター、ヘイズオーストラリア&ニュージーランド

ニック・デリギアニス氏は、1993年にヘイズに入社して以来、さまざまなコンサルティングおよびマネジメントの役割を担ってきました。特に、ヘイズのビクトリア州、南オーストラリア州、タスマニア州、ノーザンテリトリー州での業務を担当するディレクターとしての役割を果たしました。2004年にはヘイズの取締役会に任命され、2012年にはオーストラリアおよびニュージーランドのマネージングディレクターに就任しました。
ヘイズに入社する前は、人事管理やマーケティングの分野での経験があり、心理学の資格も有しています。