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成果主義への人事評価移行の際に企業が検討すべき3つのポイント

外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:港区、マネージング・ディレクター:リチャード・アードリー、以下ヘイズ)はこの度、人事評価を成果型に転換する際に企業が検討すべき3つのポイントを発表しました。

 

人事評価制度を年功序列型から成果主義型に切り替える動きが日本企業でも広がっています。過去には富士通、野村ホールディングスといった大手企業が制度の転換に踏み切りましたが、最近では日立もこれに加わりました。成果主義型人事評価は、日本では比較的新しい制度とされています。しかし、この制度は、賃金の改善のみならず、従来の雇用慣行や賃金制度の改善を促進することで、優秀な人材の惹き付けや労働市場の活性化に貢献出来るものとして期待されています。 こうした傾向は、新型コロナウィルスの影響や世界的な景気低迷、日本国内の慢性的な人材不足を背景に一段と加速していくものとみられます。

 

成果主義への移行を目指す企業が検討すべき3つのポイント

1. 職務範囲を明確にした「職務記述書」を作成する

成果主義への移行で大きな障害となるのは、明確な職務記述書が用意されていないことです。記述書を作成することで、職務に適した人材を発掘しやすくなり、仕事の仕組みに対する従業員の理解も進みます。最も重要なのは、この記述書が人事考課の基準となり、給与額の査定に関わってくることです。また、一般的に人事に関する規則には多種多様なものが含まれていますが、職務が明確になることで遵守すべき規則が明確になるという効果も考えられます。

多くの職務記述書は、スキルに基づいた『スキル型』と、コンピテンシーに基づいた『コンピテンシー型』に二分されます。スキル型の記述書には役職や職務範囲、必要なスキルが明記されますが、コンピテンシー型では、その仕事で成功するために必要な行動様式など、より総合的な視点から必要条件が記載されます。例えば、スキル型の職務記述書では、会計や財務の学位と3年以上の会計業務の経験を持ち、XeroExcelに精通していることなどを望ましい条件としています。一方コンピテンシー型は、分析的な思考力やチームワーク、顧客重視の姿勢を挙げています。つまり、コンピテンシー型では必要なスキルや職務内容のみならず、従業員の資質をも重視しているのです。

記述書の在り方としては、スキル型の方が伝統的であると言えるでしょう。しかし、内容が資格や経験に偏りがちになり、従業員の全般的な長所を見逃してしまう可能性があります。対照的に、コンピテンシー型は従業員のスキル、知識、行動なども全般的に考慮しています。スキルや知識の有無だけではなく、その活用方法も重視しているのです。つまり、コンピテンシー型は、スキル型よりも多様な視点から必要条件を考慮しており、従業員が仕事で成功するためのポイントを包括的に定義していると言えるでしょう。スキル型とコンピテンシー型両方を網羅した職務記述書を作成することが重要です。

 

2. 目標を設定し、チーム編成を見直す

成果主義への移行は、従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。生産性の高い従業員は、個人の目標に意欲的に取り組むことが出来ます。人事考課の際に達成可能な目標を与えられれば、従業員のモチベーションは高まり、目標を達成出来た際には自信を高めることが出来ます。

こうした評価の機会は、仕事の目的を調整する上でも有効です。目標を修正した後は、新たな目標を元にチームをまとめ直すことも可能になり、煩雑で多忙な日常業務から離れ、チームが目指す方向性を俯瞰的に見直す良い機会になります。評価は自分自身のビジョンを明確にすると共に、チーム全員の意識を統一するチャンスでもあります。また、従業員が昇進についてどのような期待を抱いているかについても確認することも出来ます。自分の能力や役割を過剰評価している従業員にとっては、現状を知ってもらうきっかけにもなります。

従業員の研修に対する希望を把握するためにも、こうした機会は有効的です。チームのメンバーにはそれぞれ異なる長所があります。評価を機に、従業員の弱点を見極め、トレーニングやサポートが必要な部分を特定しましょう。メンバーの成長を気にかけていることを理解してもらえば、彼らの向上心も刺激されます。こうした積み重ねが最終的にビジネスの生産性やパフォーマンスの向上に繋がるでしょう。

 

3. 表彰制度を活用する

成果主義への移行は、賃金の改革を軸に進められます。しかし、従業員のモチベーションを高めるためには、賃金以外の報酬や表彰制度の活用も視野に入れるべきです。評価され、優れた仕事をしていると感じた時に、従業員は自信と充足感を持ちます。褒められ、認められる回数が多いほど、従業員は喜びを感じます。部下が良い仕事をしていると感じた際には、きちんと伝えることが重要です。仕事熱心な従業員のつなぎとめにも効果的です。この方法は、年功序列型からの転換で影響を受ける従業員に特に効果を発揮するしょう。

報酬や表彰と言えば、ボーナスや豪華なイベントを思い出す人も多いでしょう。しかし、従業員への評価は必ずしも高額なものである必要はありません。報酬のレベルは、パフォーマンスのレベルに応じたもので構いません。例えば、顧客の問合せに熱心に対応し、素早い問題解決に貢献した際には、コーヒーをご馳走しても良いでしょう。一方で締め切りに対応するために残業をしたチームには、午後は仕事休めに充ててもらうこともできます。継続的に優れた実績を出すチームや個人には、ささやかな金券と共に全従業員の前で表彰すれば、他のチームの意識向上に繋がる可能性もあります。

その一方で、企業は表彰制度の実行前に、従業員の評価ポイントを明確にしなければなりません。成果に加え、達成までの過程を評価することも大切です。これによって、どのような行動が成功に結び付くのか、他の従業員にも伝わっていくのです。

成果主義に基づく評価制度が日本でも普及しつつある中、評価回数の増加が次の課題になるでしょう。ある調査によると、年に1度程度の考課では、従業員のパフォーマンスを十分に把握することは出来ないとの結果が出ています。成果主義評価は、高い頻度で正確に行うことで、チームにとっても企業全体にとっても良い刺激が生まれ、業績の向上に繋がるのです。

 

ヘイズは、専門性の高いプロフェッショナルを対象に人材紹介サービスを提供しているリクルートメントのグローバル・エキスパートです。