インサイドストーリー:日本のセールス&マーケティング市場の現状

The Inside Story of Sales & Marketing in Japan

中国や韓国、台湾の猛追を受け、一層厳しい競争にさらされている日本の産業部門では、バイリンガルで若手のセールス&マーケティング担当者が予想外に大きなチェンジエージェントとしてクローズアップされています。

これまで伝統的に日本は高品質な製品の生産に強いこだわりを持ち、一方で競争相手となる中国や韓国、台湾の強みは大量生産による価格競争力にあるというイメージがありました。

しかしここに来て、品質の面でもこれらの国は急速に日本に迫ってきており、消費者ニーズやトレンド変化への素早い対応という点では、むしろ日本企業よりも優れた能力を維持しています。

その結果、日本の産業部門の各社としては、セールスやマーケティングの分野でイノベーションを進め、市場のトレンドにより俊敏かつ適切に対応できる力をつけるため、意欲的で高いスキル、高学歴を持った人材を確保する必要に迫られています。

同時に、地域本部や欧米本社と直接やりとりできるマネージャークラスの人材の需要も高まっており、英語が堪能であるだけでなく、クライアントや社内向けに魅力的なプレゼンテーションができるだけの専門的な知識を備えていることも求められるようになっています。

最新の日銀の短期企業経済観測調査(短観)で、日本の大手メーカー各社は2014年以来の高水準となる力強い景況感を示したことも、人材市場の動向に影響を与えています。中国をはじめとするアジア各国での強い需要に支えられた電気機械や生産用機械が堅調に推移していることも、好調の要因として挙げられます。

今年7月に発表された全国の約1万社の企業を対象とするこの調査で、製造業は3期連続で力強い改善を示しました。

全般的に見ても、円安で輸出が押し上げられていることに加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて投資が堅調な水準を保っていることが日本経済にはプラスに作用しています。

世界最大の自由市場であるEUと新たな自由貿易協定(EPA)を結んだことも日本経済を押し上げ、特に自動車各社にとっては非常に追い風となる可能性があります。4年間に及ぶ交渉期間を経て今年7月にようやく合意に達したこの協定が期待通りの効果を上げられるかどうかは、今後の動向を注視していく必要があります。欧州市場への日本車の輸入にかかる関税については、未だ最終決着を見ていません。

2011年に韓国がEUとEPA協定を締結し、韓国車の関税が撤廃されたことで韓国車の対EU輸出は拡大したこともあり、日本としては今回の合意で同様の恩恵が享受できるものと期待されています。一方、日本国内の輸入車新規登録台数はドイツのラグジュアリーカーが好調なこともあり、2017年6月には前年同月比3.6%増と15カ月連続のプラスとしています。

新たな自由貿易協定締結の効果とは関わりなく、自動車各社は多彩な分野でセールス&マーケティング担当者の積極的な採用に動いています。特に目立つのが、サプライヤーや部品輸入業界での中堅から上級管理職クラスのアフターセールスの求人の伸びです。

化学品業界、機械材料、機械製造といった分野では、化学工学系の学部出身者で8~10年の実務経験を持ち、ビジネスにも精通したセールス担当者を求めています。採用を勝ち取るには、販売チャネルに関する全般的な知識を持ち、製品に関してクライアントと渡り合えるだけの優れた技術的な知識を備えている必要があります。

有機製品、精製品のメーカーの求人では、専門分野のしっかりとしたバックグラウンドがあることに加え、5~8年程度の実務経験もしくは化学関連の修士以上の学位を取得していることが望まれます。ビジネス英語を使いこなせることも必須です。

こうしたスキル要件を兼ね備えた候補者を見つけることは非常に困難であるものの、イノベーションや新たな市場への適応能力を高めることが、企業にとってはますます重要になっています。

産業部門では多くのセールス&マーケティング担当者があまり転職をしたがりません。日本の大手企業は伝統的に終身雇用制を敷いており、こうした制度が当たり前ではなくなった今でも、安定した将来や明確なキャリアパスが用意されていることが候補者にとっては魅力的に映ります。昇進も年功序列で行われてきたため、1つの会社で何年もかけてせっかく手に入れたチャンスをみすみす逃したくないと考えます。オファーを受けても、外資系企業に移ることはリスクが大きいと考える人もいます。

しかし世代の変化とともにこうした考え方にも変化が見られ、若い世代になればなるほど、生涯1つの会社に留まるよりも自らいろいろな選択肢を探るようになってきており、国際的なビジネス環境に身を置く機会も積極的に捉えられるようになっています。

この分野におけるもう1つの変化の兆しは、デジタルマーケッターやウェブマネージャーなど、デジタル関連のスペシャリストの需要が高まっている点です。各社とも、国内外の市場で自社のブランドの知名度を高め、その評判を維持していく必要が生じており、パブリックリレーションやイベントマネジメントのプロフェッショナルの求人も増加しています。

しかし、経営の効率化が一層進められているため、イベントの企画から運営の一切の業務をこなすことのできるPR担当者や、Webの実践的な知識やスキルを持ったデジタルマーケッターなど、どちらかというとマルチスキルを持つオールラウンダーを求めるケースも多くなっています。

従来型のマーケティング手法を取る企業でも、Facebook、Linkedin、Instagramをはじめとするデジタルプラットフォームへの投資を強めており、製品のプロモーションにつなげていこうとしています。

要件に見合うだけの専門知識を備え、強力なコミュニケーションスキルやソーシャルメディアのスキルを持つ身元の確実な候補者に対しては、これまでより高い水準の給与額が提示されるようになっています。

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