インサイドストーリー:日本におけるデジタルテクノロジー業界の現状

The inside story of digital technology in Japan image


米Forbes誌は最新号で、今や “デジタル司令官”の重要性は軍の司令官並みに高まっているのではないか、と問いかけています。

日本についていえば、答えは間違いなく「イエス」でしょう。消費者だけでなく職場でも次第に増加する若い世代の人たちにとっては、なおさら大きな意味を持つはずです。

国際電気通信連合(ITU)の調査によれば、15~24歳の日本人の99.5%までが、生まれた時から常にデジタル技術に接してきたいわゆる「デジタル・ネイティブ」であり、これは世界でも韓国の99.6%に次ぐ高い数字です。

日本に限らずデジタル変革が世界中を席巻している現在、最も優秀な人材をいかに日本のデジタル業界に取り込むかは死活問題です。

日本企業はセミナーやイベントを通じて、魅力的な職場文化や充実した教育・研修制度を前面に打ち出し、デジタルテクノロジー業界への就職や転職を盛んにアピールしています。確かに若い世代の人たちにとっても、常に最新のテクノロジーを駆使し、ビジネスの場で英語力を活かせる上、企業の負担でさらなる教育の場が開かれている環境で仕事ができることは、間違いなく非常に魅力的です。

しかし、人材市場の最前線に立つリクルートメントのエキスパートであるヘイズとしては、ハイテク業界の急速な動きに対応していけるだけの人材が国内で供給できるとは考えにくく、社会の高齢化を考慮すると、この先の10年だけを艦みても、日本は極めて厳しい状況にあると言わざるを得ません。

日本は長らく世界のハイテク業界をけん引してきたとはいえ、実際には何度も浮き沈みがあり、2000年からの10年間は特に厳しい落ち込みを経験してきました。現在は再び盛り返し、アジアや世界の厳しい競争の波にもまれながらも、いくつもの分野で主導的な地位に立っています。

テクノロジーの焦点は広範にわたっており、インダストリアルIoTを含めたIoT、人工知能(AI)、拡張現実(AR)、バーチャルリアリティ(VR)、ロボティクス、モバイルテクノロジー、さらにサイバーセキュリティまで含め、あらゆる分野を巻き込んでいます。

実際、7月にシンガポールで行われるセキュリティの国際展示会「Interpol World 2017」では、日本政府が日本企業10社のサイバーセキュリティ技術を展示するパビリオンへの資金援助を行っており、世界のサイバーセキュリティテクノロジーに、日本が本腰を入れて取り組む初めての機会となります。

一方、サイバーテクノロジー開発において、現在、世界をけん引しているのは米国、英国、ロシア、中国、イスラエルといった国々であり、日本の業界としてはアジア市場を中心に、何とかその一角に食い込みたいと考えています。

今年5月に東京で開催された世界デジタルサミットでの話題の中心は、国内輸送業界向けの自動運転車や自動運転航空機でした。国内のモバイル大手3社も先ごろ、2020年までに5Gモバイルサービスを開始することを発表しており、自動運転技術やIoTへの傾斜が一気に加速するものと考えられます。

さらにその後も、日本国内でも大量の不動産投機を生み出すことになると見られるブロックチェーンテクノロジーの活用がニュースを賑わしたほか、情報通信技術の宇宙産業への活用にも大きな注目が集まっています。

テクノロジーの進化は自動車業界でも、機械学習やロボティック・プロセス・オートメーション、付加製造技術、センサー、視覚システム、スマートマニュファクチャリングまで、応用範囲をますます広げており、日本では今後に大きな期待がかかっています。

現状に目を向けてみると、すでに日本国内ではInternet of Things関連で膨大な人材の需要が生まれています。しかし、それぞれの企業が扱うアプリケーションは多岐に渡っているにもかかわらず、結局のところ、各社とも同じ候補者を狙ってしのぎを削っているのが実情です。

IoTを専門とするネットワークエンジニア、モバイルエンジニア、組み込みエンジニアは現在、どの企業でも「最も欲しい人材」のリストに挙げられており、あらゆるレベルの人材が求められています。社内で育成してシニアレベルの職務を担当させることのできる、潜在能力の高い若手IoT 人材を積極的に採用するケースも目立ちます。LT5エンジンの発売を支援できる人材を巡る争奪戦はとりわけ激しくなっています。

しかし何と言っても、現在、最も需要が高いと思われるのが、Java に加えてObjective C/Swiftの知識やスキルを持ったモバイルエンジニア(iPhone、Androidの両方)で、Java、C#、CSS3、HTML5 の経験があるWebエンジニアも引く手あまたの状態です。

ビッグデータ関連では、SASS、Hadoop、Informatica等のスキルや知識を持ったデータサイエンティストやデータアナリストがeコマースやフィナンシャルテクノロジー関連の職種で強く求められています。

採用企業側が望むのは、日本語と英語の両方が堪能であることに加え、著名な大学で修士号を取得した上で適切な技術的なスキルを持ち、フィンテック、ゲーム、eコマースなどの業界での実務経験がある人材です。

コンシューマ市場の拡大に伴って、優秀な人材を巡る競争は拡大しており、要件を満たす候補者に対しては一度に4社ものオファーが殺到している状態です。

日本語が話せる候補者が有利であることは間違いないとはいえ、企業側もニッチテクノロジーに関しては次第に海外の候補者まで対象を広げ始めています。こうした候補者に対しては通常、引越費用については企業側からの援助があるものの、雇用条件自体は国内に準じた形になっています。

デジタルテクノロジー業界で優秀な人材を十分に育成していくことは、今後日本にとって、間違いなく重要な課題になるとヘイズでは捉えています。企業が人材を見出し、希望する候補者を確実に採用し、必要な人員を補充していくためには、戦略的思考が不可欠です。一つの方法として、自社の現在の社員、あるいは面接した候補者の中に、人材が不足している分野に活かせる能力や、そうした仕事で力を発揮できる可能性を持った人材がいないかどうか検討してみるべきです。社員であれば、すでに仕事への取り組み姿勢は実証済みであり、組織に“フィット”することも分かっているため、能力が活かせることに疑いの余地はありません。どのようなスキルが別の分野で活かせるのかを検討する際には、本当に外せない要素とはどのようなもので、どのような候補者が理想的なのか、ということを優先的に考慮に入れるべきである、とヘイズは強調しています。当初、要件としていた特定のバックグランドだけにこだわらず、行動の点で希望にかない、他の分野にも生かせるスキルを持っており、社風にうまくフィットする候補者であれば、採用を検討すべきです。そうすることで、対象範囲を広げつつ、経験を積んだ、しかもニーズに合った候補者の中から人員を補充することができるのです。こうすることで、最小限の技術的なトレーニングだけで、この先、会社に多大に貢献する貴重な戦力に育つ可能性も生まれてくるのです。

本レポートの詳細について、またはデジタルテクノロジー関連の求人、採用についてのお問合せについては、ヘイズ・デジタルテクノロジー部門リクルーティイングマネージャー、ヴィクター・アレッセ
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