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2020年卒に向けたキャリア・アドバイス

2020年卒に向けたキャリア・アドバイス

 

私は1982年に理学士の学位を得て大学を卒業しました。40年近く前のことです。2020年卒と同じように、私が卒業した頃も、経済状況が不安定で景気は後退局面にありました。当時それは、第二次世界大戦後で最悪の経済状況だと考えられていました。しかし現在の卒業生が直面している状況の方が、さまざまな視点から見ても、遥かに困難であることは、疑いありません。

教育という甘やかされ、守られた世界を去って社会人の世界に入った時の自分の気持ちを、今もはっきり覚えています。興奮や楽観から不安や恐怖まで、あらゆる感情が私の中で渦巻いていました。


通常の経済状況においてさえ、大学から離れるのは容易ではありません。卒業とは、過去数年間、慣れ親しんできた多くの物事を後にするということなのですから。これまでの居心地の良い世界、「人生最良の時」と多くの人が言う時代に別れを告げなければなりません。これまでは、誰かが切り開いてくれた道を歩んできました。しかしこれからは、自分で自分のたどる道を切り開かなければならない「現実の世界」に、初めてたった一人で入っていくのです。それは生活の激変を意味しており、適応するのは決して簡単ではありません。正直なところ、この問題についてはこれまで十分に対応されてきたとは言えません。今現在、2020年卒のすでに卒業された皆さんと、今年の終わりに卒業される皆さんの心の中に渦巻いているものが何かは、想像するしかありませんが、きっとあなたたちは、こう問いかけていることでしょう。


「次は何が起きるの?」


大学を卒業した多くの若者の心の中に渦巻いているのは、おそらく「次は何?」というただ一つの問いでしょう。それまでの人生では、学校や教育制度の指し示す道を忠実にたどればよかったのですから、無理もありません。それまではいつも方向性が示されてきたため、次に何が起きるのか、はっきりしていました。しかし今、彼らは両親や友人知人、親戚など、あらゆる人に「卒業後の計画は?」とたえず尋ねられています。「次は何?」という質問への答えをすでに出していない場合は特に、プレッシャーと期待に押し潰されそうに感じてしまうのも、無理はありません。


しかしこれは普通のことであり、現在の世界情勢を考えれば、なおさら無理もないことを、2020年卒にはぜひ理解していただきたいのです。ブログでご説明したように、あなた方がこれから飛び込もうとしている仕事の世界は、これまでに知られてきた中でもとりわけ厳しいものです。多くの経験豊かなプロでさえ、彼ら自身の「次は何?」という問いに答えられずにいるのですから、社会人としての経験のないあなたがたが答えられるはずはありません。

2020年卒ができる11のこと

世の中には、新卒に向けたアドバイスはいくらでもあります。その多くは役には立つものの、現代のような前例のない時代にふさわしいとは、必ずしもいえないものも少なくありません。そこで、あなた方ができるだけ明るい気持ちで、仕事の世界に飛び込み、成功できるように、私自身の考えや視点を分かち合いたいと思います。私のアドバイスが、あなた方の役に立つと同時に、やる気を引き出してくれることを願っています。

1. 自分をいたわり、一息つこう

あなたは卒業に向けて、これまで何年も頑張ってきました。ようやく卒業し、様々なお祝いがひと段落ついたところで、突然、現実世界に突き落とされたような気がしているかもしれません。あるいは何となく拍子抜けしているかもしれません。人生の一つの章を閉じて、現時点では全く未知の新しい章に向かうあなたは、疲れ果て、打ちのめされ、少し悲しみさえ覚えているかもしれません。こう感じるのも、全く普通のことです。ですから、直ちに就職活動を始めて最初からプレッシャーを積み重ねる前に、数週間休み、じっくり考え、新しい現実に慣れて、人生の新しい章にどうすればできるだけ前向きに立ち向かえるか、真剣な計画を立ててみましょう。忘れないでください。今ではあなたは大学卒であり、誰もこれをあなたから奪うことはできないのです。学位はこれからのあなたの人生にずっと寄り添う資格であり、あなたが学習し、辛抱し、成功する能力をもっていることの証なのです。

2. 時間を無駄にしない

経済状況が非常に悪いからといって、計画を練ったり、就職活動に向けてできることは何もないと考えないでください。歴史上の偉人の中にも、あなたと同じような状況に直面し、行動した人がいます。例えばアイザック・ニュートンはどうでしょうか。彼は1665-1666年に、あなた方と驚くほど似た状況にありました。疫病で大学が閉鎖され、当時ケンブリッジ大学に在籍していたニュートンは、田舎に帰るしかなくなったのです。しかしその期間中に、彼は微分積分、万有引力、運動の法則などについての思索を深めました。後に彼は、この期間こそ、最も生産性の高い時代だったと述べています。これは私たち全員にとって、参考になる話であり、時間を有効活用することの重要性が示されています。それは失われた時間ではなく、自分のやる気と粘り強さを示せる時間なのです。何年間も勉強してきたあなた方が、さらに勉強するという考えに抵抗を覚えるのも、無理もありません。それでも、例えばスキル向上のためにこの時間を使うというのは素晴らしい考えで、私も強くお勧めします。オンラインの様々な教材や授業を利用しましょう(ヘイズのもぜひご覧ください)。またはより長期的な計画を立てて、大学院に進学したり、実習などの職業訓練を考慮するのもいいかもしれません。選択肢は豊富にあり、どれを選んでも、得るものはあるはずです。

3. 時間をどのように活用したか、履歴書に記載しよう

履歴書の空白は、将来のキャリア形成に何一つプラスになりません。ですから自分の時間をどう使ったか、履歴書に記載するのを忘れないでください。スキル向上、ボランティア活動、DIY作業、介護、オンライン読書会の設立、さらにはバーチャル・キャリアフェアなどのイベント参加でも構いません。こうした記述に接した採用担当者は、あなたがどんな状況でもくじけない、状況をコントロールできる人間で、単に「物事が起きる」のを受け身で待つだけでなく、「物事を起こす」人間であることを知るでしょう。そしてあなたが真面目で独創性や起業家精神を持つことを知り、単に成績だけでなく、あなたという人間の全体像を理解できるのです。履歴書の書き方やその改善方法について知りたければ、こちらをご覧ください。

4. もっと自分を理解しよう

あなたとあなたの物語は、唯一無二のものです。あなた自身を作り上げているもの、それがあなたの持つスキルや長所や態度です。信じられないかもしれませんが、今あなたは、誰かの求めているスキルを持っていることに気づいてください。現在、企業が求めているのは独創性、適応性、そして新しいアイデアや革新的な思考です。これまでの人生を力強く生き、新しい経験をし、その過程で挑戦を繰り返してきたあなたは、この新しい時代に企業が繁栄するのに必要な人材なのです。また、わずか数年前と比べても、あなたがずいぶん変化したことに気づいてください。あなたのセールスポイントは何ですか?あなたをあなたたらしめているものは? 何に価値を置いていますか? あなたが付け加えることのできる価値は何ですか? あなたの一番の強みは何ですか? あなたは何が得意ですか? あなたは企業に、どう貢献できますか? この最後の問いは、単なるスキルの問題ではありません。あなたが何者で、企業文化にどう寄与するかということなのです。どの企業も、企業文化に寄与してより良い場にしてくれる人材を求めているからです。あなたはそのような人材ですか?自分自身を少しでもよく理解し、自信を持つことは、キャリア形成に大きな意味を持つのです。将来、豊かな実りを得るために、今から始めてください。

5. 他人と比べるのをやめよう

成功の定義は一人一人違います。あなたが成功した人生と考えるものも、他の人はそうみなさないかもしれません。たとえ大学の同級生が「理想の仕事」を手に入れたと自慢しても、だからと言ってその同級生があなたより成功しているとか、あなたより優れていることを意味しません。時間をかけて、成功に向けて現在のあなたがすべきことは何か、じっくり考えてみましょう。あなたの物語とは文字通り、あなただけの物語であり、他の誰のものでもないことを忘れないでください。あなたの物語が他の人のものと全く違っていても、全く構わないのです。あなたに、達成感と満足感を与えてくれる限り。

6. 前向きでいよう

これまでの数年間、あなたは大学卒業という目標に向けて頑張ってきました。その目標が実現した今、燃え尽き症候群に陥ったあなたは、これからしなければならないことを考えて押しつぶされそうな気持ちになっているかもしれません。これから、全力で別の目標に向かっていかなければならないと考えて、非常にしんどい気分でいることも理解できます。そこで頭を切り替えて、これから始まる人生の新しい章における楽しい面に注目してみましょう。あなたの目標は起業すること、家庭を持つこと、家を購入すること、本を書くこと、あるいは世界中を旅すること(またはその全てと、さらに多くのこと)かもしれません。どれも、これからあなたが経験することです。大学卒業は素晴らしい出来事でしたが、それは人生のピークではありません。これからまだまだ多くの素晴らしい出来事があなたを待っているのです。教育は、人生の次の章の扉を開くための鍵に過ぎず、今後もあなたがずっと高い頂点に登りつめることを、私はお約束できます。多くの理由から、今の時期は確かに困難かもしれません。しかしあなたはきっとこれを乗り越え、その過程で学ぶことも多いでしょう。この先の道を見ると、どこで角を曲がるべきか、判断するのは難しいかもしれません。それでも将来、あなたが来し方を振り返る時、様々な経験がどう結びつき、次のステップに進むための扉を開くのにそれがどう役だったか、きっと気づくはずです。

7. 柔軟な心を持とう

人生のこの段階では、計画していなかった、あるいは将来の目標としていなかった仕事なども、考慮してみましょう。新卒採用にこだわる必要もありません。たとえそれが一見、あなたにとっての「理想の仕事」からかけ離れていたり、あなたが希望するレベルでなかったりしたとしても、与えられたどんな機会も学びに結びつくものであり、キャリア形成の初期では、学ぶことこそあなたが最もすべきことだと忘れないでください。私自身、当時それに気づきませんでしたが、その頃の経験、見聞、出会った人々、そして初期の私の成功と失敗はどれも、おそらく人生の他のどの時期よりも私という人間の形成に役立ったと思っています。また、正社員だけが唯一の選択肢と考えないでください。様々な環境や産業で経験を積みながらスキルを高められる派遣や契約社員も、一考に値します。

8. あきらめないで

たとえ普通の状況でも、就職活動はストレスがたまるものです。それは先の見えない非常に困難な努力に感じられるかもしれませんが、粘り強く、前向きな態度を保ちましょう。あきらめないでください。現時点のあなたにとっての最優先事項が就職活動なら、それを9時から17時の仕事と考え、一日の活動の中心に置きましょう。一日の目標を設定して、進捗状況を確認しましょう。無差別に何百ものエントリーシートを提出する代わりに、事前調査を行い、丁寧に記入したエントリーシートを日に1、2通提出するようにしましょう。その方が、努力対効果ははるかに高いのです。採用担当者は、心のこもっていないエントリーシートをすぐに見破ります。その類に入ってしまわないように注意しましょう。あなたのエントリーシートは、応募する企業とそのポジションのためだけに書かれたものであるべきで、なぜあなたがその仕事に最もふさわしいか、またあなたが企業に何をもたらすか、相手に語りかけるものでなければなりません。また、現在のような困難な時代には採用プロセスにも時間がかかることが予想されます。したがってすぐに返事が来ると期待せず、たとえ来なくても、何よりも落ち込まないでください。採用されなくても、落ち込んだり自信を失ったりする必要はありません。企業側も、この困難な時期を生き延びようと必死であることを忘れないでください。フィードバックを求め、この経験から学び、そしてこれはあなたにふさわしい選択ではなかったのだと考えましょう。

9. あなたの最初の勤務先は最後の勤務先ではないことを忘れないで

今の時代には、一生の仕事などないのです。この私も、今でこそ世界最大級の人材紹介会社を経営していますが、最初の仕事は、飛行機を作ることだったのです!ですから、あまり自分にプレッシャーをかけないでください。何をしたいのか分からない、と悩んでいるかもしれませんが、その必要もありません。あなたがこれからたどるキャリアには紆余曲折が予想され、今あなたの下す決断が、それに重大な影響を及ぼすことはないはずです。確かにあなたのキャリアの軌跡は複雑なパターンを描くかもしれません。それでも、自分が流されたりしない限り、それに支配されることはないのです。一つ一つの経験を、これまで思ってもみなかった方向に連れて行ってくれる足がかりと考えましょう。私自身、人材紹介はもちろん、テクノロジー、コンサルティング、建築材料、石油探索などの業界で働くことになるとは、思ってもいませんでした。しかし実際には私はこれらの業界で働き、そのことを全く後悔していません。私が言いたいのは、あなたの最初の仕事、あるいはその後の仕事が、あなたの将来のキャリアを左右することはないということです。それがあなたの大学の専攻分野に直接関係している必要さえないのです。もちろん、最初に選んだ仕事で、ある程度の方向性は定められるでしょう。それでも、あなたは運転席に座っていること、方向転換したければ、いつでもそうできることを忘れないでください。ですから、最初の仕事を受けた時、「これで決まりだ、他の道はない」とパニックに陥らないでください。自分が願わない限り、そうならないのですから。あなたがすべきこと、それは好むか好まざるかにかかわらず、全ての経験からできるだけ多くのものを得ることです。あらゆる機会から手に入れたものはやがて、行きたい場所にあなたが行くための力になってくれるでしょう。

10. 先回りしすぎない

卒業生は往々にして、次のステップや、最終的にどんなキャリアを築きたいかに注目するあまり、「今」に集中できないという問題があります。もちろん野心を持つのはすばらしいことです。それでも現在のように困難な労働市場では、就職した後も、もちろん燃え尽きることなく、あなた自身の価値と可能性を伸ばす必要があるのです。したがって実際に仕事が始まったら、ベストを尽くし、そのあらゆる側面について学び、(私のも含めて、あらゆる仕事に存在する)好きになれない部分も我慢しましょう。そうすればやがて、あなたは有能な人材として周囲の注目を集め始め、新たな機会が提供されることでしょう。

11. 家族や友人と話をして、ネットワークを構築しよう

多くの人にとって、今は周囲の人と切り離された、不安な時代です。そのうえ将来に対する不安や就職できるのかという気がかりを持つあなたは、強力なサポート・ネットワークを構築する必要があります。いつでも助けをあてにできる相手だけでなく、あなたを元気にしてくれる人や、異なる視点を提供してくれる人もそこに含めましょう。サポート・ネットワークは、自分が次に何をしたいかを見つけだす助けになってくれます。彼らは異なる視点からアドバイスをくれ、また最初に踏み出すべきステップが何か、あなたの頭の中で整理し、はっきりさせる手助けをしてくれるでしょう。就職できた大学の同級生とも話をして、彼らのアドバイスを求め、何を学んでおくべきか教えてもらいましょう。さらにバーチャル・ネットワークも非常に役に立つはずです。もしまだ持っていないなら、早速LinkedInのプロフィールを作成し、ネットワークを形成してコミュニティの助言を求め、その経験を参考にしましょう。プラットフォーム上で、あなたの尊敬する著名人を検索して、彼らが現在のポジションに到達するためにどんな経歴をたどったのか、そのプロフィールから読み取りましょう。

いかがでしたか。必要な事柄をここですべて取り上げられたとは思いませんが、先に述べたように、これらのアドバイスがあなたの役に立ち、あなたをやる気にさせるだけでなく、勇気づけてくれることを願っています。私のネットワークからも優れたアドバイスがあると思いますので、彼らが下のコメントに記入してくれることを願っています。

2020年卒の皆さんは、唯一無二の存在です。あなたが優れた土台を持ち、これを巧みに伝えることに成功するならば、あなたにしか伝えられない物語は、企業側が聞きたいと思っているでしょう。あなたが今書いているこの章は、いろいろな意味で、あなたにとって決定的な意味を持っています。この章では、主人公であるあなたは、先の見えない時代にもかかわらず、目標や野心を実現するための回復力、忍耐強さ、根性を発揮し、困難を乗り越えてチャンスをつかむのです。ですから、私がこのブログで紹介したアドバイスをぜひ取り入れて、あなたの人生のこの特別な章を、力強く感動的なものにしてください。そうすれば、その先に続く章ははるかに易しくなることをお約束します。健闘を祈ります!