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リモートやハイブリッド型の研修を成功させる4つのポイント

リモートやハイブリッド型の研修を成功させる4つのポイント

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、あらゆるビジネスに影響を与えました。企業や働く人々は、状況に素早く適応し、コロナ前と同じようにサービスを提供しなければなりませんでした。それは、研修も同じです。新しい時代のビジネスでは、しっかりとしたトレーニングプログラムを持つことが将来の変化に対応するために重要となります。
 
新型コロナウイルスに関する規制緩和が進み、人々が職場に戻り始めていますが、オフィスに全員で集まることができるようになるにはしばらく時間がかかると思われます。さらに多くの人たちが柔軟な勤務体系で働くようになり、出張も以前のように行われることはなくなるでしょう。そのため、今後はリモートワークとオフィス勤務を併用したハイブリッド型のチームが増えていくと考えられます。
 
これまで研修は、対面で行うのが最も効果的であると言われてきました。そのため、企業はリモートで研修をしても同じような結果を得るためにはどのような方法を取るべきか考えています。
 
自分の経験から言うと、オンライン研修をするには、対面より様々なスキルが必要です。例えば、トレーニングを行う人は、使用するツールについて十分に理解している必要があります。参加者が研修に集中できていなければ、必要に応じて研修のペースを変える、質問を投げかける、休憩を入れるなどの対策もしなければなりません。
 
また、企業は新しい需要や課題に対応するために、そのときの状況に合わせて研修をする必要が出てきました。そのため、事前に計画することが難しくなり、チームは、いつもと違う視点で研修の方法を見直し、新しいやり方を見つけなければならなくなったのです。
 

オンライン研修には多くのメリットがある

オンライン研修には、多くのメリットがあります。柔軟性やコスト削減、短いトレーニング期間での知識定着。他にも、出張削減による環境保護の面でのメリットもあります。すべての研修が対面で実施されなくなるということはないと思いますが、今後リモート研修が非常に大きな役割を果たすのは間違いないでしょう。
 

ハイブリッド型のチームでどのようにオンライン研修を実施するか

新型コロナウイルスが流行し始めたころを振り返ると、私たちは多くの対面の研修を中止し、すぐにオンラインでの実施に切り替えなければなりませんでした。今回のブログでは、その経験から学んだことをいくつかご紹介したいと思います。
 

1.新しいテクノロジーの使用方法を学ぶ

すでに多くの人たちがこの点について述べているとは思いますが、今日利用しているテクノロジーがなければ、コロナ禍の体験は全く違うものになっていたでしょう。テクノロジーを活用することによって、世界中の人々とつながり、文書を即座に共有し、画面上であっても顔を合わせて話すことができました。
 
現在、大多数の企業がビデオ会議ツールを利用していると思います。私たちは、WebexやSkype、Microsoft Teams など様々なプラットフォームを使ってオンライン研修を提供しています。その国や地域でよく利用されているか、セキュリティーが確保されているか、既存のシステムとの統合は必要なのか、研修の全体的な目標と合っているかなど、様々な要素からどのツールを使用すべきか決めています。
 
もちろん、これだけ様々なプラットフォームを使用するということは、短期間で多くの新しいシステムを把握しなければならないということです。プラットフォームの使用方法についてはきちんと理解しておかなければなりません。不具合を解決しようとしている間に、参加者の関心が失われてしまうことは避ける必要があります。
 
また、使用するプラットフォームを検討する際は、社員に普段利用しているものを聞き、それがトレーニングのニーズにも合っているかを考えて決定すると良いでしょう。
 

2.既存の研修方法を見直す

既存の研修方法も見直し、オンラインでも同じように実施しても問題ないか考える必要があります。例えば、対面でトレーニングをしているとき、何チームかに分けてグループワークをすることがあると思います。しかし、参加者が別々の場所にいるオンライン研修では、その効果は全く違うものになります。
 
また、参加者が研修にしっかりと集中できているかということにも注意を払わなければなりません。参加人数が多い場合は難しいかもしれませんが、定期的にフィードバックを行うことや常にカメラをオンにして参加してもらうと良いでしょう。他にも、1対1で話す機会が減り、具体的な要望や個人的な対応ができなくなるという問題もあります。
 
そのため、状況に合わせて臨機応変に対応していかなければなりません。参加者がなぜこの研修に参加する必要があるのか、何を学びたいと考えているのかということを理解しておく必要があります。各参加者の経験やスキルなどを確認し、説明に過不足がないようにしなければなりません。一律的なアプローチではなく、「適切な人たちに適切なコンテンツを適切なタイミングで」提供することを意識しましょう。
 
コロナ禍で最も効果的だったのは、特定のテーマによりフォーカスをして、各研修の時間を短くすることでした、例えば、それまでは1日かけて研修をしていたものを、今では2時間半のセッションを2回という形で実施しています。つまり、幅広いテーマを一日じっくり学ぶのではなく、各テーマを小さい項目に分けることによって2時間半以内のセッションにしているということです。
 

3.オンライン研修で新しい時代の働き方に慣れさせる

オンライン研修を通して、従業員が新しい時代の働き方へ対応できるようにする必要があります。ヘイズでは、会議や面接、入社研修をリモートで行うスキルを身に着けさせるために、研修のアプローチを変更しました。
 
ビジネスの世界は、これまでとは全く異なるものになりました。そのため、企業や人々は、需要の変化に対応するために、様々なスキルを身につける必要が出てきています。つまり、新型コロナウイルス感染拡大前は、優先順位が低かったスキルが、今では必要不可欠と見なされるようになってきているということです。例えば、リモートワークをしている従業員は、ほとんど知識のない新しいテクノロジーを使う必要が出てくるかもしれません。
 
ほとんどのマネージャーや管理職は、ハイブリッド型のチームをマネジメントした経験がないと思います。そのため、新しい環境下でも部下をマネジメントできる能力を身に着ける必要があります。例えば、リモートワークをしている部下の健康・精神状態を管理し、チームが一体となって活動できるようにするといったことです。また、マネージャーが部下の業務を細かく管理する「マイクロマネジメント」に陥らないようサポートすることも重要でしょう。さらに、フィードバックや褒めるべきタイミングについても、アドバイスを与えると良いと思います。
 
どのようなオンライン研修が従業員に適しているか検討することも重要ですが、そのアプローチがオフィス勤務やハイブリッドワークにも活用できるものであるか考える必要があります。つまり、現状に即したものでありながら、これからの新しい時代の働き方においても重要なことを見つけ、バランスよく取り入れる必要があるということです。
 

4.リモートやハイブリッド勤務をしている社員が相談しやすい環境を整える

新しい時代の仕事において相談しやすい環境を整えることは非常に重要なことです。しかし、リモートでは、直接顔を合わせることがないため、相談しにくいと考える社員もいるかもしれません。
 
ヘイズでは、オンライン研修に加え、「オンライントレーニングクリニック」という取り組みを始めました。このクリニックは、質問がある場合やアイデア・アドバイスが欲しいときに相談できるというものです。クリニックを利用している社員は多くいますが、ITスキルやリモートワークでの人間関係の作り方など新しい時代で活躍するために必要なスキルに関してよく相談されます。彼らが実際に必要だと考えているスキルを直接聞くことができるので、そこからどのような研修が適しているのかが分かります。
 
また、このようなプロセスは、トレーニングチームが提供しているものを別の視点で見ることや、自分たちがなぜそのような研修をしているかということを考える良い機会になります。コロナ禍の最大の学びの一つは、オープンマインドが大切ということです。これまでは、精神的な面からも対面でトレーニングをすることが重要だと考えてきましたが、正直なところ、必ずしも必要というわけではありませんでした。今までやってきたことを、新しい時代に適応させ、進化させていくことが重要なのです。
 
全ての研修がオンラインで行われるようになるとは思いません。しかし、特定の方法に慣れたからといって、必ずしも同じ方法を続けるべきとは限らないということも学びました。今後も仕事のあり方が変わっていくなら、研修の方法も変えていかなければなりません。オンラインと対面のどちらにも長所と短所があるからです。
 
将来、オンライン研修の課題は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用することによって解決されるかもしれません。しかし、今この瞬間、そして近い将来、私たちはオンラインと対面を上手く併用し、ハイブリッド型のチームに貢献していかなければならないのです。
 
他にも、ハイブリッド型チームのマネジメントやオンライン研修のポイントをまとめた記事がございますので、ぜひこちらもご覧ください。
 
ミッキィ・フランクランド
ヘイズEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、Learning&Developmentマネージャー
EMEA地域内のトレーニングを担当し、人材管理に関するトレーニングに力を入れています。2006年からヘイズに勤務し、それ以前は人材業界の様々な企業で経験を積んできました。人材コンサルタントとして業界に入り、ヘイズに入社した後すぐにトレーニング業務を担当。人の成長と発展に情熱を注いでおり、従業員が優れたピープルマネジャー(人材や組織の管理を専門に行う役職)になるための支援を行っています。

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