ソフトウェア開発に携わるには?
求められる資格、経験、スキルを紹介

ジェームズ・ミリガン、グローバル・ヘッド・オブ・テクノロジー
 

ソフトウェア開発に携わるには、どのような資格・学歴が必要なのでしょうか?開発の仕事に転職するのは簡単なのでしょうか?この業界で働く一番の魅力とは?
 
今回のブログでは、上記のような疑問について世界各地の人材採用の専門家に話を聞きました。
 

1. ソフトウェア開発の分野で働くために必要な資格・学歴はありますか?

 
マックス(英国&アイルランド):ソフトウェア開発の仕事は、独学で身につけることもできますし、何らかの教育を受けて始めることも可能です。どのように始めるかは、まさに人それぞれです。さらに、マイクロソフトやAWSの認定資格など、言語や技術ごとに取得できる資格も豊富にあります。
 
ジュリアン(英国&アイルランド):時代遅れかもしれませんが、個人的には、今でも多くの企業が学位を求めていると思います。
 
エドモンド(アジア):ほぼ間違いなくアジアでは、企業はコンピュータサイエンスなどIT系の学士号を持つ人を採用しようとします。資格を多く持っていると有利ですが、必須ではありません。また、IT企業のなかには、ソフトウェア開発者・エンジニアに内定を出す前にコーディングテストを求めるところもあります。
 
しかし、シンガポールでは、政府が人材不足を補うために中途採用を奨励しているため、企業は学歴よりも現在のスキルや経験に注目しているようです。
 
エドワード(オーストラリア&ニュージーランド):オーストラリアとニュージーランドでは、学位が必要とされない一方で、ソフトウェア開発やコンピュータサイエンス、その他の関連分野の資格を持っていると高く評価されます。
 
オリビエ(フランス):フランスでは、エンジニア系の資格が重宝されるようです。しかし一方で、プログラミングの実績例や技術テストの結果が合否を分ける場合もあります。
 
 

2.キャリアをスタートするのに最適なソフトウェア開発の仕事は何ですか?

 
エドワード(オーストラリア&ニュージーランド):エントリーレベルのプログラミングの仕事、あるいは単純なフロントエンドの仕事は、キャリアの出発点としてベストだと思います。
 
ジュリアン(英国&アイルランド):私の経験では、C#、Java、JavaScriptを使う仕事です。
 
マックス(英国&アイルランド):どのようなIT技術に関わりたいかによって異なります。個人的には、シニアまたはリードエンジニアと一緒にオフィスでやりとりをしながら仕事ができるような役割がベストではないかと思います。技術的な議論に参加することで得られる知識は、リモートでは体験することができない何物にも代えがたいものです。
 
エドモンド(アジア):情熱があれば、より多くを学び、より早く成長することができるので、自分の情熱がどこに向いているかによります。例えば、起業家的なマインドセットを持っていて、いつか自分のモバイルアプリを作りたいという野望を持っている人は、モバイルエンジニアとしてキャリアをスタートさせると良いでしょう。あるいは、データエンジニアとしてキャリアをスタートし、機械学習へ進むことも期待できます。
 
オリビエ(フランス):上記のアドバイスをすべて考慮すると、一般的には、プロジェクトの最初から最後まで参加できる環境で働くことが良いのではないかと思います。
 
 

3. 他のIT系職種から開発業務への転職は簡単ですか?

 
マックス(英国&アイルランド):これは答えるのが難しいです。確かに可能ですが、会社を辞めて、別の場所でエンジニアとして始めるよりも、社内で異動する方がずっと一般的だと思います。
 
ジュリアン(英国&アイルランド):関連するコースや講座を見つけることは簡単ですが、難しいのは採用されることかもしれません。ソフトウェア開発は、単に9時に始業して5時に終わる仕事ではありません。継続的な学習が大切なのです。ですから、もしあなたが別の技術職から転職をしたいと考えているなら、採用担当者に熱意を見せることができるかが重要となります。
 
 

4. ソフトウェア開発の仕事に就きたいと努力している人たちに何かアドバイスはありますか?

 
エドモンド(アジア):できる限りコーディングスキルを磨いてください。その仕事に必要なスキルを持っていることを示す必要があるからです。呼吸するようにコードを扱えるようになるために、以下を試してみてください。
 
例えば、
  • オンラインコミュニティに参加して、世界のプログラマーから学ぶ
  • 自身のプロジェクトを立ち上げ、自分でプログラムを書く
  • フリーランスとして、小規模なプロジェクトを請け負う
これらは、コーディングスキルを向上させ、あなたの熱意と専門知識を示すことができるでしょう。
 
エドワード(オーストラリア&ニュージーランド):オンラインの交流会やセミナーに参加して、この業界ですでに活躍している人たちと交流するのも良いでしょう。また、オンラインで受講できる無料の短期コースも多くあります。他にも、Stack OverflowGitHubのようなプラットフォームを活用するのもお勧めです。
 
マックス(英国&アイルランド):私からのアドバイスは、応募プロセスに関係するすべての事柄に目を向ける必要があるということです。最初のメールやダイレクトメッセージ、履歴書、ポートフォリオ、フォローアップのメッセージ、そしてもちろん面接など、企業との接点はたくさんあります。そのなかで新進気鋭のエンジニアの皆さんに、ぜひやっていただきたいことが4つあります。
 
  • SNSを活用する。採用担当者もSNSをチェックしている可能性がある
  • パーソナルブランドを確立する。SNSへの定期的な投稿やコメント、質問、ソフトウェア開発に関するブログや記事のシェア(特に議論を促すようなものを)
  • 採用決定に影響力のある人(部長、クリエイティブディレクター、シニアまたはリードクリエイティブなど)とつながりを持つ
  • アピールする実績を準備しておく。ビジネス経験が少ない場合は、ただそれを話すのではなく、あなたの情熱を示さなければならない
 

5. ソフトウェア開発の仕事は、企業やビジネスの規模によって異なりますか?

 
マックス(英国&アイルランド):はい、一般的には、企業が小さいほど、より幅広い役割を担います。そうなると、エンジニアは一人で何役もこなさなければなりません。しかし、大企業で働く人は、非常に明確な責任範囲を持つ傾向があり、それは時にネガティブに捉えられることがあります。
 
エドモンド(アジア):私は、どちらにも長所と短所があると思います。エンジニアのなかには、複数の役割を担い、より頻繁にソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)を経験するために、小さな企業で働くことを好む人もいます。一方で、より構造化された方法で複数のチームの運用や協業を行える大きな企業で働くことを好む人もいるのです。
 
企業の規模だけでなく、現地のビジネスにどれだけ投資をし、重点を置いているかで経験できることは異なってきます。ほとんどの大手グローバル企業は、アジアに開発センターを設置していますが、他の地域にはより大きな投資をしています。そのため、アジアのチームは最新のIT技術、製品、プロジェクトに携わることができないかもしれません。
 
 

6.最後に、この業界で働く人々の主なモチベーションは何でしょうか。また、ソフトウェア開発の分野で働くことの魅力は何でしょうか。

 
マックス(英国&アイルランド):日々の積み重ねが一番のモチベーションになると思います。また、多くのエンジニアは「Tech for good(社会をより良くするためのテクロノジー)」を重要視しており、数値化できる違いや目に見える成果を出すことができるプロジェクトに取り組みたいと考えているのです。
 
開発者・エンジニアにとって、自分たちのやっていることを開発者以外の人に伝えるのはとても難しいことだと思います。ですから、たとえば「病気の状況を把握・管理できるシステムを作った」と言えることは、彼らにとって価値のあることなのです。
 
エドモンド(アジア):キャリアアップが望めることはもちろんですが、常に新しい技術を学びながら問題解決に取り組めるという点でも、ソフトウェア開発の仕事は好まれています。また、製品開発者は、製品を作り上げ、そのオーナーシップを持つことを楽しみます。彼らは、ゼロから何かを作り上げ、それが実際に動くのを見ることに、強い満足感と達成感を覚えるのです。
 
ジュリアン(英国&アイルランド):エドモンドと同じく、エンジニアの最大のモチベーションの一つは、新しいテクノロジーに触れる機会があることだと思います。具体的には、問題解決や継続的な学びを好む人が多いです。
 
エドワード(オーストラリア&ニュージーランド):開発担当者は、問題解決、創造的で革新的な要素に高いモチベーションを感じているようです。彼らは、新しい技術の最前線に立ち、トレーニングを受け、学んでいます。また、多くの人が、魅力的な給与と優れたワークライフバランスを提供する、現代的で進歩的な文化を持つ優れたハイテク企業で働くことに喜びを感じているのです。
 
 
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著者

ジェームズ・ミリガン
グローバル・ヘッド・オブ・テクノロジー
 
2000年入社。グローバル・ヘッド・オブ・テクノロジーとして、ヘイズのテクノロジー・ビジネスの戦略開発を担っている。

 

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