インサイド・ストーリー: 日本のデジタル・テクノロジー業界の現状

Inside Story Japan DT

 あと2年に迫った2020年の東京オリンピックに、ビジネスの世界でも大きな期待が寄せられています。

昨年、テクノロジー分野の巨大企業インテルが国際オリンピック委員会とパートナーシップ契約を締結し、仮想現実(VR)、360度映像、人工知能(AI)、ドローンなどの自社の技術を使ってオリンピックを盛り立てていくことを発表しました。インテルは、自律搬送ロボットのホスピ(Hospi)の披露を目指す日本企業のパナソニックと提携し、またオリンピックを念頭に水素燃料技術、燃料電池、自動車その他の車両の開発に取り組んでいるトヨタとも提携します。

この盛り上がりは、オリンピックに直接関わる企業に留まりません。オリンピックを巡る積極的な機運に後押しされ、オリンピックをさまざまなシステムやプロジェクトの競争の場としてとらえ、有利な立場に立とうと多くの企業がしのぎを削っています。この動きにより、オリンピック開催前に新しいシステム(特に電子商取引の分野)を実現するために開発者、データサイエンティスト、アナリスト、IoTスペシャリストなど多様な専門分野の人材への需要が高まっています

日本は電子商取引(eコマース)の分野でやや出遅れていましたが、楽天やアマゾンといったこの分野のビッグネームに牽引されて、日本は今や世界で最も急速にE-コマース市場が拡大している国のひとつとなり、2016年は1年間で8.7パーセント成長したとされています。この傾向は今後も続くと予想され、オンライン購入者は、2018年の8,410万人から着実に増加して2021年には8,892万人になる見込みで、大きな市場機会があることが示されています。

そのため、この市場拡大の波に乗ろうとする企業は、競争するために多くの人材を必要とし、特にモバイル開発者、ウェブ開発者、デジタルトランスフォーメーションコンサルタント、データサイエンティスト、データアナリストを中心とする多様な分野で人材を探しています。

E-コマースの分野では、そのほかにも日本のモバイルウォレット機能である「おサイフケータイ」の利用が増加する傾向にあります。これは消費者がスマートフォンを使ってモノやサービスを購入できる機能です。ここでも日本はセキュリティに対する懸念が普及の大きな障害となってこのシステムでやや時代に乗り遅れており、依然として現金が大きな割合を占めています。ボストンコンサルティンググループの調査によると日本では支払いの65パーセントが現金で行われ、先進国の2倍となっています。また、2016年に循環している現金通貨の価値は日本経済の20%に相当しました。

しかし、「おサイフケータイ」技術の向上により、現金が使われる割合も低下するかもしれません。今年4月、大手携帯電話会社のNTTドコモが、自社の契約者がQRコードで支払うことができるプリをリリースしました。広く普及しているソーシャルネットワークアプリケーションのLINEは自社開発のLINE Pay(ラインペイ)を開始しています。キャッシュレス社会到来に向けての最大の動きは、メガバンク3行によるスマートフォン決済システムの規格統一に向けた提携で、2019年度初めの実用化を目指しています。

この市場における成長の可能性が非常に大きく、銀行がキャッシュレス決済によりもたらされる業務の合理化(ATMの管理や人件費などの関連経費の総額が推定8兆円)への意欲を示したことから、現在、ブロックチェーンや暗号通貨の技術に対して巨額の投資が行われており、デジタル・テクノロジー業界では開発分野の人材が多数求められています。

しかしながら、業界のほぼすべてのセクターと同様、これらの需要の多い専門分野の人材を探している企業は、応募者にスキル面での共通の問題に直面しています。それは英語力です。

ヘイズ・ジャパンのビジネスディレクター、マイケル・クレイヴェンは、「日本経済のグローバル化の進展と海外のオフィスやクライアントとのコミュニケーションの必要性を考えると、第2言語は重要です」と述べています。しかし、この点についてほとんど異論がないにもかかわらず、企業は技術分野の開発者、エンジニア、営業担当のポジションを埋めるバイリンガル人材が著しく不足していると感じています。

その結果、英語力のある人材を雇用しようとする組織は、海外に目を向けるようになってきています。特に需要が高いのが海外から帰国した完全なバイリンガルの日本人、そしてオーストラリア、欧州、米国のシリコンバレーなどからの英語がネイティブの外国人です。テクノロジーやE-コマースの大手企業(特に楽天、アマゾン、ユニクロ)に雇用されたこうした海外出身者は、給料は日本国内のレベルですが、ビザが支給され転居に伴うある程度の補助を受けられるとみられます。

業界のあらゆるレベルにわたって人材が限られていることから、今後1年程度、企業は人材市場を自ら育てることが肝要となってきます。マーケティング・セクターではすでに取り組みが進められており、人材紹介会社と合同で多くのセミナーやイベントが開催され、また資格や新しいスキルの獲得を既存のスタッフに奨励するなど、従業員の能力向上に力を入れるようになってきました。

企業は人材探しにおいても競争力を持つ必要があり、人材を見つけたらすぐに動かなければなりません。海外の人材について、ボストンやロサンゼルスのリクルートメント・フェアに参加する日本企業の数は増えており、日本企業の存在感を示し、ブランドの認知度を高めています。一方で国内の人材を求めて、ここ数カ月は革新的な人材採用戦術が見られ、1日完結型の就職選考会の募集が多数行われています。合格者には選考会終了後その日中にポジションが提示され、日本で一般的な4段階または5段階の面接をなくし、意中の人材が他社からカウンターオファーを受けライバル企業に取られてしまう可能性を最小限に抑えようとしています。

デジタル・テクノロジー産業全般でさまざまな職種の採用活動が活発化しており、その需要は着実に増加しています。日本経済の好調を受けこの傾向は今後も続き、オリンピックの開催を控え、人材獲得競争はオリンピックさながらに熾烈となるでしょう。

このレポートの詳細についてのお問い合わせ、あるいは求職や採用についてのご相談は、ヘイズ・ジャパンのシニアマネージャー、ヴィクター・アレッセ Victor.Alesse@hays.co.jp までご連絡ください。

 

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