【ヘイズアジア給与ガイド2021】 日本の雇用主調査の結果、企業の約4割が昇給見送りーアジア域内で最高率
外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:港区、マネージング・ディレクター:グラント・トレンズ、以下ヘイズ)はこの度、アジア・5ヵ国地域を対象に行った「ヘイズアジア給与ガイド2021」を発表しました。
「ヘイズ アジア給与ガイド」は、 ヘイズが展開するアジア5ヵ国・地域(日本、 中国、 香港特別行政区、 マレーシア、 シンガポール)における1018職務の給与水準(当社実績ベース)と9660人を対象に、 給与の実態と調査をまとめたもので、 今年で14年目になります。
企業は給与を凍結・削減する傾向に
2020年当初、企業の多くは給与の微増を見込んでいました。現状維持を見込む企業も17%ありましたが、35%の企業は最大で3%の昇給を予想していたのです。しかしコロナ禍が世界的に伝播すると、50%の企業が減収を余儀なくされこうした給与の見通しは白紙に戻ることとなりました。
雇用主への調査の結果、アジア域内では35%の企業が昇給を凍結し、中でも香港や日本ではこうした企業の比率が38%に上りました。2018年には昇給を見送った企業の比率が9%であったことに鑑みると、著しい増加であると言えるでしょう。特に特筆すべきは、減給を予想する回答が6%見られたことで、これは本ガイドの調査開始以来、初めてのことです。これは2020年が企業や従業員にとっていかに特殊な状況であったのかを示唆していると言えるでしょう。
約6割の求職者が給与を重視
給与水準が低迷する中、転職理由として「給与」を挙げた求職者が最も多かった(58%)のは無理もないことなのかもしれません。給与が最大の動機に挙げられるのは2018年からの傾向ですが、2020年にこの傾向が最も顕著だったのは中国(69%)でした。一方、日本では「新たな挑戦」を転職理由に挙げた割合が最も高く(45%)、他の地域と異なる特色が見られました。
4割の日本の従業員が給与据え置きを予想-アジア域内で最も悲観的
2021年は、昇給への期待が大きいと失望することになるかもしれません。雇用主の多くは昨年同様、景気低迷期が続くと予測しているからです。37%の回答者が給与額は2020年同様の水準で推移すると予測しており、29%は最大3%の微増に留まるであろうと予想しています。
国・地域別では香港、シンガポール、マレーシアの雇用主がほぼ現状維持を予想(42%)する一方で、中国の雇用主の43%は、3%から6%の昇給を見込んでおり給与の増額に非常に積極的です。しかし、来年の減給を予測する雇用主も4%となりました。
アジアの従業員も、給与については凡そ妥協する姿勢を見せています。回答者の28%が給与額の横ばいを予測していますが、この割合は前回調査の2倍に当たる率です。また、4%が減給も視野に入れており、雇用主の予測とほぼ一致した結果となりました。最も悲観的なのは日本の従業員で、横ばい・減給を予想した割合が域内で最高率に達しました(それぞれ40%、6%)。対照的に、中国では39%の回答者が10%以上の昇給を期待しています。2位のマレーシアの回答率(17%)の2倍超となりました。
2020年は、昇給を期待していた従業員にとっては失望感を感じた1年だったかもしれません。賞与の額が期待通りだったとの回答は55%に留まりました。14%は減額・遅配となり、16%は受給資格があるにも関わらず支払いを受けることが出来ませんでした。期待から最も大きく外れた賞与に甘んじたのはマレーシアの従業員(21%)ですが、中国では63%が期待通りの金額を受け取ったと回答しています。2021年についても、報酬パッケージの一部として賞与を支給すると回答した企業は55%に留まり、18%は減額を、7%は支給対象の人数を限定すると答えていることから、大幅な昇給は見込めそうにありません。
給与交渉を自発的に試みる
ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、グラント・トレンズ は次のように語っています。「大幅な昇給は今年も期待出来ないでしょう。転職を考えている人も現在の企業に留まろうとする人も、昇給の代わりに自分のキャリア向上に力を入れたほうが良さそうです。ただし、昇給以外に希望するものがないのであれば、雇用主に直接掛け合ってみることも一つの手段です。実際に昨年は、24%の従業員が昇給の交渉を行い、これを実現させています。この比率は、2019年の22%から上昇しています。」
「しかしこうした状況は、競争の激しい採用市場で優秀な人材の獲得を目指す企業にとっては追い風かも知れません。但し、コスト管理は厳格化している状況ですので、人材惹き付けに工夫を凝らし新しい魅力を提供することが必要です。キャリアアップの機会の増加や条件の改善、ワークライフバランス向上のためのツール提供などが具体的なつなぎ止め策、獲得策として有効でしょう。」
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