インサイドストーリー:日本のセールス部門の現状

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保守的だったセールス部門に押し寄せる変化の波
日本のセールス部門はこれまで保守的な部門でした。しかし、現在、多くの劇的な変化が目の前で起きている中、事業を展開している企業と求職者の双方が、その変化に順応せざるを得ないと把握することが重要になっています。

中でも最大の変化は、製品販売型カルチャーからソリューション型産業カルチャーへと焦点がシフトしていることです。このステップは、やりがいのある新たなビジネスチャンスを生み出すものであり、企業側はあらゆる機会を利用するための備えが必要です。ソリューション販売メソッドでは、インフラやソフトウェア等の無形財化の動きと合わせて、「売ったらそれでおしまい」といった姿勢ではなく、既存の顧客の定着率やそこから得られる収益アップを重視し、クライアントとの長期的な関係構築を図ることが必要不可欠です

すでにある顧客との関係を利用、維持、発展させるため、企業やセールススタッフは最新技術に精通し、これを導入することが一層求められます。

AIの導入による改革
ソリューション型産業へのシフトと同様に、技術の進化においてもセールス産業で革命的変化が起きています。人工知能(AI)がサービスサイクル全体に適用されていることがその背景にあります。

AIの普及によって、これまで「ハードウェア」「ソフトウェア」と呼ばれてきたものの線引きがより一層曖昧になり、IT業界のセールス部門を中心に、企業はかつてないほどにサービスの拡大を余儀なくされています。この1年で、ハードウェアとソフトウェアの両方を組み込んだパッケージを提供する先進的なセールス部門において、AIの影響力が大幅に増加しました。

こうした変化への対応が求められるセールスのプロフェッショナルについて、企業が獲得したい人材層の変化にもうひとつの進展がありました。この動きは、セールス産業全体で見られるもので、上述の変化よりも差し迫った、そしておそらくより効果的な進展です。

男性社会だったセールス部門にも女性活躍の波が
日本のセールス産業は、長い間男性優位の世界でした。そこでは、往々にして社外でのコミュニケーションによる付き合いの中で確立される、プライベートな関係が重視されてきました。こうした多様性の欠如に対し、ここ数年、改善への試みがなされ、政府は男女不均衡の是正を目的としてさまざまな対策を打ち出しています。しかし、未だに男女双方の保守層が支配する社会であると思われ、明白な変化はほとんど見られませんでした。女性が重要な役割を果たす分野においても、それは、いわゆる「女性に優しい分野」であり、ビジネスの収益部門や経営部門とはかけ離れたものが多いのが現状でした。

しかし、企業が女性や若者をますます重視する中で、昨年、セールス産業はこうした伝統を抜け出しました。多様性を重視する人材登用が国の方針に従うためだけの「絵に描いた餅」になっているとの疑念が他の専門領域で生じている一方で、セールス産業では女性や若年層の人材登用が、乏しい人材プールを改善するために必要に迫られた結果として生まれたものとの認識が生まれています

新しい技術や展望によってセールス部門が急速に発展する中で、ほんの2、3年前には存在していなかった新たなポストが生み出される一方、人材獲得を巡って企業が競合する人材基盤に変化はなく、極端な事例では6か月から1年もの間ポストが空いた状態が続くケースもあります。

セールス部門により多くの女性を迎え入れようと、一部企業は、働く母親を対象としたフレックスタイム制度の利用、育児支援、育児休暇の拡充等、女性にとって魅力的と思われるさまざまな体制の構築に注目しています。しかしながら、こうした新体制は想定より普及が進まず、多国籍企業(特にサービス分野)で導入が進む傾向が強く、ITセールスはこうした時流に乗り切れていない状態が続いています。

企業が広く若い層にアピールするうえで効果が高いとされる方策のひとつが、現在のセールス慣行をチーム型アプローチに近代化することです。チーム型アプローチとは、コンサル重視をさらに強化し、アカウントマネージャー、顧客関係マネージャー、付加的サービスをフォローするサポート担当等、さまざまな役割を担うメンバーで構成されるものです。

求人が増加しているセールス職とは
以上に挙げた3つの主な変化は、日本の主要なセールス部門でさまざまなポストを生み出しています。
昨年、ITと産業に関連した領域では、アカウントマネージャー、特定の顧客を担当するキーアカウントマネージャー、幅広い業界知識を有し、重要な意思決定者に直接アクセスできる「ハンター」型のセールスマネージャーの需要が拡大しました。この部門では、当然ながら、企業の狙いは自動化、ソフトウェア、その結果としての効率化の改善であるため、最新技術の開発等に精通していることが求められます。

消費者サービス部門において需要が最も高いポストは、セールスマネージャーとセールスディレクターです。この場合にも欠かせないのが、重要な意思決定者に直接アクセスできる強力なネットワークと優れた技術的知識を有し、業界内に機会をもたらすことができる顧客を抱えていることです。そのうえ、人材管理やリーダーシップ戦略において優れたスキルを保持し、セールスプロセスの改善方法を判断する必要もあります。

求められるスキルとはー英語・中国語の語学力
求職者の活動領域を問わず、求められるスキルは多数存在しますが、中でも語学力は企業が最も歓迎する資質です。特に上級職への昇進を狙う求職者にとってバイリンガルであることは必須です。多国籍企業で働く上級職の場合は海外のステークホルダーと英語でコミュニケーションを図ることが求められ、日系企業で働く上級職の場合は海外進出を推進する役割が期待され、その際ビジネスレベルでの英語で話せることが必要不可欠だからです。

ソリューションの購入・合併を通じて日本における中国企業の存在感が増す中、英語に加え中国語に堪能な人材を求める企業が増加しています。しかしこうした人材は不足しているため、一部の企業で中国籍のバイリンガル(特に日本国内で教育を受け、日本の企業文化に精通した人材)を雇用する傾向が生じています。

こうしたスキルセットを保持する人材を獲得しようと企業間の競争が激化しています。そんな中、TwitterやInstagram等の人気SNSサービスによるオンラインデジタルプロモーションを活用し、従来の企業そのものを宣伝する戦略ではなく、顧客に提供するサービスやソリューションのプロモーションを図る手法が若年層に特化した主要な戦術のひとつとなっています。

セールス産業は日本において最も収益性の高い産業のひとつであり、このような財政的に恵まれた産業において、求職者にとって大きな判断材料となるのが給与水準であることは言うまでもありません。IT業界のセールス職で10~15年のキャリアがあれば、消費財メーカーのCEOと同水準の報酬が与えられることも珍しくありません。ITのセールス職は極めて競争優位性があり、その傾向は今後も続くでしょう。

もちろん、システム、テクノロジー、人口構成に大きな変化のあるIT業界のセールス職は、今後も困難なものであり続けます。しかし、求職者が企業からの厳しい要件を満たすことができるのであれば、常に需要のある、やりがいのある産業であり、今現在もかつてないほど広く求職者に門戸が開かれています。

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