IT業界 インタビュー特集


Xuesong Luo氏 Amazon Web Service・ソフトウェア開発マネージャー
 

Show (MyWorld)は、ヘイズ初のインタラクティブなクイズ。IT業界のビジネスパーソンや企業が業界ならではのテーマについて意見を共有し合うことを目的としたものです。ワークライフバランスの必要性から報酬、企業文化の重要性まで、Show (MyWorld)は現在のITコミュニティにおけるリアルな声に迫ります。
 
 
第1回目の今回は、Amazon Web Servicesのソフトウェア開発マネージャーであるXuesong Luo氏にIT業界のベテランとしてこれまでの経験や学びについて語っていただきました。
 
 


1)    どのようにIT業界でのキャリアをスタートし、今の仕事に就いたのですか?


米国で修士号を取った後、モバイル決済分野でC/C++開発者としてキャリアをスタートし、その後、SaaSアプリケーションを開発するJavaエンジニアになりました。
 
2006年に、シリコンバレーのスタートアップ企業のSuccessfactorsに入社。最初の30人のエンジニアとして、優秀な人たちとともに休みなく働き、世界トップ3に入るHCM(人的資本管理)ソリューションに成長させたことは、自分のキャリアのなかでも印象深い出来事の1つです。
 
2009年、SuccessfactorsのCEO(最高経営責任者)はR&D(研究開発)センターを開設することを発表しました。私はチームの立ち上げを任され、上海に異動しました。
 
2012年にSuccessfactorsはSAPに買収されましたが、小さかったエンジニアチームが短期間で30人を超えるIT専門家チームに成長したのを見たときは、大きな達成感を感じました。
 
2016年には、Fortune 500の企業であるThermofisherにクラウドエンジニアリングチームのヘッドとして入社。4年間で20人を超えるエンジニアが所属するチームに成長させ、複数のモバイル/ウェブアプリケーションを開発し、昔ながらの企業だったThermofisherのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しました。
 
2019年後半、Ebay/StubHubのシニアエンジニアマネージャーを引き受けましたが、わずか数か月でStubHubはEbayからViagogoに売却されました。
 
この劇的な変化によって、キャリアのなかでも最も重要な仕事をすることになります。StubHubのプラットフォームをEbayデータセンターからGoogle cloudに移行し、さらにプラットフォームを北米とその他の国で分割する仕事です。これは、典型的なリフトアンドシフトではなく、サービスのデカップリングやモダナイゼーション、データの分割も含まれていました。
 
StubHubのプレジデントのJill Krimmel氏は「最も困難なプロジェクトであり、誰も予定通りプロジェクトを終わらせることができるとは思っていませんでした。しかし、すべての困難を克服し、奇跡を起こすことができました」と述べています。
 
数か月前、Amazon Web Serviceに入社し、上海のAIラボで新しいエンジニアリングチームを立ち上げることになりました。現在は、世界トップクラスのオープンソース検索プラットフォーム(AWS open search)を構築するために、優れた才能を持つ人たちと共に働いています。
 
 
 

2)    素晴らしい実績ですね!なぜソフトウェアエンジニアとしてIT業界に進もうと思ったのですか?


大学を卒業してから、プログラミングが好きになりました。個人的には、今後ソフトウェアがますます重要な役割を果たすと考えています。ソフトウェアは、あらゆる業界のプロセスをより効率的かつ予測しやすいものにします。
 
 
 

3)    海外やアジアなどさまざまな地域でキャリアや人生経験を積むこと得られたものは何ですか?若い人へのアドバイスをお願いします。


海外勤務を経験したことで、異なるバックグランドや個性をもった人々と上手く連携する方法を学びました。伝統的な企業と急成長しているインターネットのスタートアップ企業の違いも感じることができ、中国に帰国してからはグローバルチームで仕事がしやすくなりました。
 
もしもう一度キャリアをやり直せるのであれば、アメリカの大学に進学し、Amazonのような大企業でキャリアをスタートさせた後、シリコンバレーのスタートアップに転職し、自分の夢を追いかけたいと思っています。
 
 
 

4)    働き始めたころと比べて、IT業界はどのように変化したと思いますか?

 
最大の違いはクラウドです。ソフトウェアの設計だけでなく、運用方法も変わりました。
 
 
 

5)    Show (MyWorld)のクイズのマッチング度はどうでしたか?


全部で60%以上と、かなりいい数字が出ました!
 
 
 

6)    Show (MyWorld)ではIT業界に関するデータを提供しています。転職を検討する際に重要なポイントを3つ挙げるとしたら何ですか?


業務上の権限、業界と会社、報酬です。
 
 

興味深いことに、2022年ヘイズ・グレイターチャイナ給与ガイドにおいて、キャリア選択に影響を与える最も重要な要素は、キャリア開発や給与、福利厚生でした。また、IT人材の39%がキャリア開発と成長の機会の必要性を主張し、33%が給与と福利厚生が重要であると考えています。
 
 
 

7)    継続的な学習とスキルアップについての意見を聞かせてください。


ITの世界は他の業界よりも早く進化を続けており、特にインターネット業界のソフトウェアエンジニアやビジネスパーソンは継続的な学習が重要です。
 
 


8)スキルアップやリスキリングに際し活用する情報源は何ですか?


時間がある時は WeChat でテクノロジーに関する記事を読むのが好きです。しかし、新しいテクノロジーの知識をより深く理解する必要がある場合は、公式文書やITリーダーによる電子書籍を好みます。また、Coursera などのオンライン プラットフォームからも学習していました。
 
 
 
Xuesong氏 と同様に、2022 年の Hays Learning Mindset Report は、中国のIT業界の労働者の 65% が継続的な学習が「非常に重要」であると考えていることを示しています。世界平均ではわずか 52% であるのに対し、中国では 70% のIT人材がそれぞれの雇用主が学習リソースを利用できるようにしていることを認めています。
 
 


9)若いIT人材の間で広がる“静かなる退職” (Quiet Quitting、躺平) および、中国のIT業界における 996 の労働文化(朝9時から夜9時まで週に6日間働く)についてどう思いますか?

 
私も支持しません。もてる時間のすべてを捧げて成功した元同僚や友人を多数見てきましたが、私個人の意見としては、「996」は企業文化として受け入れられるべきではありません。
 
私自身も数か月間、1 日 12 時間以上働き続けた経験がありますが、当時は会社にとって締め切りに間に合わせることがいかに重要であるかを理解したうえでの働き方でした。個人的には、「996」は長期的に持続可能ではないと考えています。従業員の健康や家族関係とのトレードオフなのです。
 
 
 
IT人材の間では残業時間の削減は驚くべきことではないかもしれませんが、2022 年のヘイズ・グレイターチャイナ給与ガイドのIT業界カテゴリーによると、IT人材で労働時間が週 40 時間未満の人は15% のみだとわかりました。
 
この調査結果は、ヘイズ が実施した最近の LinkedIn および WeChat の調査と一致しています。回答者の50% は職場で期待を超える意欲がある一方で、アジアのビジネスパーソンの静かなる退職に対する心情を物語っています。
 
同レポートはまた、ワークライフバランスや柔軟な勤務時間など、個人の成長を支える要素に関して、ビジネスパーソンのニーズと嗜好をよりよく理解し認識するよう雇用主にアドバイスしています。ほとんどのIT人材が現在の会社の規則に満足していますが、一方で雇用主は、適切な候補者を引き付け、長期的に従業員の定着率を高め、ビジネス全体の成功を収めるために、これらの要因を念頭に置いておく必要があります。
 
 


10) 仕事以外ではどんな風に過ごしていますか?

 
私は大のスポーツファンです!中学生の頃からほぼ毎週サッカーをしていましたが、数年前からは水泳などの「軽い」運動に切り替えています。
 
機会があれば旅行も楽しんでいます。私のお気に入りの旅行先は雲南省、四川省、杭州など、美しい景色とおいしい食べ物が豊富な場所です。特に非常に要求の厳しいIT業界のプレッシャーのもとでは、リラックスして活力を取り戻す必要があるときは、スポーツや旅行が頼りになるストレス解消法です。
 
 


11)特にこのような競争の激しい業界で、健康的なワークライフバランスをどのように維持していますか?ライフハックを教えてください。

 
IT業界におけるワークライフバランスとは私にとって、仕事に費やす時間ではなく、いつ働くかを柔軟に選択できることです。
 
たとえば週に 1~2 回、運動をしたり家族の世話をしたりするために、昼過ぎにオフィスを出ることがあります(会議や緊急の仕事がない場合)。その代わり、夜や週末に数時間余分に働くようにしています。帳尻を合わせるにしてははるかに長く埋め合わせしますが、この働き方はより良いワークライフバランスの形成に役立っています。
 
結局のところ、私は常により良いものを作りたいという考え方で自分のしていることを楽しんでいるのです。
 
 
 

12)プログラマーに関して誤った固定観念があると思います。プログラマーと付き合うにあたって予期せぬ意外な特徴は何があるでしょうか?

 
残念ながら、ここで提供できる特別な何かはありません。私が言えることは、プログラマーは通常、自分の素晴らしい面を見せるのが苦手だということです。それを解き明かすには、時間と少しの信じる力と忍耐が必要です。しかし、一度扉を開いてみると、それだけの価値があるとわかります!
 
 
 

Show (MyWorld) クイズでは、あなたの意見がIT業界の潮流と一致しているかどうかを、クイズに答えるなかで知ることができます。 
 
2022 年ヘイズアジア給与ガイド IT業界資料はこちらからダウンロードいただけます。
 
 
 
 
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