Hiring Perspective:MUFGが描く人材戦略の未来

国内外で充実したネットワークを有し、あらゆるビジネスの根幹である金融を主としてさまざまな事業を展開する総合金融グループである三菱UFJファイナンシャル・グループ(以下、MUFG)。
ヘイズは長年に渡り採用支援を行っており、今回はヘイズのアジア・エンタープライズソリューションにてストラテジック・アカウント・ディレクターを務めるBruno Marchandが、MUFG 執行役常務 グループCHROの國行昌裕氏にインタビューを行いました。
同社が発表した最新のヒューマンキャピタルレポートを起点に、キャリア採用の増加、タレント戦略、DEI推進、エンゲージメント向上、そして今後のビジョンについて伺っています。
キャリア採用が増加している背景
Marchand:
ヘイズ・ジャパンは長年にわたり貴グループの採用を支援させていただいているなかで、2025年6月に貴グループが発行されたヒューマンキャピタルレポートを中心に、貴社の最新の取り組みや、日本におけるタレント・採用戦略についてお伺いします。
まず、貴グループは近年、キャリア採用数が大きく増加している印象があります。どのような背景があり、現在はどのような人材に特に注力されているのでしょうか?

國行氏:
ここ数年、キャリア採用を積極的に行っている理由はいくつかあります。まず、当社のビジネスそのものが高度に専門化してきており、実務の第一線で専門スキルを持つ人材が必要になってきています。従来のように新卒中心で育てるだけでは追いつかず、経験者採用の重要性が高まっています。
また、MUFGは3年ごとに中期経営計画を策定しており、そこでは DX(データ分析・エンジニアリング・サイバーセキュリティなど)、ウェルスマネジメント(富裕層・法人向けの包括的資産管理・最適化サービスを提供する業務)、サステナビリティ(気候関連リスク対応・サステナファイナンスなど)といった専門領域を重点分野に位置づけています。これらの領域は新卒の戦力化を上回るスピードで人材の拡充が必要であり、社外から専門家を迎える必要があります。
採用チャネルの拡大やリクルートメント企業との連携強化、大学やメディアへの広告、さらにはトップマネジメントが出演するCMなどの影響で、MUFGは学生・キャリア採用者双方からの認知度と人気が高まりつつあります。
高いエンゲージメントスコアの要因
Marchand:
レポートでは、エンゲージメントスコア(設問に肯定的な回答した割合)が76%と非常に高い水準であることが紹介されていました。どのような取り組みが高い数値に寄与したとお考えですか?
國行氏:
この動きを浸透させるために、
• 会社の全ての活動の指針であるMUFG Wayと社員個人の価値観(My Way)の重なりを言語化するワークとそのワークを同僚同士で相互対話する取り組み
• 経営陣との対話イベント(タウンホール)
• 社員の新たな挑戦を支援する機会
社員が「自分のキャリアは自分で考えていい」「会社がそれを尊重し応援してくれる」と実感できる環境が整ってきていることが、エンゲージメント向上の大きな要因だと考えています。
MUFGでは「自律的キャリア」を非常に重視しており、キャリアの方向性を社員が“会社に決められる”のではなく、自ら考えることを支援しています。
この動きを浸透させるために、
• 会社の全ての活動の指針であるMUFG Wayと社員個人の価値観(My Way)の重なりを言語化するワークとそのワークを同僚同士で相互対話する取り組み
• 経営陣との対話イベント(タウンホール)
• 社員の新たな挑戦を支援する機会
を拡大してきました。
社員が「自分のキャリアは自分で考えていい」「会社がそれを尊重し応援してくれる」と実感できる環境が整ってきていることが、エンゲージメント向上の大きな要因だと考えています。
女性管理職比率向上への取り組み
Marchand:
MUFGは女性管理職比率向上にも大きく取り組まれています。特に効果的だった施策や、キャリア採用との関係についてお聞かせいただけますか?
國行氏:
DEIは当社の重要テーマであり、特に女性管理職比率は過去2年で4ポイント改善し24%(FY2024)になりました。2030年には30%を目指しています。
取り組みには、主に以下が挙げられます。• 上司への意識啓発のための経営陣から管理職向けDEIフォーラム開催
• 役員メンタリングプログラム(役員が年間3〜4名の女性リーダー候補を担当)
• 女性管理職の後継者の計画的な育成
一部では「男性に対する逆差別では?」という声もありますが、歴史的な不均衡を是正するためには、このようなアクションが必要だと考えています。
自律的キャリア形成支援の取り組み
Marchand:
CEOメッセージにもあった「自律的キャリア形成」について、キャリア採用者にとって特に効果の大きかった取り組みはどれですか?
國行氏:
前述したMUFG Wayの共有やタウンホールなどの「自律的キャリア形成」支援は、キャリア採用者にとっても非常に効果的です。MUFG WayとMy Wayの重なりを見つけ、経営層とも対話を持つことで、入社後に自分の役割や意義を実感しやすい仕組みになっています。
年功序列からの脱却に向けた取り組み
Marchand:金融業界を含め、日本では年功序列が根強いと言われています。MUFGとして、この仕組みから脱却するためにどのような施策を進めているのでしょうか?
國行氏:
年功序列自体が悪いとは思いませんが、評価が「勤続年数ベース」になると、どうしても甘くなりがちです。今は 役割・成果・能力に基づき評価する文化づくりを進めています。
年功序列自体が悪いとは思いませんが、評価が「勤続年数ベース」になると、どうしても甘くなりがちです。今は 役割・成果・能力に基づき評価する文化づくりを進めています。
ポジションも、キャリア・新卒を区別せず、「その人が本当にその役割にふさわしいか」を基準に判断します。より実力主義を追求した人事への転換を進めています。
グローバル化に伴うDEIの進化
Marchand:
MUFGは社員15万人のうち、10万人が海外で働いていると伺っています。その規模において、DEIの重要性やアプローチはどのように進化してきましたか?
MUFGは社員15万人のうち、10万人が海外で働いていると伺っています。その規模において、DEIの重要性やアプローチはどのように進化してきましたか?
國行氏:
MUFGには日本人女性と米国人女性が共同統括するグローバルのDEI推進体制があり、欧州・アジア含め世界中の拠点とつながってベストプラクティスを共有しています。
私が入行した1994年当時とは大きく様相が変化し、多様性は大きく進化しています。多様性の進展を前提に、地域・拠点横断で運用を磨く体制があることが、MUFGの強みの一つと考えています。
専門人材の育成と外部採用のバランス
Marchand:
DX、ウェルスマネジメント、サステナビリティなど専門領域の強化を進めていらっしゃいます。社内育成と外部採用のバランスはどのように最適化されていますか?
DX、ウェルスマネジメント、サステナビリティなど専門領域の強化を進めていらっしゃいます。社内育成と外部採用のバランスはどのように最適化されていますか?
國行氏:新卒からの育成と外部採用を両輪で進めています。キャリア採用はスキル上の即戦力を補充できますが、立ち上がりには一定のハードルもあります。そのため、内部人材の育成とキャリア採用による即戦力補強の両方をバランスよく行う必要があります。
MUFGでは入社初期の受け入れ・育成プログラムに注力しており、キャリア採用者からの評価も向上し、定着率も着実に改善しています。
外部専門人材を惹きつけるための施策
Marchand:
即戦力となる外部専門人材の採用を強化されていますが、採用力向上に向けた具体的な取り組みを教えてください。
國行氏:
コース別採用を拡大し、専門分野を学んできた若手も含めて多様なバックグラウンドの人材が入社しやすい仕組みを整えています。また、キャリアパスの複線化により、専門性の追求とキャリアの幅の拡大を自律的に選択しやすい環境が整ってきています。
高齢社員の活躍やジェンダー平等も含め、誰もが活躍できる環境をつくることで、専門人材にも魅力的な職場になると考えています。
新しい人事制度が生まれた背景
Marchand:
コース別採用も含めて、新しいHR制度も登場しています。これらを導入した背景にはどのような意図があったのでしょうか?
コース別採用も含めて、新しいHR制度も登場しています。これらを導入した背景にはどのような意図があったのでしょうか?
國行氏:
従来のやり方をそのまま続けるのではなく、変化に合わせて制度をアップデートする必要があります。若手、育児・介護などの両立者、シニア、専門人材など、幅広い人材層や様々なライフステージの多様な働き方を支えることで、MUFG全体の競争力を高めたいと考えています。
2021年以降のタレント戦略の進化
Marchand:
2021年のビジネスモデル変革以降、採用・定着の戦略にはどのような変化がありましたか?また、変わらず大切にされている価値観はありますか?
2021年のビジネスモデル変革以降、採用・定着の戦略にはどのような変化がありましたか?また、変わらず大切にされている価値観はありますか?
國行氏:
2021年以降、DEI、エンゲージメント、健康経営などの各種人事施策は大きく進化してきました。しかし、変わらないものが一つあります。「社員こそが会社そのもの」という価値観です。外部ステークホルダーでもシステムでもなく、社員がMUFGの中心。この考え方をベースに、引き続き、いろいろな改革を進めています。
MUFGが目指す5年後の姿
Marchand:
今後5年間、MUFGはどのような姿を目指しているのでしょうか?また、従業員がどのように社会や業界に貢献する存在になると考えていますか?
今後5年間、MUFGはどのような姿を目指しているのでしょうか?また、従業員がどのように社会や業界に貢献する存在になると考えていますか?
國行氏:
この30年で日本の国際的地位は大きく低下しました。人口減少が続けば、未来も不安です。だからこそMUFGは、お客様の課題を解決し、会社の基盤のある日本をもう一度元気にする存在でありたいと考えています。
この30年で日本の国際的地位は大きく低下しました。人口減少が続けば、未来も不安です。だからこそMUFGは、お客様の課題を解決し、会社の基盤のある日本をもう一度元気にする存在でありたいと考えています。
MUFGのパーパスは「世界が進むチカラになる。」。多様なタレントを活かし、新しい価値を創り、社会課題の解決に貢献していきます。MUFGが日本を支え、日本が強くなれば、MUFGも強くなり、グローバルネットワークを持つMUFGは世界に貢献できる。私はそのための一翼を担いたいと思っています。
ヘイズとの協働について
Marchand:
ヘイズは長らく採用のサポートをさせていただいていますが、ヘイズに期待されていることや、今後さらに貢献できる点について教えてください。
ヘイズは長らく採用のサポートをさせていただいていますが、ヘイズに期待されていることや、今後さらに貢献できる点について教えてください。
國行氏:
ヘイズには、グローバルのトップタレントとの接点をさらに強化していただけることを期待しています。MUFGは日本では有名ですが、海外ではさらなる知名度の上昇を目指している道中です。グローバルでのガバナンス強化や、柔軟な組織運営を進める上でも、ヘイズの視点とネットワークは非常に役立つと考えています。
MUFGは今、大規模な変革期にあります。人事の領域では、専門性強化、自律的キャリア、DEI、健康経営など——各種施策を同時に推進し、社員を「会社そのもの」と捉える文化を軸に、未来への一歩を踏み出しています。ヘイズはグローバルに展開する大手企業の採用や人材戦略をサポートし、事業成長を人材の観点から支援し続けます。

三菱UFJファイナンシャル・グループ
グループCHRO
執行役常務
國行昌裕
1994年三菱信託銀行へ入行。MUFG経営企画部、三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店、市場国際部、英国法人Co-CEO、MUFG・三菱UFJ銀行常務執行役員財務企画部長等を歴任し、2025年4月より現職。
ヘイズのアジア・エンタープライズソリューション
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